携帯電話やスマートフォンといった移動通信は、エンターテインメントとともに進化してきた歴史がある。第1世代である「もしもし、はいはい」のアナログ方式(1G)からスタートし、デジタル化と通信速度の向上により、メールの送受信、カメラの搭載、Webブラウザ、音楽や動画のダウンロード、ストリーミングと、楽しめるコンテンツも広がってきた。リッチなエンタメを実現するために通信規格の向上が求められてきたと言い換えてもいいだろう。
『5Gビジネス』の著者でもある野村総合研究所の亀井卓也氏によれば、5Gによりこの関係性が変わるという。「例えば、YouTubeというサービスが登場し、スマホで快適に動画を再生できるようネットワークが高速化したように、これまでは足の速いウサギ(エンタメ)にカメ(通信規格)が一生懸命追いつこうとしていました。ところが、5Gでは、ネットワークの性能がエンタメに求められる水準を上回ることになります。つまり、ウサギとカメが逆転する現象が起きているのです」。
単純に映像や音がキレイになるだけでは5Gを活かしきったとはいえない。「超高速・大容量」「多数同時接続」「低遅延」といった有り余る5Gのリソースを活かすには、これまでなかったような新しいエンタメが必要不可欠というのだ。
すでに仮想現実を表現する「VR」や、現実世界に情報を加える「AR」、ARをさらに進化させた「MR」といった技術が5Gによって進化し、普及するといわれているが、さらにそこにクリエイターの想像力も求められるようだ。「5Gではユーザー側の情報を大量に収集しAIで処理できるようになるため、エンタメをより能動的に楽しめるようになります。例えば、スポーツ観戦であれば、ARグラスなどを使うことで、スタジアムで試合を観ながら、同時に選手情報やスコアなどを確認できるようになったり。人間の想像力次第で、エンタメ体験は、もっと進化していくはずです」。
そして、チャレンジングなことはエンタメで実用化したその技術進化が、産業分野での応用に繋がるという。「エンタメは、障害が社会に致命的な悪影響を与えることがありません。例えば、自動運転車や工事現場のロボットの事故は絶対に避けなければいけませんが、野球観戦でホームランの瞬間を見逃したとしても致命的な問題とはならないでしょう?」。
5Gと人間の想像力によって生み出されたエンタメの進化こそが、ゆくゆくは社会を大きく変えていく。ライブ、スポーツ、ゲームなど、エンタメそのものを楽しみながら、その未来にも期待したい。
エンタメを楽しむうえで欠かすことのできないのがVRゴーグルなどのデバイス。 音楽ライブ、スポーツ観戦、ゲームなど、どのカテゴリーにおいても、非日常的な体験をもたらしてくれます。 そこで今回は、次世代のエンタメ体験を盛りあげてくれる、おすすめデバイスをご紹介します。