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消費税の申告方法とは?課税される条件や税額の計算方式についても徹底解説

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消費税の申告方法とは?課税される条件や税額の計算方式についても徹底解説
消費者が日々のショッピングの際にお店に商品代金とあわせて支払う「消費税」ですが、事業者は、消費者から預かった消費税から仕入れ代金に含まれる消費税を控除した金額を計算して申告書を作成する必要があります。

本記事では、事業を営んでいる方に向けて、消費税の納税義務が発生する条件や納税額の計算方式、申告方法について徹底解説いたします。

消費税の申告とは?

消費税の申告とは?

消費税とは、商品の販売やサービスの提供に対してかかる税金です。間接税であり、納税義務者と実際に負担する者が同じではありません。

2020年8月における消費税の標準税率は10%。内訳は、国税が7.8%、地方消費税が2.2%です。なお、食品や新聞のように軽減税率8%が適用される商品も存在します。内訳は、国税が6.24%、地方消費税が1.76%となっています。

消費税を負担するのは消費者ですが、納めるのは事業者の役割。消費税納付額は「消費者から預かった消費税」から「商品の仕入れの際に支払った消費税」を控除した金額です。ただし、すべての事業者が納税義務を課せられるわけではなく、基準期間の売上によって消費税課税事業者と免税事業者に分けられます。

基準期間は個人と法人で異なっており、個人の場合は前々年度の1月1日から12月31日までの期間。法人の場合は前々事業年度とされています。法人の事業年度は、「4月1日から3月31日まで」などと自由に決めることが可能です。
課税事業者は、消費税の納税額を確定させて、国(税務署)に申告・納付しなければなりません。適切に申告・納付を行わなかった場合、「無申告加算税」「過少申告加算税」「延滞税」「重加算税」といったさまざまなペナルティが課せられるので注意してください。

消費税の申告・納付をしなければならない条件

以下のいずれかに該当する場合は課税事業者になり、消費税の申告・納付を行う義務が発生します。

①前々事業年度(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超える
②基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合
③資本金1,000万円以上の企業を設立してから2事業年度の間

特定期間とは、個人事業者の場合は前年の1月1日から6月30日までの期間、法人の場合は原則として前事業年度開始の日以後6か月の期間です。また、課税売上高とは、非課税取引を除外した売上高を意味します。

なお、通常は企業を設立した直後は前々事業年度の売上がないため免税事業者になりますが、資本金が1,000万円以上の企業を設立した場合は、売上高に関係なく、設立から2事業年度の間は課税事業者になることに留意してください。

消費税の計算方法

消費税の計算方法は、以下に示す2つの方式から選択できます。

①原則課税方式
②簡易課税方式

どちらの計算方法を採用するかによって納税額に大きな差が出ることがあるため、税理士に相談する方が良いでしょう。

原則課税方式

原則課税方式を選択した場合、消費税納付額は以下の式で計算されます。

消費税納付額=「売上に含まれる消費税額」-「仕入れに含まれる消費税額」

この方式を選択するメリットは、「実際の仕入率が簡易課税方式の業種ごとに決まっている「みなし仕入率」よりも多い場合には、納税額が少なくて済む」ことや、「簡易課税方式のような課税売上高や選択期間の縛りがない」ことが挙げられます。

なお、取引のなかに非課税取引(消費税が課されない取引)が含まれている場合、課税売上高に対応する仕入高を求めなければならず、事務作業が煩雑になることが原則課税方式のデメリットです。非課税取引の具体例を挙げると、以下のようになります。

■土地の譲渡・貸付け
■住宅の貸付け
■商品券・プリペイドカード・切手・印紙の譲渡
■授業料・入学金・行政手数料・埋葬料

家賃に消費税がかからないことをご存知の方は多いのではないでしょうか。上に示すような非課税取引が含まれている場合は、除外して計算しなければならない点に注意しましょう。

簡易課税方式

簡易課税方式は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者のみ選択可能な計算方法です。ただし、事前に届出書を提出しなければならない点に気を付けてください。

簡易課税方式を選択すると、事業区分に応じた「みなし仕入率」を「売上に含まれる消費税額」にかけた金額が「仕入れに含まれる消費税額」とみなされます。以下に示すのは、消費税納付額の計算式です。

消費税納付額=「売上に含まれる消費税額」-「売上に含まれる消費税額×みなし仕入率」

みなし仕入れ率は、以下に示すように事業区分によって異なります。

■卸売業:90%
■小売業等:80%
■製造業等:70%
■その他(飲食店業等):60%
■サービス業等(運輸・通信業、金融・保険業、サービス業):50%
■不動産業:40%

簡易課税方式では、課税売上高のなかから非課税取引を除外する作業が必要ありません。ただし、設備投資などで大きな金額の消費税を支払った場合でも、一定の「みなし仕入れ率」をかけて「仕入れに含まれる消費税額」を算出するため、納税額の面で不利になる可能性があります。

原則課税方式と簡易課税方式のいずれが納税額の面で有利になるのか税理士に相談する方が良いでしょう。

消費税の申告方法

消費税の申告の流れは以下です。

①消費税申告書の入手
②添付書類の準備
③期限までに書類を作成して税務署へ提出

消費税申告書や添付書類は国税庁公式サイトからPDFファイルとしてダウンロードできるので、税務署に取りに行く必要はありません。添付種類については、原則課税方式の場合は付表2、簡易課税方式の場合は付表5を使用することに留意してください。

参考:国税庁公式サイト

申告期限および納期については以下のとおりとなっています。
・個人事業者の令和2年分確定申告:令和3年3月31日(水)
・法人の確定申告:事業年度終了の日の翌日から2か月以内
・課税期間の短縮を選択している場合:短縮した各課税期間終了後2か月以内

期限までに提出・納付しない場合、さまざまな附帯税を課されるケースがあるので、時間的な余裕を持って書類の作成を行いましょう。

期限までに消費税申告書を提出しないと附帯税を課される

以下に示すのは、期限までに申告書を提出しなかったり消費税を納めなかったりした場合に課される附帯税の例です。

■無申告加算税:申告していない場合に課される
■過少申告加算税:申告していても、納税額が過少だった場合に課される
■延滞税:納付が遅れた期間に応じて支払う附帯税
■重加算税:仮装・隠蔽などを行っていて、特に悪質と判断された場合に課される

これらは国税についての附帯税であり、地方消費税についても別途さまざまなペナルティが存在します。期日に間に合うように適切に申告・納付を行いましょう。なお、過少申告加算税については、税務調査の通知を受ける前に自主的に修正申告をすれば課税されません。

消費税増税で知っておくべきこと

2019年10月1日に消費税の標準税率が10%に引き上げられました。ただし、「酒類・外食を除く飲食料品」や「定額購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」のように軽減税率(8%)が適用される商品も存在します。

2019年9月30日までは請求書等を保存していれば仕入税額控除(仕入れにかかる消費税額の控除)を受けることが可能となっており、「請求書等保存方式」と呼ばれていました。しかし現在は、軽減税率の導入によって税率の異なる商品が混在する事態になったため、税率ごとに区分経理を行わなければ仕入税額控除を受けられません。

2019年10月1日から2023年9月30日までの期間は、仕入税額控除を受けるためには「軽減税率適用対象となる商品の仕入れなのか、それ以外の仕入れなのか」を明確にするための記載事項を追加した帳簿・請求書等を保存する必要があり、この方式は「区分記載請求書等保存方式」と呼ばれます。

なお、2023年10月1日からは、「適格請求書等保存方式」(インボイス制度)が導入される予定です。インボイス制度では品目ごとに軽減税率の対象であるかどうかを記載する必要が生じるため、インボイス制度に対応した会計システムで経理を行う場合は、区分記載請求書等保存方式で必要な記載事項も満たされることになります。

よくある質問

Q1 消費税とは?

消費税とは、商品の販売やサービスの提供に対してかかる税金です。間接税であり、納税義務者と実際に負担する者が同じではありません。

Q2 消費税の申告方法は?

消費税申告書や添付書類は国税庁公式サイトからPDFファイルとしてダウンロードできるので、税務署に取りに行く必要はありません。添付種類については、原則課税方式の場合は付表2、簡易課税方式の場合は付表5を使用することに留意してください。

まとめ

事業者は、前々年度の売上によって消費税課税事業者と免税事業者に区分されます。課税事業者は、「消費者から預かった消費税」から「商品の仕入れの際に支払った消費税」を控除した金額を納税しなければなりません。計算方法として原則課税方式と簡易課税方式を選択できますが、方式によって納税額が大きく異なる場合もあるので税理士に相談する方が良いでしょう。

消費税の申告・納付期限に遅れると附帯税を課されるので注意してください。軽減税率導入により複数税率が混在しているので、「区分記載請求書保存方式」に対応した会計システムを使うと便利です。紙の帳簿と電卓で計算することも可能ですが、クラウドソフト会計を利用すると楽に計算できるのでおすすめです。

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この記事を監修した人

新井 智美
新井 智美
2006年11月 卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級を取得。2017年10月 独立。主に個人を相手にお金に関する相談及び提案設計業務を行う。個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス)、企業向け相談(補助金、助成金の申請アドバイス・各種申請業務代行)の他、資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。

【保有資格】
CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員