創業融資の審査基準とは?落ちる原因や事前にできる準備を解説
本記事では、創業融資を検討している方に向けて、審査基準のポイントや事前にできる準備について詳しく解説します。また、万が一審査に落ちた場合の対処法についても取り上げていますので、これから創業を目指す方にとって役立つ内容となっています。


創業融資とは?おさらい

創業融資とは、事業開始時に必要な初期費用や運転資金を補うための資金調達方法の一つです。政府や金融機関が提供するこの融資制度は、新規事業者を主な対象とし、事業のスタートを支援する役割を果たしています。特に創業期は、資金不足が経営の大きな課題となりやすく、自己資金だけで事業を進めるのが難しい場合に、創業融資が重要な選択肢となります。
審査においては、事業計画書や自己資金の充実度が重要視されるため、これらをしっかりと準備することが必要です。本項では審査基準の詳細を後述しますが、創業融資を申し込む際には基本的に3つのパターンが存在し、それぞれの特徴や手続きに違いがあります。
また、融資の利用にあたり重要な役割を果たす信用保証協会についても併せて解説しますので、創業融資を検討する際の参考にしてください。
日本政策金融公庫の創業融資
日本政策金融公庫が提供する創業融資は、政府系金融機関が新規事業者を支援するために設けた融資制度です。この制度は、創業前後の資金調達を目的としており、低金利かつ返済期間が長めに設定されている点が特徴です。特に、創業時の初期費用や運転資金を手厚くサポートすることで、多くの事業者が安定したスタートを切るための助けとなっています。
また、政府系の安心感に加え、条件を満たせば比較的申し込みやすい点も魅力の一つです。中でも「新規開業資金」は、日本政策金融公庫が提供する代表的な融資商品として、多くの起業家に利用されています。創業計画を具体的に説明する事業計画書の作成や、自己資金の準備をしっかりと行うことで、この制度の利用がより現実的になります。
地方自治体の創業融資
地方自治体が提供する創業融資は、地域密着型の融資制度であり、各自治体が独自に設けた条件のもとで運用されています。この制度は、地域経済の活性化を目的としており、地域内での事業活動を行うことが利用の前提条件となります。
金利優遇が受けられる場合があるほか、自治体によっては補助金との併用が可能なケースもあり、新規事業者にとって負担を軽減できる点が魅力です。特に地域特有の産業や課題に対応した融資制度が整備されていることが多く、地域の特徴に合った事業を計画している場合には活用しやすい選択肢です。
ただし、自治体ごとに融資の条件や申し込み手続きが異なるため、事前に詳細を確認することが重要です。こうした融資制度を上手に活用することで、地域に根差した事業をスムーズにスタートさせることができます。
民間金融機関の創業融資
民間金融機関が提供する創業融資は、主に民間銀行や信用金庫を通じて利用できる制度です。この融資は、事業計画の内容に加え、申込者の信用情報が重要視される点が特徴で、返済能力や過去の信用履歴が審査の大きな判断材料となります。
そのため、政府系や自治体の融資と比べて審査はやや厳しい傾向があります。しかし、融資を受けられる場合には、事業資金の確保が可能になるだけでなく、金融機関との信頼関係の構築にもつながるため、事業の成長において有益な選択肢となります。
ただし、創業融資を行っているかどうかは金融機関ごとに異なるため、事前に取り扱い状況を確認することが必要です。自身の事業計画の精度を高めるとともに、信用情報を整えることで、民間金融機関の創業融資を活用する可能性を広げることができます。
信用保証協会の保証付融資
信用保証協会の保証付融資は、事業者が金融機関や自治体の融資を受ける際に、信用保証協会が保証人の役割を担う仕組みです。この制度を利用することで、金融機関は貸付リスクを軽減できるため、事業者がより資金を借りやすくなります。
特に創業期の事業者は実績が乏しく、信用力が低いと判断されがちですが、信用保証協会の保証があることで、金融機関の融資審査を通過しやすくなるという利点があります。この保証制度は、地域経済の活性化や中小企業の成長を支援する目的で運用されており、幅広い事業者に利用されています。
ただし、信用保証を受けるためには保証料が発生する場合があり、これを融資の総コストとして考慮する必要があります。事業者にとっては、資金調達の重要な手段となる一方で、適切な資金計画と返済能力の明確化が求められる制度です。
創業融資の審査基準と重視されるポイント

創業融資の審査基準と重視されるポイントについてですね。創業融資は、事業を始めたばかり、またはこれから始める方にとって重要な資金調達手段です。しかし、融資を受けるには審査を通過する必要があります。
ここでは、創業融資の審査基準と重視されるポイントを詳しく解説します。
自己資金割合
創業融資の審査において、自己資金割合は重要なポイントとされています。融資希望額に対する自己資金の比率は、返済能力を判断する大きな材料です。自己資金が多ければ多いほど、事業者が事業に対して真剣に取り組んでいると評価されるだけでなく、経済的な基盤があるとみなされるため、審査に有利に働きます。
具体的には、一般的に自己資金割合が30%以上であることが望ましく、この水準を満たすことで金融機関や信用保証協会からの信頼を得やすくなります。
一方で、自己資金が少ない場合は、計画性や返済能力に対する疑念を抱かれる可能性があります。事業を安定的に運営するためにも、融資を受ける前に自己資金を充実させることが重要です。
自己資金がしっかりと確保されていることは、単なる資金の一部としてだけでなく、事業への本気度を示す指標としても評価されるため、事前準備の段階で重点的に取り組む必要があります。
起業・開業する業界に携わった経験
創業融資の審査において、起業・開業する業界に携わった経験や専門知識は、審査通過の重要な要素となります。業界経験が豊富である場合、審査担当者に対して事業成功の可能性が高いと評価されるためです。
具体的には、前職での実績や取得した資格、業界内でのコネクションなどが、計画の実現性を裏付ける重要なアピールポイントとなります。例えば、過去に関連する職種で高い成果を上げた実績や、業界特有の課題を解決できるスキルを有している場合、審査側に安心感を与えることができます。
また、すでに取引先との契約が決まっている、あるいは業務依頼が確定している場合には、事業開始直後からの安定的な収益が見込めるため、さらに審査を有利に進める要素となります。こうした経験や実績を明確に説明し、事業計画書に具体的に記載することで、創業融資の審査において好印象を与えることが可能です。
返済能力を示す事業計画や資金計画
創業融資の審査において、返済能力を示す事業計画や資金計画は非常に重要なポイントです。特に、実現可能性の高い事業計画書を提出することが求められます。この計画書には、創業後の事業運営が現実的かつ継続可能であることを示す具体的な内容が必要です。
収支計画や資金繰りを詳細に記載し、売上予測や経費見込みなどを数字で明確に示すことが、融資を受ける上での説得力を高めます。また、計画の信頼性を裏付けるために、市場調査結果や業界の動向、競合分析などのデータを盛り込むことも有効です。
これにより、審査側に事業の収益性や安定性を具体的に伝えることができます。しっかりとしたデータや調査に基づいた計画書は、事業の将来性を証明し、返済能力があると判断される重要な材料となります。
資金使徒の明確さ
創業融資の審査において、資金使途の明確さは非常に重要なポイントです。金融機関や融資提供者にとって、借入金が具体的にどのように使われるかを明確に示すことは、返済能力を評価する上で欠かせない要素となります。
例えば、設備投資や運転資金といった用途を具体的に説明することで、融資の妥当性を納得してもらいやすくなります。この際、見積書や契約書、資金繰り表といった書類を用いることで、説明の信頼性が一層高まります。
こうした資料は、計画性を示すだけでなく、融資金額の妥当性を証明する根拠にもなります。不明瞭な使途や曖昧な説明では、資金が適切に使われる保証がないと判断され、審査通過が難しくなるかもしれません。そのため、資金使途を具体的かつ詳細に説明できる準備を行うことが、審査通過への重要なステップとなります。
創業融資を受けるための準備

創業融資をスムーズに受けるためには、事前の準備が非常に大切です。ここでは、創業融資を受けるために必要な準備を段階的に解説します。
説得力のある事業計画書を作成する
創業融資を受けるためには、説得力のある事業計画書の作成が不可欠です。事業計画書は、金融機関や保証協会が融資の可否を判断する際の重要な資料であり、ビジネスモデルや目標を具体的に記載することで、事業の実現可能性を示す必要があります。例えば、提供する商品やサービスの内容、対象となる顧客層、収益の仕組みなどを詳細に説明し、事業の全体像を明確にすることが求められます。
また、成功に向けた具体的な戦略を提示することも重要です。マーケティング計画や競合との差別化ポイント、収支見込みを含む戦略的なアプローチを記載することで、計画の実現性がより高く評価されます。さらに、第三者でも納得できる内容に仕上げることが重要です。
信頼性を高めるために、事実に基づいたデータや市場分析を盛り込み、事業計画の根拠を明確に示します。こうした準備を整えることで、金融機関からの信頼を得やすくなり、融資審査の通過可能性が高まります。
明確な返済計画を立てる
創業融資を受ける際には、明確で現実的な返済計画を立てることが必須です。金融機関は、借入額に応じた返済スケジュールが現実的かどうかを重視しており、申込者の返済能力を見極めるポイントとしています。
そのため、事業計画に基づいて毎月の収支計算を詳細に記載し、収益から返済額を確保できることを具体的に示す必要があります。収入予測、経費、利益率などを明確にし、借入金返済後も事業が安定して運営できることを示すデータを添えることが重要です。また、売上の季節変動や予期せぬ支出を考慮し、返済に無理のないスケジュールを作成することで、計画の現実性を高めることができます。
金融機関にとって、しっかりとした返済計画があることは、融資リスクを軽減し、審査通過の可能性を高める大きな要因となります。こうした準備を行うことで、金融機関からの信頼を得るとともに、自身の事業運営にも役立つ返済計画を構築することができます。
自己資金比率を高める
創業融資を受けるためには、自己資金比率を高めることが重要です。金融機関や融資提供者にとって、自己資金は事業への本気度や返済能力を判断する重要な指標です。
自己資金が十分であれば、事業計画の信頼性が高まるだけでなく、融資審査の際に好印象を与えることができます。貯蓄を活用するのはもちろんのこと、親族や知人からの支援、他の資金源の活用も視野に入れて計画的に資金を準備することが求められます。
特に、創業融資では自己資金が事業資金総額の一定割合以上を占めることが要件とされる場合が多く、この条件を満たさないと審査を通過することが難しくなります。そのため、事業を開始する前の段階から資金準備を進め、自分が投入できる金額を明確にしておくことが重要です。
また、自己資金をしっかりと積み立てることで、創業後の資金繰りにも余裕を持たせることができ、事業の安定運営につながります。計画的に自己資金比率を高めることで、創業融資の審査通過率を大きく向上させることが期待できます。
自己資金なしで開業を考えている方は、以下の記事も参考にしてみてください。
【関連記事】自己資金なしで新規開業・起業できる?融資や他の資金調達方法も解説
信用情報を改善する
創業融資を受けるためには、信用情報の改善が欠かせない準備の一つです。金融機関にとって、申込者の信用情報は返済能力を判断するための重要な審査項目であり、過去の延滞記録や未納の履歴が残っている場合は審査通過の障害となることがあります。そのため、融資を申し込む前に自身の信用情報を確認し、必要であれば改善を行うことが大切です。
信用情報は信用情報機関で確認することができ、申請を行えば自身の記録を確認できます。過去に延滞した記録があれば、それが解消済みかを確認し、未納の支払いがある場合は速やかに解消しましょう。また、金融機関にとって信用情報は透明性が重要なため、記録を正確に把握しておくことも信頼につながります。
このように、事前に信用情報を整理し、改善を進めることで、融資審査の通過率を高めるだけでなく、事業運営の信頼性を確立することにもつながります。
面談で話す内容を考えておく
創業融資を受ける際、面談で話す内容を事前に準備しておくことは非常に重要です。面談では、事業計画の具体性や実現可能性だけでなく、創業者自身の熱意や信念が審査のポイントとして見られます。
そのため、事業計画書の内容を的確に説明できるよう、何度も練習を重ね、金融機関の担当者から想定される質問への回答を準備することが求められます。たとえば、「この事業をなぜ始めたいのか」「競合との差別化は何か」「どのように返済計画を立てているのか」といった質問が想定されるため、それらに自信を持って答えられるようにしておくことが必要です。
また、面談での表現力を高めるためにも、自分の事業への思いを具体的かつ情熱的に伝える準備をしておくことが効果的です。さらに、準備段階で不安がある場合は、専門家に相談して事業計画書の精度を上げたり、模擬面談を実施したりすることも有効です。これらの準備を通じて、審査を突破するための説得力を備えることができます。
創業の2〜3ヵ月前には申し込む
創業融資を受ける際には、申し込みのタイミングが成功の鍵を握ります。特に、創業の2〜3ヵ月前には融資を申し込むことが推奨されます。その理由の一つは、審査に時間がかかる場合があるためです。
融資審査では、事業計画書や資金使途に関する書類の確認だけでなく、面談や追加資料の提出が求められることもあります。これらには予想以上に時間を要することが多く、タイトなスケジュールでは創業直前に資金が間に合わないリスクがあります。
また、早めに準備を開始することで、不備や見落としによるトラブルを未然に防ぐことができます。例えば、事業計画書の内容が不十分であれば審査通過が難しくなり、修正や再提出に時間を取られる可能性があります。余裕を持って準備を進めることで、こうした問題にも柔軟に対応でき、結果として融資がスムーズに進むことにつながります。
創業融資を成功させるためには、時間的な余裕を確保し、計画的に準備を進めることが重要です。創業の2〜3ヵ月前から申し込みを行うことで、資金調達を確実にし、安心して事業開始に臨むことができます。
創業融資の申し込みに必要な書類
日本政策金融公庫の融資を例に申し込みに必要な書類は、下記の通りです。
● 借入申込書: 所定の様式に必要事項を記入します。
● 事業計画書: 事業の概要や将来の計画を詳細に記載したものです。
● 資金繰り表: 今後の収支計画を月別にまとめた表です。
● 見積書: 設備資金などの具体的な使途に関する見積書を提出します。
● 本人確認書類: 運転免許証やパスポートなどのコピーが必要です。
● 住民票の写し: 本籍地および個人番号(マイナンバー)の記載がないものを用意します
● 納税証明書: 最新の所得税や住民税の納税状況を証明する書類です。
● 預金通帳の写し: 自己資金の確認のため、預金残高がわかるページのコピーを提出します。
● 許認可証の写し: 業種によっては、営業許可証などの提出が求められます。
これらの書類を事前に準備し、正確に記入・収集することで、融資申し込みの手続きがスムーズに進みます。
参考:日本政策金融公庫
審査に落ちた場合の対処法

融資審査に落ちてしまうと、事業計画に大きな影響が出てしまいますが、諦める必要はありません。原因を分析し、適切な対策を講じることで、再度融資に挑戦したり、他の資金調達方法を検討したりすることができます。ここでは、融資審査に落ちた場合の対処法を詳しく解説します。
再審査に向けて準備する
創業融資の審査に落ちた場合、まずはその理由を確認し、問題点を分析・改善することが重要です。審査基準を再確認し、不足している部分を補う努力が必要です。例えば、事業計画書の内容をより具体的で現実的なものに改めたり、自己資金を増やしたりして資金計画の安定性を示すことが求められます。
また、提出した資料に不備や過不足があれば、最新の情報を基に更新しましょう。ただし、同じ金融機関への再審査は、改善の時間を確保するためにも最低でも半年程度空けることが推奨されます。
一方で、ある程度の改善が見られた場合には、別の金融機関に申し込むことも選択肢となります。このように柔軟な対応を取ることで、融資審査の成功に近づくことができます。
専門家や認定支援機関に相談する
創業融資の審査に落ちた場合、認定支援機関や税理士などの専門家に相談することが有効な対策です。彼らは融資審査の仕組みや金融機関が求めるポイントを熟知しており、審査通過に向けた具体的なアプローチをアドバイスしてくれます。
また、事業計画書の見直しや自己資金の適切な準備方法など、専門的な視点からの指導を受けることで、次回の審査での成功率を大幅に高めることができます。プロの支援を活用することで、課題を明確化し、的確に対応する道筋を得られるのが大きなメリットです。
他の資金調達方法を検討する
ビジネスローンの活用もおすすめ

ビジネスローンは、迅速かつ手軽に資金を調達できる方法として、法人や個人事業主にとって魅力的な選択肢です。例えば、セゾンビジネスサポートローンは、運転資金や設備投資など幅広い用途に対応し、最短3営業日で資金を調達できるスピードが特徴です。保証人や担保が不要で、手続きがオンラインで完結するため、手間を最小限に抑えられます。また、柔軟な返済プランとサポート体制により、事業者は安心して利用できます。
一方、カードローンも短期的な資金調達手段として有効です。例えば、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カードを活用することで、利便性が高まり、ビジネスローンと組み合わせることでさらに資金計画を強化できます。ただし、融資に比べて金利が高めである点に留意し、計画的な利用が必要です。このようなローンの活用は、迅速に資金を調達し、事業の成長を力強く支える手段となります。
創業期の資金確保は早めに動くことが重要
創業融資を成功させるためには、審査基準を理解し、適切な準備を行うことが重要です。万が一審査に落ちた場合でも、再挑戦や補助金・ビジネスローンなどの代替手段を活用することで道は開けます。
特に、ビジネスローンやビジネスカードは、迅速な資金調達や経費管理の効率化に役立つ便利なツールです。経費削減を可能にするキャッシュバックやポイント還元も魅力の一つ。これから事業を始める方は、ビジネスカードの利用を検討し、資金計画をしっかりと立てて事業成功に向けての第一歩を踏み出しましょう。その際、セゾンビジネスサポートローンとセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カードをぜひチェックしてみてください。