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税金・節税対策

建物の固定資産税の仕組みや評価額を解説!正しい納税計算を行うには?

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建物の固定資産税の仕組みや評価額を解説!正しい納税計算を行うには?
固定資産は、建物と土地、償却資産の3つに分けられます。固定資産の中でも建物に関しては、家屋の評価に当たる固定資産税評価額の決定プロセスが複雑です。ここでは、建物の固定資産税の仕組みや、固定資産税の算出に使用する固定資産税評価額について説明します。

建物の固定資産税の仕組み

固定資産には、建物である住宅、店舗、工場、土地、構築物など、さまざまなものが該当します。ここでは、建物に関する固定資産税について説明します。

そもそも固定資産税とは

固定資産税とは、その名の通り、固定資産を所有している人に対して納税が義務付けられる税金です。また、固定資産税の課税対象は、毎年1月1日時点に所有している土地、建物及び構築物等の固定資産です。

一般的にイメージしやすいのは、自宅を購入した際に支払いを開始する固定資産税でしょう。事業主の場合は、事業用の償却資産を保有していると固定資産税が課税されることとなります。

また、固定資産税の概要については、総務省自治税務局固定資産税課の「固定資産税について」の中で、以下のように記載されています。

・固定資産税は、1950年の地方税制度の根本的改革に伴い創設
・固定資産の保有者と行政との間の応益原則に基づいて、資産価値に応じて所有者が課税を受ける財産税

つまり、固定資産を有した際には、市町村からの行政サービスを受けているとされ、そのサービスへの対価として固定資産税を支払うという意味となります。

建物にかかる固定資産税は何が違うのか

固定資産税の課税対象となる資産は、土地、建物、償却資産に区分されます。その中でも、建物にかかる固定資産税は他の資産と比べて特別です。建物にかかる固定資産税が、他とどういった点で異なるのか説明します。

固定資産税という大きなくくりは同じですが、課税対象資産の特性を考慮する事によって、税額の算出方法が異なることから、それぞれの固定資産税には違いが生まれることとなります。

・土地
宅地もあれば、田畑などの農地や山林、牧場も含まれます。また、住宅用地には税額の特例が設けられており、固定資産税の算式に特異性があることから分けられています。

・建物
新築の住宅用の建物については、その税額の特例があることから他の資産の税額計算と分けられています。事業に用いる倉庫や工場も該当します。

・償却資産
土地や家屋以外で事業用に使用する資産の事です。償却資産の内容である取得年月日、取得価額、耐用年数等を考慮する必要があるため分けられています。

固定資産税評価額とは

ここからは税金を算出していくうえでの課税主体である「固定資産の評価額」について説明します。

固定資産税評価額を調べる方法

所有する建物等の固定資産税評価額を調べる方法として、課税明細書などの固定資産の評価を証明する書類を参考にする方法があります。

課税明細書は、毎年4月頃に都税事務所、市役所から送付される「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)納税通知書」に同封されている書類です。明細書の記載内容を確認する方法が一番簡単です。

課税明細書の中にある価格(評価額)の欄に記載されている金額が、建物等の固定資産税評価額です。なお、この課税明細書の再発行はできないため、受領した段階で、しっかりと保管をしておくようにしましょう。

仮に、課税明細書を紛失してしまった場合には、手間ではありますが資産の所在する都税事務所により課税明細書の内容が記載される名寄帳の写しを取得することができます。

手続きの際には、発行手数料だけでなく、窓口での身分証明の提示が必要となります。

以下は、東京都主税局(23区内での再発行に限る)での、固定資産評価証明書の申請方法です。

1.評価証明書の発行申請ができる人
・固定資産税を納税する義務を負うもの(共有者も含む)及びその相続人
・借地人や借家人など(貸借権の権利などを有する者も含む

2.申請する際に必要な書類
・申請書
・本人確認書類

顔写真付証明書(運転免許証、パスポート、在留カード、マイナンバーカード等)の場合は、いずれか 一点の提示のみで本人証明が可能です。

顔写真なしの証明書(健康保険証、年金手帳等)の場合は、いずれか 二点の提出が必要となりますので、注意しましょう。

郵送での申請は、申請書と課税台帳等の記載内容が一致している場合には、申請者の本人確認書類の同封は不要となります。

課税標準額との違い

固定資産税評価額については、課税明細書が固定資産評価証明書として活用できることを説明しました。ここでは、固定資産税評価額と課税標準額では、そもそも何が違うのかを説明します。

基本的には、固定資産税評価額と課税標準額は同じですが、課税標準額の特例措置が適用される場合には、金額が異なります。なお、具体的な固定資産税評価額の説明は後述します。

なお、課税標準額とは、税額を計算するための基礎となる金額のことをいいます。

建物の固定資産税評価額の計算方法

建物の固定資産税評価額の計算方法

ここでは、具体的な建物の固定資産税の計算方法を確認します。

固定資産税評価額は、固定資産税評価基準により算出します。なお、土地、家屋と償却資産では、固定資産税評価基準の評価タイミングが異なります。

・土地及び家屋
3年ごとに評価替え実施。変更後1,2年度目は、原則据え置きとなります。
土地については、宅地や農地といったように、地目別にこれまで行われた売買の実例価額などを基準として、固定資産税評価額を算定します。

・償却資産
毎年評価替えが行われ、取得価額及び取得後の経過年数等に応じて評価額を算定します。

建物に係る固定資産税の計算式は、以下の通りです。

<算式>
課税標準額×税率=税額

課税標準額は、固定資産税評価額から特例措置による減額を考慮した金額となり、税率は1.4%(標準税率)となります。

この算式の基となる課税標準額を算定するために必要な建物の固定資産税評価額は、固定資産評価基準に基づいて算出されます。固定資産税評価額は、都税事務所、市町村において算出するものであるため、画一的な基準に沿って算出されます。

計算式は以下のとおりです。

<算式>
評点数×評点一点当たりの価額=固定資産税評価額

評点数は、「再建築費評点数×損耗の状況による減点補正率×需給事情による減点補正率」によって算出されます。

これは、恣意性を排除する事が目的のため、固定資産税評価基準による点数表に沿って、今現在と同じ材料を使って再建築した場合の費用である「再建築費」を点数付け、建物の経過年数に応じた減点補正率を乗じて求められます。

なお、需給事情による減点補正率に関しては、必要がある場合のみ乗じることとなります。

評価一点当たりの価額は、1円に地域ごとの物価水準による補正率や設計管理費等による補正率を乗じて算出します。

建物の固定資産税の軽減措置

建物の固定資産税に関しては、軽減措置として以下のような特例があります。

新築住宅に係る税額の減額措置

新築住宅に対する特例制度の趣旨は、新築住宅購入時の税負担を減らす事で良質な住宅の建設を促進する事であり、将来に向けた住宅ストックの形成という目的もあります。

・固定資産税の減額期間と減額になる税額
一般住宅:固定資産税の1/2減額(期間:3年)
マンション:固定資産税の1/2減額(期間:5年)

軽減措置の適用期間が解錠される4年目からは、税負担額が増額するため留意する必要があります。

・減額措置の申告について
新築住宅の税金減額措置については、申告不要です。

認定長期優良住宅に関する特例措置

認定長期優良住宅と認められた住宅については、税制面でさまざまな優遇措置を受ける事ができます。

この制度は、国土交通省が掲げる、従来の「つくっては壊す」といった社会から「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」というストック活用型の社会への転換という目標を基盤とし、優良な住宅を長く使用して次世代に承継するという新たな流れを創出推進するために、国策として設けられています。

・固定資産税の減額期間と減額になる税額
戸建て:固定資産税の1/2減額(期間:5年)
マンション:固定資産税の1/2減額(期間:7年)

・その他の優遇措置
登録免許税の税率の引き下げ(所有権保存登記0.4%が0.1%)
不動産取得税の控除額の増額(一般住宅特例1,200万円が1,300万円)

実際に固定資産税の特例措置適用を受ける際には、長期優良住宅認定通知書が必要となります。

・認定長期優良住宅特例措置の申告について
建築した年の翌年1月31日までに、長期優良住宅である事が認定される「認定通知書」の申告を行わなければなりません。

なお、詳細は固定資産が所在する都税事務所、または市町村に確認する必要があります。

まとめ

建物を購入した後には固定資産税の納付が始まりますが、固定資産税評価額が決まる仕組みを理解したうえで、納税通知書・課税証明書が届いた際には、該当項目の確認が必要です。
また、二つの大きな軽減措置を活用する事で、期間限定ではありますが固定資産税を減額することも可能です。

固定資産税の仕組みを理解したうえで建物を購入しましょう。