銀行・公庫から融資を断られた!理由と対策、他の資金調達方法を解説
本記事では、融資が断られる一般的な理由を解説するとともに、審査通過のためのポイントや、銀行以外の資金調達方法についてもご紹介します。融資への再チャレンジや新たな資金調達の道を探る際の参考にしていただければ幸いです。
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融資を断られた場合にすべきこと
融資を断られた場合、最初に行うべきは、金融機関に対して審査落ちの理由を確認することです。金融庁の「中小・地域金融機関向けの総合的な指針」では、金融機関は融資を断る際に可能な範囲で理由を説明することが求められています。担当者が曖昧な返答をする場合でも、この指針に触れながら丁寧に確認することで、より具体的な理由を聞き出せる可能性があります。
次に、金融機関から得た情報をもとに、自社の経営状況を客観的に見直すことが重要です。決算書の数値や事業計画の内容、返済能力の有無など、金融機関の視点で自社を評価し直してみましょう。この過程で、信用情報や税金の滞納、自己資金の不足といった具体的な課題が見えてくるはずです。
そして、これらの分析結果を踏まえた上で、今後の資金調達の方向性を検討します。融資の再申し込みを目指す場合は、指摘された課題の改善に取り組む必要があります。一方で、クラウドファンディングや助成金など、融資以外の調達手段についても積極的に情報収集を行い、自社に最適な資金調達方法を見極めることが大切です。
どの方法を選択する場合でも、事前に十分な準備と検討を行うことで、成功の可能性を高めることができます。
融資を断られる主な理由

融資を断られる主な原因・理由は多岐に渡りますが、ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。
税金や公共料金の滞納
税金や公共料金の滞納は、融資審査において最も重大な問題の一つとなります。これらは事業者として当然支払うべき基本的な債務であり、その支払いが滞っているということは、資金管理能力や経営姿勢に大きな問題があると判断されてしまいます。特に日本政策金融公庫などの政府系金融機関では、税金の滞納がある場合、融資はほぼ不可能となります。
また、滞納の履歴は信用情報として記録が残り、他の金融機関での審査にも影響を及ぼすため、一度滞納してしまうと長期にわたって資金調達が困難になってしまいます。
そのため、税金や公共料金の未納がある場合は、分割納付制度の活用なども検討しながら、まずは速やかな支払いと正常化に向けた取り組みを最優先で行う必要があります。
自己資金の不足
融資において、自己資金の不足は重要な審査落ちの要因となります。金融機関は、創業時の総資金に対する自己資金の比率を特に重視しており、一般的には少なくとも事業資金全体の3割程度の自己資金を期待しています。これは、経営者が自らリスクを取って事業に投資する姿勢を示すことで、事業への本気度や資金管理能力が評価されるためです。
また、自己資金が少ない状態で事業を開始すると、予期せぬ支出や売上の遅れが生じた際に、すぐに資金繰りが悪化するリスクが高まります。そのため、金融機関は自己資金の額を事業の持続可能性を判断する重要な指標と位置付けています。創業を考える経営者は、十分な自己資金を確保してから融資を申し込むことで、審査通過の可能性を高めることができます。
事業計画書や創業計画書の不備
事業計画書や創業計画書の不備は、融資を断られる大きな要因の一つです。計画書の内容が具体性に欠け、曖昧な記述が目立つ場合、金融機関は事業の将来性やリスクを適切に判断することができません。例えば、「売上が増加する見込み」といった抽象的な表現ではなく、「○○の施策により○○%の売上増加を見込む」といった具体的な数値とその根拠を示す必要があります。
また、市場分析や競合状況、具体的な販売戦略など、事業の展望を裏付けるデータや現実的な実施計画が不足していると、計画の実現可能性を疑問視されてしまいます。金融機関の審査担当者は第三者の視点で計画書を評価するため、感覚的な予測や主観的な見込みではなく、客観的なデータと論理的な展開に基づいた説得力のある内容にすることが重要です。
会社の決算内容の問題
融資を断られる大きな要因として、会社の決算内容に関する問題があります。特に複数期にわたる赤字決算や、営業活動によるキャッシュフローの継続的な悪化は、返済能力への懸念材料となるため、審査において大きなマイナス要因となります。
また、自己資本比率の低さや営業利益率の不足など、財務指標が業界平均を下回っている場合も、金融機関からの信用を得られにくい状況です。このような決算内容の問題を抱える企業は、まず過去の決算書を詳細に分析し、どの項目に課題があるのかを把握する必要があります。その上で、収益構造の改善や経費削減など、具体的な対策を講じることで、金融機関からの融資可能性を高めることができます。
過去のリスケジュールの影響
融資の返済計画を変更(リスケジュール)した履歴がある場合、金融機関からの新規融資獲得は極めて困難になります。これは、リスケジュールが資金繰りの悪化を示す重要なシグナルとして捉えられるためです。金融機関は過去の返済履歴を特に重視しており、一度でも返済条件の変更を行った企業に対しては、たとえ現在の業績が改善傾向にあったとしても、慎重な姿勢を示します。
この状況を改善するためには、まず現在のリスケジュール中の借入金について、確実な返済を継続することが不可欠です。その上で、決算書の内容改善や事業計画の立て直しなど、財務体質の強化に取り組む必要があります。
また、新規融資の申し込みについては、リスケジュール完済後、一定期間(最低6ヵ月以上)の経過を待つことが望ましいでしょう。その間に業績改善の実績を積み重ね、金融機関からの信頼回復を図ることが重要です。
個人信用情報に問題がある
融資審査において、個人信用情報は返済能力を判断する重要な指標となります。クレジットカードの支払い遅延や強制解約、住宅ローンの延滞、消費者金融の利用履歴など、過去の金銭トラブルは信用情報機関に記録として残り、その情報は金融機関間で共有されます。
一度信用情報に傷がつくと、その記録は事案によって5年から10年程度残り続けるため、新規の融資を受けることが極めて困難になります。自身の信用情報は、信用情報機関に開示請求をすることで確認できます。もし信用情報に傷がある場合は、既存の借入を確実に返済し続けることで徐々に信用を回復させていく必要があります。
また、新規の借入やクレジットカードの作成は必要最小限に抑え、着実な返済履歴を積み重ねることが重要です。
短期間での再申請
銀行などの金融機関では、前回の融資申請から十分な期間を置かずに再申請するケースを好ましく思わない傾向にあります。これは、短期間では企業の財務状況や経営課題の改善が難しく、前回の審査で指摘された問題点が解消されていない可能性が高いためです。特に、前回の申請から6ヵ月以内の再申請については、特段の事情がない限り厳しい判断となることが一般的です。
そのため、融資を断られた場合は、まず金融機関から指摘された課題を明確にし、その改善に向けて具体的な取り組みを行うことが重要です。最低でも半年程度の期間を設け、その間に業績の向上や財務体質の改善を図り、再申請時には前回との違いを明確に示せるよう準備を整えることが望ましいでしょう。
書類の不備や虚偽記載の懸念がある
融資審査において、提出書類の不備や記載内容の不一致は、企業の信用力を大きく損なう要因となります。例えば、決算書と税務申告書の数値が異なっていたり、事業計画書の売上予測と過去の実績が大きくかい離していたりする場合、金融機関は企業の透明性や経営能力に疑念を抱くことになります。
特に深刻なのは、意図的な虚偽記載が発覚するケースです。売上高の水増しや借入金の過少申告などは、単に融資を断られるだけでなく、金融機関との信頼関係を完全に失うことになります。さらに、虚偽記載は法的責任を問われる可能性もあり、企業経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、融資申請時には全ての書類を正確に作成し、記載内容の整合性を十分確認することが不可欠です。不明な点がある場合は、税理士などの専門家に相談し、書類の信頼性を高めることが融資審査を通過する近道となります。
銀行内部での格付けが低い
金融機関は独自の企業格付けシステムを用いて融資審査を行っており、この格付けが低いと融資を断られる大きな要因となります。格付けの評価項目には、自己資本比率、総資本経常利益率、売上高伸び率などの定量的な指標に加え、経営者の実績や事業の将来性といった定性的な要素も含まれます。
格付けを向上させるためには、まず自己資本を充実させ財務基盤を強化することが重要です。具体的には、内部留保を増やすことで自己資本比率を高めたり、不採算事業の見直しや経費削減により利益率を改善したりすることが効果的です。
また、売上高の安定的な成長を示すことも格付け向上につながります。経営計画の精度を高め、その実現可能性を客観的なデータで示すことで、定性評価の面でも評価を上げることができます。
面談に問題があった
融資の審査において、面談は申込者の人物評価や事業への理解度を直接確認できる重要な機会です。融資担当者は、事業計画の実現可能性を判断する際、書類上の数字だけでなく、経営者としての資質や事業への熱意も重視します。
特に注目されるのは、自社の事業内容や市場環境を正確に説明できるか、想定される課題とその対策を具体的に語れるか、という点です。また、質問に対する受け答えの的確さや、言葉遣い、態度なども評価の対象となります。事業に対する強い思いがあっても、それを適切に伝えられなければ、融資担当者の信頼を得ることは困難です。
そのため、面談前には想定される質問への回答を準備し、必要な数値は即答できるようにしておくことが重要です。また、業界動向や競合状況についても整理し、自社の強みや今後の展望を説得力をもって説明できるよう準備することが、面談を成功に導くポイントとなります。
融資を断られた場合の対策

融資を断られた場合、落胆する気持ちは当然ですが、そこで諦めてしまうのではなく、原因を分析し、適切な対策を講じることが重要です。以下に、融資を断られた場合にすべき対策を段階的に解説します。
未納の税金や公共料金を解消する
税金や公共料金の滞納は、金融機関からの信用を著しく損なう要因となります。特に公的機関である日本政策金融公庫では、税金の未納がある場合、ほぼ確実に融資は断られてしまいます。そのため、融資を受けるためには、まず滞納している税金や公共料金の支払いを最優先で解消する必要があります。
税金の滞納に関しては、各税務署の納税相談窓口で相談することで、分割払いなどの柔軟な対応が認められる場合があります。また、公共料金についても、各事業者の窓口で相談することで、支払いスケジュールの調整が可能なことがあります。このような制度を積極的に活用しながら、計画的に滞納を解消していくことが、金融機関からの信用回復への第一歩となります。
自己資金を確保する
融資審査において、自己資金の確保は返済能力と経営の安定性を示す重要な指標です。創業融資の場合、一般的に必要資金の3割程度の自己資金が求められ、この比率が低いと審査に通りにくくなります。
自己資金として認められるのは、預金や退職金はもちろん、株式・投資信託などの換金可能な資産、生命保険の解約返戻金なども含まれます。また、多くの金融機関では、親族からの贈与金も自己資金として認めています。
ただし、親族からの贈与の場合は、贈与契約書の作成や贈与者名義の口座からの振込みなど、適切な手続きを踏む必要があります。一方で、知人からの借入金や経路が不明確な資金は自己資金として認められないため注意が必要です。
自己資金なしで開業を検討している方は、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
【関連記事】自己資金なしで新規開業・起業できる?融資や他の資金調達方法も解説
事業計画書を具体的かつ明確にする
事業計画書の改善は融資審査通過への重要なカギとなります。金融機関は特に収益性の根拠、市場の成長性、競合との差別化戦略を重視して審査を行います。そのため、売上予測は具体的な数値とその算出根拠を示し、市場調査データや既存顧客からの受注見込みなど、客観的な裏付けを提示することが重要です。
こうした事業計画書の作成や改善にあたっては、商工会議所の経営指導員や中小企業診断士などの専門家に相談することをお勧めします。彼らは金融機関の審査基準を熟知しており、計画の実現可能性を高める具体的なアドバイスを提供してくれます。また、計画の不足点や改善点を客観的な視点で指摘してもらえることで、より説得力のある事業計画を作成することができます。
決算書を整備する
融資審査において、決算書は企業の財務状態を示す最も重要な書類です。会計士に依頼して決算書を作成することは、単なる数字の集計以上の価値があります。専門家の視点で財務状況を分析し、改善すべき点を明確にできるだけでなく、金融機関が求める基準に沿った形で財務情報を整理することができます。
また、定期的に財務状況をチェックすることで、収益性や資金効率の問題を早期に発見し、対策を講じることが可能になります。このような継続的な財務管理の姿勢は、金融機関からの信頼獲得にもつながり、融資審査での評価にもプラスとなります。
信用情報の改善を検討する
信用情報の改善は、融資審査を通過するための重要なステップです。まずは信用情報機関に自身の情報開示を請求し、具体的にどのような事項が問題となっているのかを把握することから始めましょう。
改善に向けては、税金や公共料金の未納がある場合は速やかに支払いを行い、既存の借入金については約定通りの返済を継続することが重要です。また、新規の借入を最小限に抑え、決算書の内容を改善していくことで、徐々に信用力を回復することができます。
このような取り組みは一時的なものではなく、長期的な視点で継続することが大切です。日々の支払い管理を徹底し、財務体質の改善に努めることで、金融機関からの信頼を着実に築いていくことができます。
断られた理由を把握した上で取るべき行動

断られた理由や改善点が把握できたら、次に起こすべき行動を考える必要があります。主な行動としては以下の2つが挙げられます。
別の金融機関に融資を申し込む
融資を断られた後の選択肢として、他の金融機関への申し込みを検討することも有効な戦略です。都市銀行、地方銀行、信用金庫、日本政策金融公庫など、各金融機関はそれぞれ異なる審査基準や得意分野を持っています。例えば、地域密着型の信用金庫は地元企業の実情をよく理解しており、日本政策金融公庫は創業支援に強みを持っています。
新たな申し込みを行う際は、前回の審査で指摘された課題を踏まえて提出書類を見直し、より綿密な事業計画書や資金計画書を準備することが重要です。特に、金融機関ごとの特性を理解し、その審査基準に沿った説明ができるよう準備を整えることで、融資実行の可能性を高めることができます。
他の資金調達方法を検討する
融資を断られた後の代替手段として、複数の資金調達方法を検討することが重要です。例えば、売掛金がある企業であればファクタリングの活用が有効です。最短即日での資金化が可能で、審査基準も融資より緩やかですが、手数料が比較的高いことを考慮する必要があります。
また、事業内容や条件によっては、国や自治体が提供する補助金・助成金の活用も選択肢となります。返済不要という大きなメリットがありますが、申請から入金までに時間がかかり、使途に制限があることが一般的です。
このように、それぞれの調達方法には固有のメリット・デメリットがあるため、自社の状況や資金需要の緊急性を考慮しながら、最適な方法を選択することが大切です。
ファクタリングについては、以下の記事も参考にしてみてください。
【関連記事】ファクタリングとは?2社間・3社間の違いを図解でわかりやすく解説
おすすめの資金調達方法

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資金調達に向けて状況を改善、対策を実施しよう
融資を断られることは、企業経営において誰もが直面する可能性のある課題です。しかし、それは事業継続を諦めるべき理由にはなりません。まずは断られた原因を正確に把握し、必要な改善策を講じることが重要です。
自己資金の確保や事業計画の見直し、信用情報の改善など、時間をかけて取り組むべき課題もありますが、ファクタリングや各種ビジネスローン、補助金など、状況に応じて活用できる選択肢は数多く存在します。経営者の皆様には、これらの選択肢を十分に検討しながら、最適な資金調達方法を見出していただきたいと思います。