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オープンイノベーションが注目されるのはなぜ?5つの要素とメリット・注意点を解説

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オープンイノベーションとは、企業が企業内外と連携して情報共有・共同研究・共同開発をおこなうことを指します。このオープンイノベーションが近年注目を集めている理由は、オープンイノベーションに必要な5つの要素や実施する際の注意点について解説します。
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オープンイノベーションとは?目的と注目される背景

オープンイノベーションとは?目的と注目される背景

オープンイノベーションとはどのような概念なのか?また近年注目が集まり、実践する企業や組織が増えているのはなぜなのかについて解説します。

オープンイノベーションの概要

オープンイノベーションは、企業が自社内のリソースや技術だけでなく、外部の知識、技術、アイデアを活用して新しい製品やサービスを開発するアプローチのことを指します。

・デジタル技術の発展
デジタル技術の発展により、情報の取得、共有、協働が容易になりました。これにより、企業は自社外のリソースを効率的に活用し、革新的な製品やサービスを生み出すことが可能となりました。

・グローバリゼーションの進化
また、グローバリゼーションの進化により、企業は自社の国境を超えてさまざまなパートナーと協力し、多様な視点やアイデアを取り入れることが可能となりました。

オープンイノベーションが注目される理由

・プロダクトサイクル短縮化への対応
プロダクトサイクルとは、新しい商品が登場し既存の商品と入れ替わる循環構造のことを指します。競争が激化し、プロダクトライフサイクルが短縮化する中で、企業は新たなアイデアや技術を迅速に取り入れ、新しい価値を創出する必要があります。

・ニーズの多様化への対応
消費者のニーズも多様化しており、それに応えるためには多種多様な知識や視点が必要となります。

・自社の特徴の把握
オープンイノベーションを通じて、企業は自社の強みや弱みをより明確に理解し、外部との協働を通じて自社の競争力を向上させることができます。

オープンイノベーションとクローズドイノベーションの違いは?

オープンイノベーションとクローズドイノベーションは、企業のイノベーションへのアプローチが異なります。クローズドイノベーションでは、企業は自社内の研究開発部門で新しいアイデアや製品を独自に開発し、それを市場に導入します。情報や知識は秘密に保たれ、外部からの影響は最小限に抑えられます。

オープンイノベーションでは、企業は外部のリソース、知識、アイデアを活用し、それらと自社のリソースを組み合わせて新しい製品やサービスを開発します。これにより、より広範かつ多様な視点やアイデアを取り入れることができ、新たな価値創造が可能となります。

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オープンイノベーションに欠かせない5つの要素

オープンイノベーションに欠かせない5つの要素

オープンイノベーションに必要な要素としては以下の5つのポイントがあります。

多様な人材との連携

多様なバックグラウンドや視点を持つ人材との連携は、新たなアイデアや技術を生み出す源泉となります。これは、他の企業、大学、研究機関、スタートアップなど、あらゆる組織との協業を意味します。また、さまざまな職種や分野のエキスパートとのコラボレーションも含まれます。

枠に囚われないアイデアやマインドの利活用

オープンイノベーションでは、従来の思考や手法にとらわれず、新しい視点や手法を積極的に取り入れることが求められます。これにより、新たな可能性が開かれ、未来の製品やサービスの発想につながります。

知的財産の解放

オープンイノベーションでは、企業が持つ知的財産を自社内に閉じ込めるのではなく、適切な範囲で外部と共有することが求められます。これにより、新たな応用や発展が促され、全体のイノベーションが加速します。

研究開発の推進

新たなアイデアや技術を市場で成功させるには、それらを具現化するための研究開発が不可欠です。オープンイノベーションでは、外部のリソースを活用しながら自社の研究開発を効率的に進めることが求められます。

市場の活性化

オープンイノベーションは、新たな製品やサービスを通じて市場の活性化を目指します。それには、顧客ニーズの理解、新たなビジネスモデルの開発、市場投入のタイミングなど、さまざまな要素が関わってきます。市場の変化に対応しながら、イノベーションを推進することが求められます。

オープンイノベーションを実施するメリット・注意点

オープンイノベーションを実施するメリット・注意点

オープンイノベーションを実施することで得られるメリットと、組織内で実施する際に注意すべきポイントについて解説します。

オープンイノベーションのメリット

・ビジネスのスピードアップ
外部の知識や技術を活用することで、自社だけで研究開発を行うよりもスピーディーに新しい製品やサービスを開発し、市場投入することが可能となります。

・低コスト化
外部のリソースを活用することで、自社だけで全てのリソースを提供するよりも開発コストを抑えることができます。

・知識・技術の蓄積や共有
他の組織や個人からの新たな知識や技術を得ることで自社の知識ベースを広げ、新たな視点や発想を得ることができます。また、組織全体の学習や成長を促す一方で、知識の共有を通じて全体のイノベーションを推進する効果もあります。

オープンイノベーションの注意点

・情報漏洩に注意する
外部との連携は情報漏洩のリスクも伴います。自社の知的財産やビジネスシークレットが保護されるよう、適切な契約やセキュリティ対策が必要です。

・自社の推進力が低下する可能性がある
外部との連携に頼りすぎると、自社の研究開発能力や競争力が低下する可能性もあります。自社の核となる技術や能力の維持・強化を怠らないことが重要です。

・利益率が減る恐れがある
オープンイノベーションでは、外部のパートナーとの利益分配が必要になる場合があります。その結果、自社だけで開発・販売した場合と比べて利益率が低下する可能性があります。

近年実施されたオープンイノベーションの事例

近年実施されたオープンイノベーションの事例

最後に近年実施されたオープンイノベーションの代表例をご紹介します。

事例1. フィリップスとスタートアップ企業の共同開発

オランダの電機メーカー「フィリップス」は、医療分野でのオープンイノベーションを推進しています。具体的には、スタートアップ企業と連携し、医療データを活用した新たなソリューションの開発に取り組んでいます。フィリップスが持つ製品知識とヘルスケアデータに、スタートアップ企業が持つ最新技術や創造的な発想を組み合わせることで、より効率的で質の高い医療サービスの提供を実現しています。

事例2. BMWとIntel、Mobileyeの共同開発

自動車メーカーのBMWは、半導体製造のIntelと先進ドライバーアシスタンスシステム開発のMobileyeと共に、自動運転車の開発に取り組んでいます。各社が持つ技術や知見を結集し、高度な自動運転システムの開発を推進しています。オープンイノベーションにより、自社単独では難しかった自動運転車の早期実現に向けた大きな一歩を踏み出しました。

まとめ

「プロダクトサイクルの短縮化」「ニーズの多様化」などが飛躍的に進む現代社会では、既存の商品・サービスの開発に固執していると競争に取り残されてしまう確率が高くなります。そこで登場したのが、企業内外と連携して研究・開発をおこなうオープンイノベーションという概念です。オープンイノベーションの概念ややり方を取り入れて、よりよい商品・サービス開発に活かしてみてください。