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経営

法人登記とは?メリットや申請の流れ、必要書類を解説!

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法人登記とは?メリットや申請の流れ、必要書類を解説!
起業をする際、個人事業でスタートする場合には法人登記をする必要はありません。しかし会社を設立する場合には法人登記をしなければならず、どちらで事業を開始するかで悩む方も多いでしょう。事業規模にもよりますが、法人登記は個人事業と比べて税制や信用の面で大きなメリットを得られるケースがあります。
本記事では法人登記をする理由やメリット、手続きの方法、必要な書類について解説します。

法人登記とは? メリットや手順を解説

法人登記とは? メリットや手順を解説


従業員を雇用して利益を分配する組織は「法人」とみなされるため、このような組織を立ち上げる際は法人登記を行わなければなりません。

法人登記はなぜ行う?

法人登記は「会社登記」とも呼ばれ、会社を設立したときに会社名(商号)や本社の所在地、事業目的など会社の概要を法務局に登録し、一般に公表することを指します。株式会社や持分会社、一般社団法人やNPO法人などが法人と見なされ、法人登記が義務付けられています。法人登記をしないでいると、過料の罰則を受けたり、会社そのものが存在していない扱いになったりする恐れがあります。

法人登記をするメリットは?

個人事業の届出と異なり、法人登記は必要な書類や手続きが多くなります。また定款(ていかん)認定手数料や資本金の支払いなど、さまざまな費用が必要です。しかし法人登記を行うメリットは大きいと言えます。主なメリットは以下の2点です。

・税金の面で有利になる
企業活動をしているとさまざまな税金を支払う必要がありますが、法人登記を行うことで所得税と消費税を抑えられるようになります。

法人は従業員の雇用や役員の設置が可能となり、給与所得控除や役員報酬を活用することで法人としての所得を減らせます。所得が一定以上の場合は、所得税の税率を下げることができます。

また、法人登録をした事業者には「消費税における基準期間」が存在しません。課税売上高や給与支払額が一定額を超えない場合は、最大2年間にわたって免税事業者と見なされます。新しい事業者であれば一律で消費税を節税できるわけではありませんが、条件を満たせば消費税の節税も可能です。

・取引先や銀行など対外的な信用面が大きい
相手が信用できる企業であるかどうかは、ビジネスにおいて重要視されるポイントです。特に大企業の中には、法人登記があるかどうかで取引を行うかを考慮するケースも少なくありません。

また、銀行から融資を受ける際にも、会社の状況を確認するために登記簿謄本の確認が求められることがあります。つまり法人登記は社会的な信用を得るためにも必須と言えます。

法人登記の基本的な手順

1.会社概要の決定
ここでいう会社の概要とは、商号や発起人、取締役や事業目的など、会社を立ち上げる際に決めなければいけないことを指します。決めなければいけない概要の中でも注意が必要なのが本店所在地です。本店所在地によって法務省の管轄支局が決まるため、今後の手続きなどで支局を来訪することを考慮して本店所在地を選ぶようにしましょう。

2.類似の商号の確認
商号は会社の顔ともいえますが、同じ所在地に同じ商号がある場合は登記することはできません。商号を決める段階で類似したものがないかを調べる「商号調査」が必要です。この商号調査は、法務省の「オンライン登記情報検索サービス」から無料で行えます。

3.事業目的の適否を確認
新しく事業を始める際には、その内容を事業目的として明確に決めておきましょう。事業内容が明確ではない場合や、法律に違反したものである場合は登記が認められないからです。また、事業内容は適法かつ明確なものでなければなりません。

4.法人用印鑑の作成
法人登記をする場合、代表者の実印に加えて法人実印も必要です。法人実印を作る際に、併せて社印や銀行印なども作っておくと、必要になったときに慌てずに済みます。

5.印鑑証明の取得
実印を作ったら、法務局窓口申請、郵送申請、オンライン申請のいずれかの方法で印鑑証明を申請します。会社に取締役会を置く場合は、発起人と代表取締役の印鑑証明書を用意すれば問題ありません。しかし取締役会を置かない場合は、取締役全員の印鑑証明が必要になる点に注意が必要です。

6.定款の作成
定款とは、会社の根本原則が記載された会社の憲法とも言えるものです。記載する項目には「絶対的記載事項」が定められており、目的や商号、本店所在地、資本金、発起人の氏名及び住所の5項目が必須です。また、絶対的記載事項以外にも、会社に合った内容を付け加えて作成します。例えば、株式会社であれば株券を発行するルールなどを記載しなければなりません。

7.定款の認証
定款は作成しただけでは意味を成しません。公証役場に認証費用と謄本交付手数料を支払って認証してもらうことで初めて有効となります。

定款認証にかかる手数料は資本金などの金額に応じて変動し、100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満であれば4万円、300万円以上は5万円と定められています。

8.資本金の支払い
定款の作成・認証が済んだら、資本金(出資金)を銀行口座に振り込み、通帳の表紙や裏表紙などをコピーして払込証明書を作ります。なお、会社名義の口座はまだ作れない段階(会社設立後に初めて作れるようになる)なので、発起人の個人口座が代用口座となります。

9.書類の作成
これまでの手順で作った書類を含めて、登記に必要な書類の作成を行います。必要な書類は会社の種類によって異なるので注意が必要です。また記載不備があった場合は訂正をしなければなりません。この作業は原則として代表取締役が行うのですが、心配な場合は司法書士などに依頼することをおすすめします。

10. 書類の提出

書類の作成が終わったら本店所在地の管轄である法務局に登記申請を行い、書類を提出します。申請から登記完了まで書類に不備がなければ、おおよそ7~10日ほどで完了します。

登記の申請は? 3つの方法を解説

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法人登記を申請する方法は、管轄する法務局へ必要書類を持ち込む他、郵送やオンライン申請も可能です。ここからはそれぞれの方法を解説します。

法務局に登記申請書と必要書類を持参する

直接法務局へ書類一式を持っていく方法で、会社設立日が申請受付日となります。書類に不備があった場合は、訂正して再提出を求められるので、再度足を運ばなければなりません。不備などが心配な場合は、申請時に職員へ書類の確認を相談することも可能です。

法務局に郵送する

法務局へ書類を持参する時間が取れない場合は、郵送でも申請が可能です。郵送の場合は普通郵便ではなく、簡易書留や特定記録など、届いたことが確実にわかる方法がおすすめです。郵送で書類不備があった場合は、修正した書類を法務局へ持ち込むか郵送で再提出します。

オンラインで申請する

法務局にある申請システムから専用ソフトをダウンロードし、必要事項などを記入・添付して申請する方法です。すべてのやり取りがオンライン上で行われるので、時間を問わずに申請でき、不備があった場合も申請時と同様に専用ソフト上で修正を行えます。ただし申請時に電子署名か電子定款が必要です。

法人登記で必要な書類は?

法人登記に必要な書類は、会社の種類によって異なる点に注意しなければなりません。ここでは株式会社と合同会社を例にとって必要な書類を解説します。

株式会社の登記に必要な書類一覧

まずは株式会社の登記をする際に必要な書類について解説します。

1.登記申請書
法務局のホームページからダウンロードすることができます。取締役会の設置の有無や発起設立か募集設立かで分かれているので、自分の会社に合ったものを選んで使用しましょう。

2.登録免許税分の収入印紙を貼付した台紙
A4サイズの台紙です。ネットでダウンロードするか、A4サイズの白紙があればそれでも代用できます。資本金の0.7%にあたる金額の収入印紙を郵便局などで購入して、この台紙に貼り付けます。

3.登記すべき事項を保存したCD-R
申請書の「登記すべき事項」は、申請書へ記載する以外に、事項のデータを保存したCD-RやDVD-Rを提出することも可能です。ただし、文字コードやフォントなどの規格が細かく決められており、適切な形式で作成しなければなりません。

4.定款
定款の作成は先述しましたが、提出書類として定款謄本が1部必要です。

5.取締役の就任承諾書
発起人以外の人間が取締役になる場合に必要な書類で、取締役ひとりにつき1枚必要です。発起人がそのまま取締役になる場合は、定款謄本内に記載押印があるため、この書類は必要ありません。

6.資本金の払込証明書
資本金が振り込まれた口座を証明する書類です。通帳の表紙や1ページ目などをコピーし、法人実印を押した上でホチキスなどで製本します。また各ページに割印を押さなければなりません。

7.印鑑(改印)届出書
法人印の証明をするために提出する書類です。会社の実印を新規登録・改印する際に必要です。

8.発起人の決定書
事業目的や商号、本店所在地などを発起人が詳細に決定した、という内容を記載した書類です。定款謄本に本店所在地が市区町村までしか記載されてない場合でも、決定書には番地まで明確に記載しなければなりません。

9.発起人の印鑑証明書
発起人本人の印鑑証明です。

10.代表取締役の就任承諾書
代表取締役が設置され、就任したことを承諾した証明書です。なお代表が取締役を兼任し、取締役が1人しかいない場合は不要です。

11.取締役の印鑑証明書
定款を認証する際に用意したものと同じものです。取締役会が設置される場合は代表取締役の印鑑証明のみを用意します。取締役会が設置されず取締役が複数いる場合は全取締役分の印鑑証明書を用意しなければいけません。

合同会社の登記に必要な書類一覧

合同会社の登記に必要な書類は、基本的に株式会社で必要になるものとほぼ同じです。ただし合同会社には代表取締役がいないため、いくつかの書類が異なります。

1.登記申請書
法務局のホームページから合同会社用の申請書をダウンロードし、必要事項を記載します。

2.登録免許税分の収入印紙を貼付した台紙
合同会社も資本金×0.7%分の収入印紙が必要です。ただし最低額が6万なので株式会社よりは出費が軽減します。

3.登記すべき事項を保存したCD-R
株式会社で用意するものと大きな違いはありません。

4.定款
書類自体に大きな違いはありませんが、合同会社は定款の認証が不要なので認証手数料が不要です。

5.資本金の払込証明書
合同会社の資本金は1円からでも可能です。しかし現実的ではないため、3ヵ月~半年の運転資金を資本金の額にするケースが多く見られます。

6.印鑑(改印)届出書
株式会社で必要になるものと大きな違いはありません。

7.社員の就任承諾書
合同会社の社員とは出資した人を指します。各社員が定款に署名捺印していれば、特に提出の義務はありません。

8.社員の決定書
「代表社員決定書」という書類を指し、出資者である社員のなかから会社の意思決定権を持つ「代表社員」を選出した際に作成します。

9.代表取締役の就任承諾書
合同会社では代表取締役を置かないため、この書類は不要です。

10.代表社員の印鑑証明書
代表社員が個人であるか法人であるかによって変わります。個人の場合は印鑑証明書のみ、法人の場合は法人印の印鑑証明に加えて、登記簿謄本または会社法人等番号が必要です。

法人登記完了後に行うことは?

法人登記の手続きが終わったら、それで完了というわけではありません。法人の印鑑証明は登記完了後でないと取得できないからです。また、銀行に法人口座を作ったり、税務署に届け出を出したりする際には登記簿謄本(登記事項証明書)が必須となります。そのためこちらの取得手続きを行いましょう。申請方法は、法務局窓口、郵送、オンラインで行うことができます。

他にも社会保険事務所への届け出も行わなければいけません。一部の例外を除いて、法人は社会保険の加入が法律により義務付けられているからです。

法人登記完了後は事業用のビジネスカードの申し込みを!

法人登記が終わり、法人としての活動がある程度軌道に乗ってきたらビジネスカードの導入や活用を検討しましょう。引き落とし口座を法人口座に設定することでプライベートと経費の仕分けの必要性がなくなりますし、支払いを一本化することで経費処理の効率化を図ることができます。またビジネスカードを追加すれば従業員に渡して立て替えの手間を省いたり、用途が確認できたり、様々なメリットもあります。

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まとめ

法人登記は個人での起業であれば不要ですが、会社を設立するときには欠かせません。これを怠ると過料などの罰則をうけることになります。また最初は個人で起業した場合でも、軌道に乗ってきて税制上のメリットなどを得るために法人登記を行う「法人成り」をするケースも少なくありません。法人登記も完了して事業が軌道にのってきたら、ビジネスカードの活用も視野に入れてみましょう。経費処理を効率化できる上にキャッシュバックなどのメリットを受けられるので、ぜひ検討してみましょう。