法人とは?株式会社から特殊法人までその特徴を解説!設立方法についても紹介
また、法人設立の流れや費用についてもあわせて理解しておくと、実際に設立する際に役立つでしょう。
本記事では、法人の基本的な知識や種類を解説するほか、個人事業主との違いや法人の設立方法なども紹介します。これから法人化の予定がある方は、ぜひ参考にしてください。


法人とは法律で認められた人格のことを示す
法人とは、法律で認められた人格のことです。法人を設立し、法律上の人格を獲得すると、権利義務の主体となることができます。
権利義務の主体となると、商品を売買する、税金を納める、民事訴訟を起こすといった法的な権利・義務を、法人という組織でも持てるようになります。
なお、法人は大きく「営利法人」「非営利法人」「公的法人」に分けられます。
以下では、非営利法人のうち公益性の高い法人も含めて、主な法人の種類を紹介します。
各法人の特徴を解説
日本では、法律の定めによりさまざまな法人があります。
具体的には、営利法人の株式会社や合同会社、非営利法人の一般財団法人や一般社団法人、公的法人の地方公共団体や特殊法人などです。
以下では、主な法人の特徴を解説します。
| 営利法人 | 株式会社 | |
| 合同会社 | ||
| 合資会社 | ||
| 合名会社 | ||
| 非営利法人 | 共益組織 | 協同組合 |
| 管理組合 | ||
| 互助会 | ||
| 公益法人 | 一般財団法人 | |
| 公益財団法人 | ||
| 一般社団法人 | ||
| 公益社団法人 | ||
| NPO法人 | ||
| 宗教法人 | ||
| 公的法人 | 地方公共団体 | |
| 独立行政法人 | ||
| 特殊法人 | ||
株式会社
株式会社は営利法人の代表的な法人です。
株式を発行して資金を調達し、事業を行う点に特徴があります。また、間接有限責任であるため、社員(出資者)は出資額を限度として責任を負い、原則として債権者から直接責任を追及されることはありません。
株式会社を設立する際には、定款の認証を受け、登記手続きを行います。出資は経営者自ら行うこともでき、経営者と株主が同じ人物である「1人会社」も可能です。
なお、国税庁によれば令和5年度の組織別法人数では、株式会社が2,659,393社となっており、全体の89.9%を占めています。株式会社のなかで売上高1位はトヨタで、48兆円(2025年3月決算期)を超えています。
合同会社
合同会社(LLC)は、2006年5月に施行された会社法改正により認められた、新しいタイプの営利法人です。出資者と経営者が同一であり、出資者全員が有限責任社員である点に特徴があります。
営利法人のなかでは株式会社に次いで2番目に多い202,723社となっており、全体に占める割合は6.9%です。
代表的な合同会社には、以下があります。
●アップルジャパン
●グーグル
●アマゾンジャパン
合同会社は株式会社と比較して設立手続きが簡単で、費用も株式会社ほどかからないため、少ない資金で法人を設立したい方に好まれている法人形態です。
一方で、合同会社は持分会社(出資者=会社の経営者)であるため、株式会社のように出資者の地位を他者へ自由に譲渡できません。
また、そもそも株式の概念がないため、株式を発行して資金調達ができず、資金調達方法は助成金や借り入れなどに限られるといったデメリットもあります。
なお、株式会社では会社を代表する役職を「代表取締役」といい、合同会社には取締役という役職がないため、会社を代表する者は「代表社員」となります。
合資会社
合資会社は、無限責任社員と有限責任社員で構成される営利法人です。株式会社と比べ無限責任社員を必要としますが、決算公告は不要で資本金の制度もありません。
合資会社の設立には定款の作成が必要です。株式会社と比較すると設立手続きの費用は少なく、手続きも容易となっています。
合名会社
合名会社は無限責任社員のみで構成される営利法人です。出資者全員に無限責任が課されるため、重い責任があることが特徴となります。
合資会社と同様に設立には定款の作成を要します。株式会社と比べると設立の費用は少なく、手続きは比較的容易です。
協同組合
協同組合とは、共通の目的をもつ個人が集まり、組合員として管理運営を行う非営利法人です。具体例としては、農業協同組合や森林組合、生活協同組合や信用金庫などがあります。
協同組合の設立には、発起人の選定や定款の作成などのうえ、行政庁への設立認可申請が必要です。
管理組合
管理組合とは、マンションなどの集合住宅の維持や管理を目的とする組織です。法人化が可能であり、法人となることで不動産の取得や登記などが可能となります。
管理組合を法人化する場合は、所有者間で議決を行い、法務局への設立登記申請が必要です。
互助会
互助会はある一定の属性をもつ会員同士の相互扶助を目的につくられた組織です。例としては、職員互助会や冠婚葬祭互助会などがあります。
互助会や町内会、同窓会などの任意団体を法人化する制度として中間法人がありましたが、2008年の中間法人法の廃止を受け、一般財団法人や一般社団法人へ移行しています。
一般財団法人
一般財団法人は、公益法人制度改革関連3法が2008年12月に施行されたことにより、新たに設立可能となった法人です。一般財団法人は「財産」に法人格が与えられたものであり、具体例には美術館や奨学金支給を行っている団体などがあります。
一般財団法人は非営利法人となりますが、事業自体に制限があるわけではなく、収益事業を行うことも可能です。
ただし、株式会社のように営利を目的とした法人ではないため、社員や設立者に剰余金や残余財産の分配を受ける権利を付与することはできず、収益は法人の活動のために使われます。これは、営利法人との大きな違いです。
なお、一般財団法人の設立には300万円以上の財産拠出が必要です。行政庁の許認可は必要なく、比較的簡単な登記手続きで設立できます。
公益財団法人
公益財団法人は一般財団法人のなかで、行政庁に公益性を認められた法人です。公益を目的とする23の事業に限定されており、税制上の優遇措置を受けられます。
公益財団法人を設立する場合には、設立登記を行ったあと、行政庁(内閣府または都道府県知事)による公益認定が必要です。
一般社団法人
一般社団法人もまた、公益法人改革により生まれた法人です。一般財団法人が「財産」に法人格を与えることに対し、一般社団法人では「人」に対し法人格を付与します。
一般社団法人は登記により比較的簡単に設立可能です。活動に制限がなく、収益を上げることも可能なため、介護事業や資格認定機関など幅広い団体に利用されています。
公益社団法人
公益社団法人は、一般社団法人のうち公益認定を受けた法人のことです。公益目的事業には公益財団法人と同じ23の事業が挙げられており、税制上の優遇措置があります。
公益社団法人を設立する際には、一般社団法人として設立登記を行ったあと、行政庁(内閣府または都道府県知事)による公益認定が必要です。
NPO法人
NPO法人は、特定非営利活動法人のことを指しています。「社会教育の推進」や「国際協力」など20の分野の活動を非営利で行う法人であり、補助金や支援プログラムが充実している点が特徴です。
ただし、NPO法人の設立にはさまざまな要件を満たしたうえで、所轄庁の認証が必要です。一般社団法人と比較すると、設立に期間を要します。
宗教法人
宗教法人とは、神社や教団のような宗教団体のうち、法人格を取得したものです。神社や寺院など単体で礼拝施設を持つ「単位宗教法人」と、複数の施設を束ねる「包括宗教法人」があります。
宗教法人の設立には、所定の事項を記した規則を作成したうえで、都道府県知事または文部科学大臣の認証が必要です。
地方公共団体
地方公共団体は一定地域を基礎とする公的法人です。国とは別の法人格を有しています。
地方公共団体は地方自治法を根拠としており、「普通地方公共団体」と「特別地方公共団体」の2つに分類されます。
●普通地方公共団体:都道府県、市町村
●特別地方公共団体:特別区、地方開発事業団、財産区
普通地方公共団体には、都道府県と市町村があり、都道府県がそれぞれに属する市町村を統括しています。
また、特別地方公共団体は、それぞれが特定の目的のために設置された地方公共団体で、特別区は東京23区のことをいいます。
独立行政法人
独立行政法人とは国の行政活動のうち、実施部門にあたる一定の事務や事業を分離し法人格を与えたものです。
活動は主務大臣による目標のもと、各法人の自律性によって運営されています。例としては、国立大学や国立病院機構などがあります。
特殊法人
特殊法人とは国に必要な事業のうち、企業的経営がなじむものについて特別の法律により独立の法人格を与えたものです。
活動は国による特別な監督のもと、できる限りの自主性により経営されています。具体例には株式会社日本政策金融公庫や新関西国際空港株式会社などがあります。
法人と個人事業主の違い
法人と混同されやすい言葉として個人事業主があります。「法人を設立する」「個人事業主として働く」という2つの選択肢があり、その主な違いは以下のとおりです。
●個人事業主:資本金・設立費用が不要。一般的に法人と比べて社会的信用度が低いため、融資の調達で不利になることがある
●法人:資本金・設立費用が必要(株式会社の場合、会社設立にかかる費用は約21~25万円)。社会的信用度が高い傾向があるので、融資の調達が有利になることがある。
個人事業主は資本金や設立費用が不要であり、設立時の手続きは開業届の提出で済む点は大きなメリットです。
一方、法人は個人事業主より範囲の広い経費を会計処理できます。また、個人事業主よりも社会的信用が高いため、金融機関からの融資や企業との取引で有利に働く点も魅力です。
このほかにも、決算期、確定申告の時期、社会保険の取り扱い、赤字の繰越欠損などに違いがあります。
個人事業主か法人かどちらで開業すべきか
独立後、個人事業主と法人のどちらで開業すべきかは、それぞれのメリット・デメリットを比較して判断する必要があります。
以下では、判断する際のポイントを解説します。
事業規模で判断する
個人事業主か法人のどちらで開業すべきか悩んだときは、事業規模を判断基準のひとつにすると良いでしょう。個人事業主の場合、所得金額に応じて所得税率が決まります。
所得金額が900万円を超えると所得税率は33%、所得金額が1,800万円を超えると所得税率は40%、4,000万円を超えると45%です。一方で法人税率は23.2%(※)であるため、所得税率と法人税率を比べて法人税率の方が安くなる場合、法人化を検討したほうが良いでしょう。
また年商が1,000万円を超えた場合、翌々年度から課税事業者になり消費税を納める義務があります。この2つの指標を基に考えると、所得金額が900万円、年商が1,000万円を超えそうであれば法人化を考えたほうが良いでしょう。
さらに個人事業主と法人を比較すると、法人の方が社会的な信用度が高い傾向にあります。融資を受けたいときに、法人化したほうが場合によっては有利になることもあります。
(※)開始事業年度が2021年4月1日以降、資本金1億円以下の法人で年800万円超の部分です。税率は所得税、法人税ともに2026年度時点の値となります。
個人事業主から始めて後々法人化する方法もある
独立時に、個人事業主として始めるか法人を設立するかで悩む方も多いでしょう。
そのような場合は、まず個人事業主として事業を始め、あとから法人化する方法も選択肢のひとつです。個人事業主は設立費用がかからないため、初期の負担を抑えやすい点がメリットです。
最初から従業員を複数雇って事業を始めると、資金面などで苦労することがあります。小規模な個人事業主からスタートし、軌道に乗ったら法人化・雇用を検討する方法であれば、資金的なリスクを抑えることができます。
法人(株式会社)の設立方法
個人事業主から法人化するためには、方法を知っておく必要があります。一般的には、株式会社を設立する場合が多いので、ここでは株式会社の大まかな流れを紹介します。
1.基本事項の決定
2.定款の作成
3.定款の認証
4.登記に必要な書類の作成
5.登記申請を行う
株式会社を設立するためには、まず会社の目的や社名、事業内容など会社の基本事項を決めて、定款を作成します。定款とは、会社の憲法とも呼べるもので、会社の根本となる重要な規則になるため、専門家と相談しながら適切に作成しましょう。
定款の作成後は、公証人(法務大臣に任命された法律事務の専門家)に、定款に法律上の問題がないかなどを確認してもらい、認証を受けます。
そのあと、設立登記に必要な書類を作成して申請を行い、株式会社を設立します。登記の申請場所は本店所在地を管轄する法務局などになるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
株式会社の設立にかかる費用
株式会社の設立には、定款の認証や登記の申請が必要なため、費用がかかります。
株式会社の設立にかかる主な費用は以下です。
| 費用 | 金額 |
|---|---|
| 定款の印紙代 | 4万円(電子定款の場合は不要) |
| 定款認証の手数料 | 3万円~5万円 |
| 定款謄本証明書 | 1枚250円(おおむね8枚、2,000円程度) |
| 登録免許税 | 払込資本金の0.7%(15万円以下は一律15万円) |
このように、株式会社の設立には最低でも18万円程度の費用がかかります。
費用は資本金によっても変動するほか、上記以外に専門家への委託料や印鑑代、封筒代、名刺代などの費用も必要になります。そのため、株式会社の設立には、ある程度の初期費用がかかることを覚えておきましょう。
法人にかかる税金の種類
法人は、納める税金の種類が個人事業主とは違う点にも注意が必要です。
法人にかかる主な税金の種類は以下になります。
| 税金の種類 | 内容 |
|---|---|
| 法人税 |
|
| 法人住民税 |
|
| 法人事業税 |
|
| 消費税 |
|
| 固定資産税 |
|
上記のほか、法人は厚生年金や健康保険などの社会保険に加入する義務もあり、個人事業主のときに比べて、一般的に社会保険料の負担が大きくなるため、覚えておきましょう。
税制優遇や助成金も活用しよう
法人化する場合は税制優遇や助成金を活用するのがおすすめです。主な税制優遇や助成金には以下のようなものがあります。
| 税制優遇 | ●欠損金繰越控除制度 ●少額減価償却資産の特例 ●法人税の欠損金の繰戻しによる還付など |
| 助成金 | ●小規模事業者持続化補助金(創業型) ●キャリアアップ助成金など |
税制優遇や助成金はほかにもあるため、法人化するときは専門家への相談や、政府の公式サイトなどで確認しておくと良いでしょう。
法人におすすめのクレジットカード
これから法人を設立するという方は、併せてビジネス用のクレジットカードの発行をおすすめします。ビジネス用のクレジットカードがあれば、経理管理の簡略化やポイントによる経費削減といったメリットがあります。
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まとめ
法人を設立すべきかどうかは、しっかりと検討して決めるべき内容です。法人には株式会社や合同会社などさまざまな種類があります。今後の売上予測なども踏まえて、自分にとってベストな選択肢を選べるようにしましょう。
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この記事を監修した人

【保有資格】
弁護士、宅地建物取引士





