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貸金業法とは?総量規制や上限金利についても解説!
本記事では、貸金業法について知りたい方のために、総量規制や上限金利といったルールを解説いたします。
貸金業法とは?
貸金業法とは、貸金業者が貸付けを行う際の規制等について定めている法律です。社会問題になっていた多重債務問題を解決するために2006年に従来の法律(貸金業規制法)が抜本的に改正され、2010年に総量規制などの重要な部分を含む全ての規定が施行されました。
貸金業者とは、お金を貸す業務を行っており、内閣総理大臣(委任により金融庁長官)または都道府県知事に登録を受けている業者のことで、消費者金融やクレジットカード会社などを指します。銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・農協といった金融機関は別の法律で規制されているため貸金業者と分類されず、貸金業法が適用されません。
貸金業法のルール
以下に示すのは、貸金業法にかかわるルールのうち5つをお話しします。
■総量規制
■総量規制の適用を適用外(「除外貸付け」と「例外貸付け」)
■金利の上限
■指定信用情報機関
■収入証明書類
ここからは、それぞれの項目について詳しくご紹介していきます。
総量規制
返済能力を超えた過度な貸付け・借入れを防止するために、貸金業者から借入れることが可能な金額が原則として年収の3分の1までに制限されており、これを「総量規制」と呼びます。利用者がお金を借り過ぎたり、貸す側が過剰な貸し付けを行ったりすることを防止する目的で導入されました。
複数の貸金業者からお金を借りている場合、すべての貸金業者からの借入れの合計金額が、年収の3分の1以内であることが必要です。例えば年収300万円の場合、複数の貸金業者から合計100万円までしか借りることができません。
総量規制の適用を受けない例外(「除外貸付け」と「例外貸付け」)
総量規制は、あらゆる貸付けに対して適用されるわけではありません。まず、総量規制は、貸金業者から個人が借入れを行う場合に適用されるもので、法人名義での借入れには適用されません。
また、個人への貸付けであっても、以下のような一部の貸付けについては、総量規制は適用されません。
■除外貸付け
除外貸付けとは、総量規制になじまない貸付けのことです。具体例としては、住宅ローン、自動車購入のための自動車担保ローン、高額療養費を目的とした貸付け、一定の有価証券や不動産を担保とする貸付けなどが挙げられます。これらの貸付けは総量規制の対象とならず、総量規制における借入残高に借入額が算入されることもありません。
■例外貸付け
例外貸付けは「顧客の利益の保護に支障を生ずることがない貸付」と定義されています。例外貸付けの具体例には、顧客に一方的に有利となる一定の借換え、総量規制に該当する顧客の借入残高を段階的に減少させるための借換え、一定の緊急に必要と認められる医療費(高額療養費を除きます)を支払うための資金の貸付け、一定の個人事業主に対する貸付けなどがあります。これらについては、年収の3分の1を超えていても、「返済能力がある」と認められれば貸金業者から借入れ可能です。
ただし、除外貸付けと異なり、例外貸付けの借入額は総量規制の借入残高に算入されるため、年収の3分の1を超過すると除外貸付け・例外貸付け以外の借入れができなくなってしまいます。
金利の上限
金利の上限を定めている法律には、「利息制限法」と「出資法」の2つがあります。貸金業法の上限利率は利息制限法と同じになっています。
利息制限法における借入れの上限利率は、元本が10万円未満の場合は年率20%、元本が10万円以上100万円未満の場合は年率18%、元本が100万円以上の場合は年率15%と、貸付額に応じて変わります。上限を超える利率で貸付けを行った業者は行政処分の対象になり、上限を超えた部分の利率は無効となります。
また、出資法は、営業目的での貸付けについて年率20%を超える利息の契約を禁止しており、そのような利率で貸し付けた場合には刑事罰の対象となります。以前は利息制限法よりも出資法の上限利率(年率29.2%)の方が高く、利息制限法の上限利率と、出資法の上限利率の間の金利帯は「グレーゾーン金利」と呼ばれ、一定の要件を満たすと有効となっていましたが、法改正により2010年6月から出資法の上限利率は年20%に引き下げられ、グレーゾーン金利は撤廃されました。それにより、上限利率は利息制限法に定める上限利率となっています。
貸付額が10万円以上の場合は、「利息制限法の上限利率を超えているものの、出資法の上限金利である年20%は超えない」というケースが発生します。このような利率で貸付けを行った業者は、刑事罰の対象にはなりません。ただし、利息制限法によって行政処分の対象になり、利息制限法の上限利率を超えた金利は無効とされます。
指定信用情報機関
借り手の返済能力を超える貸付けを防ぐため、貸金業者は、個人向けの貸付けの契約を結ぶ場合には、「指定信用情報機関」の保有する信用情報を利用して返済能力を調査しなければなりません。また、個人との間で貸付けの契約を結んだ場合には、貸付けに関する信用情報を「指定信用情報機関」に提供しないといけないことになっています。現在、指定信用情報機関として内閣総理大臣から指定を受けている企業は、次の2社です。
■株式会社シー・アイ・シー(CIC)
■株式会社日本信用情報機構(JICC)
貸金業者からお金を借りると、貸金業者が加入している指定信用情報機関に氏名、住所、生年月日、電話番号、勤務先の商号または名称などの本人を識別する情報、貸付金額、支払の遅延の有無といった契約内容などの信用情報が提供されます。
収入証明書類
個人が一人の貸金業者から50万円を超えて借り入れる場合、または、複数の貸金業者から合計で100万円を超えて借り入れる場合は、「収入を証明する書類」を提出しなければなりません。以下に、収入を証明する書類の具体例をいくつか挙げます。
■源泉徴収票
■支払調書
■確定申告書
■納税通知書
■所得証明書
なお、一人の貸金業者から50万円以下、かつ、複数の貸金業者合計で100万円を超えずに借入れを行うのであれば、基本的にはこれらの書類の提出は必要ありません。その場合は、自己申告に基づいて収入が確認されることになります。
貸金業法による利用者のメリット
2006年に抜本的な法改正が行われて現行の貸金業法が誕生したことにより、以下に示すようなメリットが利用者にもたらされました。
①利用者の借りすぎを抑制できるようになる
②著しく高い金利で営業する貸金業者を市場から追い出し、貸金業界が健全になる
貸金業法が改正される前は、多重債務者の増加が社会問題となっていましたが、改正後の貸金業法に基づく厳しい規制によって多重債務問題は一時に比べて落ち着きを見せています。
まとめ
貸金業法や出資法の改正により、多重債務問題が改善され、グレーゾーン金利がなくなり、貸金業界は健全化に向かっています。現行法の厳しい規制は、利用者にとってメリットといえます。
現在の貸金業法では、総量規制によって原則として年収の3分の1までしか借入れできません。ただし、総量規制の適用を受けない「除外貸付け」や「例外貸付け」といった総量規制の適用外が存在することに留意しておきましょう。
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この記事を監修した人
【保有資格】
CFP、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザー