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税務調査の内容とは?実施タイミングや調査の流れを解説

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税務調査の内容とは?実施タイミングや調査の流れを解説
税務調査は納税状態を確認する手続きのひとつですが、突然実施されることから慌ててしまうことも珍しくありません。現実的に税務調査を回避することは不可能なため、いつ調査に入られても問題のない対策を行うことが大切です。

この記事では税務調査の内容や実施されるタイミング、さらに対応方法について解説します。

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税務調査とは?

税務調査は個人事業主や法人(会社)だけでなく、個人に対しても実施される調査です。

国税庁の管轄組織である税務署などが、納税状況を確認し正しい申告&納付が行われているかを調査します。税務調査により誤りが確認された場合は、納税の是正を求められ修正申告が必要です。

調査の意義は、申告納税制度の公平性と正確性を維持することにあります。

戦前の日本では、「税務官署が所得を査定し、税額を一方的に告知する」という賦課課税制度が採用されていました。

しかし、税制の民主化のために所得税、法人税、相続税について1947年から申告納税制度が採用され、その後、すべての国税に適用されるようになったという経緯があります。

申告納税制度が適正に機能するためには、納税者の「義務を自発的かつ適正に履行する姿勢」が必要です。

しかし、社会は高い意識を持つ人物のみで構成されているわけではありません。そこで、税務調査による申告内容の確認、およびペナルティによって、公平な申告納税制度が保たれています。

税務調査が実施される時期

税務調査が実施される時期は、会社の決算時期によって異なることにご留意ください。

例えば3月決算の法人の場合は7~12月に調査があり、会社を訪問する実地調査は9~12月頃に行われる傾向にあります。日本では3月決算としている法人が多いことから、秋に税務調査が集中するようです。

反対に、1~3月は確定申告の時期ということもあり、この期間に税務調査が行われることは少ないといわれています。

法令に特段の規定はないものの、税務調査は、事前通知から2~3週間後に実施されるケースが一般的です。

なお、資料の準備や繁忙期のために調整ができない場合は日程調整を申し出ることが可能なので覚えておきましょう。

税務調査の種類

国税通則法(通74の2~74の6)には適正・公平な課税の観点から、税務職員(国税庁、税務署職員)が納税義務者に対して質問できる権限「質問検査権」が与えられています。

この質問検査権を行使する形で「任意調査」と「強制調査」が実施されます。

任意調査はとくに脱税などの疑いのない場合の調査で、事前に税務調査の通知(おもに電話)が入ります。急な税務調査ではないことから、必要な資料などをあらかじめ準備できます。

対して強制調査は脱税行為が疑われる場合に行われる税務調査で、想定される脱税額が高額であったり、内容が悪質であったりする場合に行われます。

ただし強制調査はあくまで特殊事情なので、この記事では一般的な任意調査について解説します。

任意調査の種類

任意調査は税務署が行う通常業務のひとつで、税務調査の大部分が任意調査といわれています。

また任意調査の対象になったからとすぐに事務所や自宅を調査されるわけではなく、「準備調査」を実施されたあとに必要な場合のみ「実地調査」が行われます。

準備調査は提出された申告書類を調査官が机上で確認する「机上調査」、事業所の調査や取引先、集客数を確認する「外観調査」、決算書や申告内容を書面で問い合わせる「書面調査」があります。

また不明点が多い場合には税務署に呼び出して説明を求める「呼出調査」などを実施します。

実地調査は納税者の事務所や自宅に出向いて調査を行うことで、直接帳簿などの書類を確認する調査です。

実地調査には帳簿を確認する「一般調査」、事前の通告がない「現状調査」、一般調査では不十分と判断された場合に実施される「特別調査」、さらに取引先なども対象になる「反面調査」などがあります。

任意調査は、ほとんどが事前に通知される「事前予告調査」ですが、なかには事前通知がない「無予告調査」が行われるケースもあります。

無予告調査が行われる最大の理由は、事前に通知することで証拠の隠滅が行われる可能性があるためで、実際に小売業や飲食業などの現金取引が多い業種が対象となる傾向にあるようです。

税務調査の対象になる会社

税務調査の対象になる会社

税務調査は平等に実施されていますが、実際には税務調査を長期間実施されていない会社も少なくありません。そこで税務調査の対象になりやすい特徴のある会社を考えてみましょう。

過去に不正が摘発された会社

過去の税務調査で不正を指摘された会社は、毎年税務署から厳しいチェックを受ける可能性があります。

また過去に不正を指摘されていない会社であっても、不正が多く見られる業種では税務調査の対象になりやすいと考えてください。ほかにも、不正があった会社と取引の実績があると調査の理由となる場合もあるようです。

中小企業

税務調査は大きな会社のみを対象にしていません。小さな商店であっても、納税を行っている以上は税務調査の対象です。とくに現金取引を行っている業種では、帳簿が管理されていないケースもあることから要注意です。

また毎年の売上や人件費などの経費が大幅に変動したり、利益幅が変化したりすると調査対象になりやすいと考えられます。

具体的な例では、テレビ取材や雑誌掲載などで一気に知名度がアップした企業などは対象になりやすいといわれています。

赤字の会社も決して対象外ではない

税務調査で勘違いしやすいのが赤字のケースです。あくまで税務調査は納税における申告が正しいかを調査する行為で、赤字でも黒字でも関係はありません。

とくに赤字申告にもかかわらず調査の結果、黒字と判明した場合は悪質と判断される可能性があります。

税務調査の対象になる個人

税務調査は会社に対してのみ実施されるわけではありません。個人も対象となるケースがあることにご留意ください。

以下、調査対象となるケースをご紹介します。

個人事業主

法人と比較すると調査対象となるケースは稀ではあるものの、個人事業主に対しても税務調査が実施されるケースがあります。日頃から正確に帳簿を付け、正しく申告・納税を行いましょう。

法人同様、売上が大きく伸びたり利益率が大幅に向上したりした場合に調査対象になる可能性があるほか、近年はネット取引によって大きな収入があった際にも調査対象となるケースがあります。

相続税を申告した方

相続税を申告した場合、申告内容が正しいかどうかを確認するために税務調査が行われることがあります。

国税庁の2018年の資料によると、相続税を申告した方は258,498名、相続税に関する実地調査の対象となった申告件数は12,463件と発表されています。

つまり、課税対象の相続人のうち約5%程度が申告漏れ・過少申告などを想定されたことによる税務調査を受けていることが分かります。

税務調査率によれば、「20人に1人」が申告漏れ・過少申告を疑われ調査対象となっています。ペナルティを科されないよう、正しく申告を行いましょう。

税務調査手続きの流れ

一般的な税務調査の流れは税務調査の事前通知から始まり、調査結果の説明、必要であれば修正申告により完了します。税務調査手続きの流れをご紹介します。

①事前通知

特殊な事情がないかぎり原則として、電話や郵送による調査の事前通知が行われます。実際に通知される内容は以下のとおりです。

・日時
・実施場所
・調査対象税(所得税、消費税など)
・調査対象期間
など

事前通知は税務代理権限証書を提出している税理士に対しても同様に行われます。

②事前準備

事前通知があったら、調査実施までの期間にさまざまな書類を用意しなければなりません。以下は、税務調査担当者へ提示・提出する可能性がある書類の例です。

■総勘定元帳
■仕訳帳
■現金出納帳
■納品書
■領収書の控え
■取引先との契約書
■稟議書

可能であれば税理士と相談しながら、余裕をもって書類の準備を進めましょう。

③質問検査など

税務調査の当日、調査担当者(調査官)は自身の身分証明書と質問検査章を調査対象者に提示します。税務調査が開始されると、調査担当者からの質問に正確に答える必要があります。また帳簿などの書類も求められる場合は提出・提示します。

質問検査では虚偽の回答を行ったり、書類の提示を拒んだりできません。また書類の偽造も禁止されています。これらに違反した場合は、罰則規定もあることから注意してください。

提出した書類については必要な場合にかぎり、調査担当者が預かり証と引き換えに預かることもあります。調査が完了することで返却されるので、預かり証の紛失には注意しましょう。

また、税務調査において必要がある場合には、取引先や雇用主などに対し、質問や検査等を行うことがあります。

④調査結果の説明

税務調査により申告の誤りなどが見つかった場合には、調査結果の説明を受けて修正申告(期限後納付)が勧奨されます。

あくまで納税は申告制なので強制ではなく勧奨ですが、放置することで処分が出る可能性があります。早急に対処することが大切です。

⑤修正申告・更正または決定

調査結果に納得した場合は修正申告(または限後納付)を行い、税務調査は終了します。

ただし勧奨に従わずそのまま放置した場合は、税務署長が更生または決定の処分を行い、処分の理由を記載した通知書を発送します。

税務調査の結果に納得できない場合は、処分の通知を受けた日の翌日から3ヵ月以内に「税務署長に対する再調査の請求」、「国税不服審判所長に対する審査請求」ができます。

なお、税務署長等に対する再調査の請求を行った場合でも、税務署長等の再調査の請求に係る決定後の処分になお不服があるときには、再調査の請求に係る決定の通知を受けた日の翌日から1ヵ月以内に、国税不服審判所長に対して審査請求ができます。

さらに国税不服審判所長に対する審査請求にも納得できない場合には、審査請求の裁決から6ヵ月以内であれば、裁判所に訴訟を提起できます。

税務調査で注目される項目

税務調査で注目される項目

税務調査の通知がきたら、期日までに帳簿書類などを確認して漏れがないかをチェックしましょう。

また調査担当者の質問に対して正確に答えられる準備も大切です。そこで税務調査で担当者が注目する項目をいくつかご紹介します。

【売上・経費】
約3年間の売上が確認される。また売上に対する経費の増減やバランスも要注意。

【減価償却費】
減価償却の対象資産に間違いがないかを確認。とくに減価償却の対象資産にもかかわらず、経費で一括処理されていないか注意する。

【修繕費】
会計年度の期末直前に修繕費が集中していると、期末日までに修繕工事が完了したのかを疑われる可能性がある。修繕の金額や工事完了日を証明できる、領収書や工事完了届などの証明書類を準備。

【人件費】
架空計上がないかを確認。とくに社会保険料の加入義務のないアルバイトの人件費は把握すること。

【交際費】
交際費は領収書などの書類に偽造がないかを調査。また交際費の内容などを細かく聞かれる可能性もあるので内容を確認する。

税務調査の事前対策

税務調査の事前通知が来た時点で慌てないためにも、普段から税務調査対策を行うことが大切です。

日常業務で行う事前対策として重要なのは売上処理です。売上はしっかり管理して、請求漏れ・計上漏れなどがないように注意してください。

また経理の仕訳も間違えないように注意が必要です。領収書など仕入や経費関係の書類を整理して、いつでも提出できるように整理します。

税務調査の事前通知が来たあとの対策として重要なのは、日々の業務(取引)の流れを正確に説明できる体制を整えることです。調査担当者に誤解を受けないように、証明書類を提示しながら説明できれば問題はありません。

またさらに、調査担当者がスムーズに税務調査を行えるよう、金庫、書類棚、机などを整理整頓することも重要です。

イレギュラーな取引に注意

取引のなかには遠隔地との取引など特殊なものがあります。特殊な取引は調査担当者に的確に説明できるように準備してください。

また代表者の個人支出と勘違いされやすい項目についても、事業に関する支出であることをきちんと説明できるようにしましょう。

経費の管理が不安な方はビジネスカードを導入しよう

普段からお金の管理を適切に実施していれば、税務調査に入られても慌てずに済みます。ビジネスカードを利用すれば、日々のお金の流れがわかりやすくなるほか、追加カードを発行すれば従業員の経費も管理しやすくなるでしょう。

以下、おすすめのビジネスカードを2枚ご紹介します。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード

プラチナ会員としての特典を受けられるビジネスカードで、補償や優待特典が手厚いことが特長です。

年会費は初年度無料、2年目以降は22,000円(税込)で利用できます。

税込1,000円につき1ポイントの永久不滅ポイントも貯まるので、事業に必要な物品・サービスを購入する際にお使いください。

なお、追加カードの年会費は1枚3,300円(税込)で、最大9枚まで発行できます。従業員に持たせておけば、経費精算の手間がかかりません。

ちなみに、引き落とし口座として設定する口座は、個人名義口座と法人名義口座から選択可能です。法人名義口座に設定してプライベートのお金と区別すれば、経費管理がラクになります。

以下は、ビジネスに役立つ優待特典・付帯サービスの例です。

■経理担当者向けのクラウド型経費精算サービス「Staple(ステイプル)」が6ヵ月間無料
■レンタカー・宅配サービスなどの費用が優待価格になる「ビジネス・アドバンテージ」
■ショッピングでJALのマイルが貯まる「SAISON MILE CLUB」の登録が可能
■最高1億円までの海外旅行傷害保険と最高5,000円までの国内旅行傷害保険

Stapleを使えば経費の精算に役立つほか、ビジネス・アドバンテージを活用することでコスト削減を実現できます。

また、マイルが貯まったり旅行傷害保険が付帯していたりするので、出張する機会が多いビジネスマンに適したカードです。

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セゾンプラチナ・ビジネス プロ・アメリカン・エキスプレス(R)・カード

年会費は27,500円(税込)となっていますが、1枚あたり3,300円(税込)の年会費で追加カードを発行可能(※1)なのが特長です。

各カードごとに利用枠を設定できるので、従業員にカードを持たせて物品・サービスの購入の際に使用させれば経費精算の手間がかかりません。

また、追加カードを持っている従業員も対象の旅行傷害保険が付帯しており、海外では1億円まで、国内では5,000万円まで補償されることも魅力です。

なお、以下の2つから、付帯する機能・サービスを選択可能です(※2)。

■最大84日間の支払猶予期間を確保
■1%のキャッシュバック

手元資金の柔軟な運用やキャッシュフロー改善を実現したい場合は、最大84日間の支払猶予期間の確保をお選びください。経費を削減したい場合は、1%のキャッシュバックを選ぶと良いでしょう。

そのほか、最長15ヵ月分の利用明細をWEB上で確認できるので、予算管理にも役立ちます。

ちなみに、入会資格は法人代表者に限定されています。また、個人事業主および未成年者を除く点にもご留意ください。

(※1)代表者カードを含めて合計100枚まで
(※2)選択したサービスにかかわらず、セゾンプラチナ・ビジネス プロ・アメリカン・エキスプレス・カードの利用は永久不滅ポイント付与の対象外

税務調査に関するよくある質問

以下、さまざまな疑問点や不明点をお持ちの方に向けて、税務調査に関する「よくある質問」と「回答」をQ&A形式でご紹介します。

税務調査はいつ実施されるの?

税務調査は、決算時期、異動の時期を避けて秋ごろに実施されるケースがほとんどです。一般的に、事前通知から2~3週間後に行われますが、繁忙期などで調査が難しい場合は日程の調整を申し出ることも可能です。

なお、事前通知の方法は特段の定めがなく、一般的には電話によって口頭で伝えられます。

調査の際に気を付けるべきポイントは?

一般的な質問から、すでに調査はスタートしています。

「亡くなった親族が普段どのように過ごしていたか」といった雑談のように思える質問であっても、調査に関連する情報の確認である可能性があります。齟齬が生まれないよう、事実に基づく回答を心がけましょう。

なお、税務署預かりになる書類もあるため、手元にないと困る書類は事前にコピーしておく方が良いでしょう。不安な方は、税理士に立会いをお願いすることをおすすめします。

「申告内容に誤りがある」と指摘されたら、どうすれば良い?

申告書の内容を修正する「修正申告」の手続きが必要です。実際の税額よりも少なく申告していた場合は、「実際の税額と納付済の税額の差額分」に加えて、過少申告加算税や延滞税などの加算も納付しなければなりません。

普段から帳簿を正しく付け、分からない点がある場合は税務署や税理士に相談し、ミスしないように慎重に申告書を作成しましょう。

まとめ

申告内容を確認する税務調査は、不正がないかぎり心配することはありません。しかし普段の業務が忙しく経理処理をおろそかにすることで、ミスを指摘されるかもしれません。

経理処理のミスを減らす対策として有効な手段は、クラウド型経費精算サービスや会計ソフトの導入です。

さらに、「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード」や「セゾンプラチナ・ビジネス プロ・アメリカン・エキスプレス(R)・カード」といったビジネスカードを保有し、従業員向けに追加カードを発行してクラウド型経費精算サービスや会計ソフトと連携させれば、経理処理の手間を減らせます。

税務調査対策のひとつとして、クラウド型経費精算サービスとビジネスカードの導入を検討されてはいかがでしょうか。ぜひこの機会にご検討ください。

この記事を監修した人

安田 亮
安田 亮
京都大学3回生在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人で約4年間、東証一部上場企業で6年間勤務し、その後2018年9月に神戸市中央区で独立開業。税理士業務だけでなく、連結決算などの会計コンサルティング業務も行なう。また、1級FP技能士とCFP(R)の資格も保有しており、個人のお金・家計・税金分野についても強みを持つ。お客様により具体的なアドバイスを行なうために、自らも家計管理・株式投資・節税など日々実践している。

【保有資格】
CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、公認会計士、税理士