ダブルワークで働いている場合は税金はどのように納めればいい?
しかしダブルワークで働いている場合は、たとえサラリーマンであっても自分で手続きを行って税金を支払わなければならない場合があります。
ただ、これまでにそういった手続きの経験がなければ、どのようにして税金を納めれば良いのかわからずに困ってしまう可能性も高いでしょう。
本記事では、ダブルワークをしている方がどのように税金を納めるのか解説します。併せて、どのような場合に確定申告を行う必要があるか、確定申告の手順などについても説明します。


ダブルワークとは
ダブルワークとは「ダブル」「ワーク」という言葉のとおり、2つの仕事を掛け持ちすることを指し、一般的には正社員や契約社員として働いている方が、副業としてアルバイトで働いているようなケースが多いです。
ただ、明確な定義があるわけではないため、さまざまな形態のダブルワークが考えられます。
● 会社員をしながら、資格を持つ人が自宅で教室やサロンを経営する
● パートをする傍ら、クラウドソーシングを利用して仕事をする
● 派遣として働きながら、SNSやブログなどを運用しアフィリエイトで収入を得る
正社員として働いている以外にアルバイトを2つ掛け持ちしており、合計で3つの仕事をしているような場合は「トリプルワーク」ということもあり、複数の仕事を行っているケースをまとめて「マルチワーク」と呼ぶ場合もあります。
以前は会社の規程で副業禁止のところも多かったものの、最近では働き方改革の影響などで副業を認める会社も増えてきているので、ダブルワークやトリプルワークの人口も少しずつ増えてきています。
ダブルワークをしている方が払う税金と計算方法
会社員が年末調整で精算される分はあくまでもその会社での給料を基にした金額であり、ダブルワークで得た収入に関しては考慮されていません。
そのため、ダブルワークの収入がある場合には、会社員であっても自分で確定申告をして税金の精算をしなければならない場合があります。
税金の計算方法を知るために、まずは「課税所得金額」の計算方法を知りましょう。
● 年間所得(売上) - 経費 - 所得控除 = 課税所得
課税所得とは、所得から各種控除を差し引いた金額です。課税所得に税率をかけ、さらに税額控除を差し引くことで、納税額を算出できます。
以下で、所得税と住民税の計算方法を解説します。
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所得税
所得税額は、以下の方法で計算します。
● 課税所得額 × 税率 - 税額控除 = 納税額
所得税の税率は、課税所得額によって異なるため注意しましょう。190万円未満の部分が5%、190万円以上から330万円未満の部分が10%、というように、課税所得総額に対して部分ごとに税率が変わるイメージです。
それでは、課税所得額ごとの税率を紹介します。以下の表は「所得税の速算表」です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から 1,949,000円まで |
5% | 0円 |
1,950,000円から 3,299,000円まで |
10% | 97,500円 |
3,300,000円から 6,949,000円まで |
20% | 427,500円 |
6,950,000円から 8,999,000円まで |
23% | 636,000円 |
9,000,000円から 17,999,000円まで |
33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から 39,999,000円まで |
40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、課税所得額が700万円であれば、23%をかけてから控除額を差し引くと、簡単に所得税額(税額控除前額)を計算できます。
住民税
住民税は、「所得割」と「均等割」を合算して納税額を求めます。
● ((課税所得額 × 10%) + 5,000円) - 税額控除 = 住民税額
所得割は、課税所得額に応じて納税額が変わる住民税です。税率は、「都道府県民税・都民税4% + 区市町村民税6% = 10%」となっています。所得割額の計算方法は、以下のとおりです。
● 課税所得額 × 10% - 税額控除 = 所得割額
そして、均等割は、所得額にかかわらず一律の金額を納めます。2025年2月現在の均等割額は「都道府県民税1,000円 + 市区町村民税3,000円 + 森林環境税1,000円 = 5,000円」です。
これまでは復興特別税として1,000円を納めていましたが、こちらは廃止され、新たに森林環境税が導入されました。
ダブルワークで確定申告が必要な例
先ほど「確定申告をして税金の精算をしなければならない場合がある」とお伝えしましたが、ダブルワークをしている方が必ずしも確定申告をしなければならないわけではありません。
ダブルワークをしている方が確定申告が必要な例としては、以下が挙げられます。
● 2つの会社で働きそのうちの1社で年末調整を受けている場合
● アルバイトの掛け持ちで年末調整を受けていない場合
● 給料以外の副収入がある場合
● 2箇所以上で年末調整をした場合
それぞれについて、説明します。
2つの会社で働きそのうちの1社で年末調整を受けている場合
2つ(もしくはそれ以上)の会社から給与をもらっていても、年末調整を行うことができるのはひとつの会社だけです。
先述のとおり、年末調整で行われる税金の精算はその会社の給料しか考慮に入れられておらず、複数の会社から給与をもらっている場合には正しい税金計算ができません。
そのため、税金を正確に計算するために自分で確定申告を行う必要があります。
なお、年末調整を受けない会社からの給与については、仕組み上、源泉所得税が多めに徴収されるため、確定申告を行うと還付されることが多いです。
アルバイトの掛け持ちで年末調整を受けていない場合
アルバイトとして働いている場合、職場が年末調整を行ってくれないケースもあります。
そのため、ダブルワークとして働いている職場が、どちらも年末調整を行わないバイト先の場合は税金の精算ができないため、自分で確定申告を行わなければなりません。
なお、年間での収入が合計103万円以下の場合は、所得税の課税対象にはならないため、掛け持ちしているバイト先の給料が合計103万円以下の場合は、確定申告が不要です。
ただし、バイト先で源泉徴収されているような場合は、確定申告により税金の還付が受けられるので、その点には注意しておきましょう。
上記のケースと同様に、こちらも還付になることが多いです。
給料以外の副収入がある場合
本業では給料として収入を得ており、副業では給料以外の形で収入を得るようなダブルワークの形もあります。
この場合も、本業の職場で行われる年末調整には副業で得た金額は考慮されていないので、確定申告を行わなければなりません。
ただし、本業で年末調整を受けている場合には、給料以外の副収入の所得が20万円以下なら確定申告をしなくても大丈夫です。
ここで重要なのは、「収入20万円以下」ではなく「所得20万円以下」ということです。
副業で20万円を超す収入を得ていても、経費計算をした結果の所得が20万円未満であれば確定申告は必要ないので、しっかりと経費計算をすることを忘れないようにしましょう。
なお、住民税については「所得20万円以下」というルールはありません。少しでも所得が出れば申告する必要がありますのでご注意ください。
2箇所以上で年末調整をした場合
2箇所以上で年末調整をした場合、二重で控除がかかっているため、本来納めるべき税額よりそれぞれの納税額が低くなっている可能性があります。
例えば、勤務先Aと勤務先Bで年末調整をした際に、それぞれで保険料控除10万円の申請をしている場合、本来は総所得に対して10万円の控除を受けるべきところ、20万円の控除を受けていることになります。
● 正しく年末調整した場合
○ (所得A100万円 + 所得B100万円) - 所得控除10万円 = 課税所得190万円
● 誤って二箇所の年末調整で控除申請をした場合
○ (所得A100万円 - 所得控除10万円) + (所得B100万円 - 所得控除10万円) = 課税所得180万円
このように、2箇所以上で年末調整をした場合も、確定申告をして正しい納税額を算出し、適宜納税しないといけません。
ダブルワークで確定申告をする時期
ダブルワークをしている方は、基本的に確定申告が必要になります。面倒かもしれませんが、確定申告をして正しい納税額を申請することは非常に重要です。
節税対策をしっかりと行えば、場合によっては払いすぎた税金が還ってくる可能性もあります。
以下で、確定申告の時期や手順などを解説します。
確定申告はいつでも好きなタイミングで行っても良いというわけではなく、行える時期が明確に決められています。
令和6年分(2024年分)の確定申告の提出スケジュールは、2025年(令和7年)2月17日(月)から同年3月17日(月)です。この期間で、前年の1月1日〜12月31日までの所得について、申告をします。
今後もダブルワークを継続する予定であり、毎年確定申告を行う可能性が高い方は覚えておくと良いでしょう。
上述した期間内に申告できなければ、加算税や延滞税などの税金を課されてしまうことがあり、余分に税金を支払わなければならなくなる可能性があります。
また、青色申告をしている場合、申告が遅れると最大65万円控除が適用されなくなるため、納税額が大幅に増額となってしまう可能性があります。
確定申告のシーズン前にあらかじめ準備を行い、できるだけ早めに確定申告を済ませるよう心がけましょう。
確定申告の手順
確定申告をする場合の大まかな手順は、以下のとおりです。
1. 確定申告書の用紙を入手
2. 確定申告書に必要事項を記入
3. 確定申告書を提出
確定申告をする際は、以下のものが必要になります。
● 本人確認書類(マイナンバーカード、健康保険証など)、マイナンバーがわかるもの
● 銀行口座番号がわかるもの
● レシートや領収書など経費関係の書類
● 保険料納付書など控除が証明できる書類
● 請求書、給与明細書などの所得が証明できる書類
確定申告書は税務署に行けばもらえますが、インターネットでダウンロードすることもできるので、お近くに税務署がない場合はダウンロードするのがおすすめです。
なお、以前は確定申告書にはAとBの2種類がありましたが、現在は一種類の書式に統一されています。個人事業主でもダブルワーカーでも会社員でも、使用する申告書は同じです。
また、国税庁のウェブサイトには、画面の案内に従って金額などを入力するだけで申告書や決算書を作成できる「確定申告書等作成コーナー」があります。
確定申告書を作成するのが初めてで不安だという方は、このようなサービスも積極的に利用すると良いでしょう。
確定申告書等作成コーナーでは作成途中の申告書を保存しておくこともできるので、不明点がある場合などは一度申告書を保存し、不明点がクリアになってから申告書の作成を再開するのが賢明です。
なお、必要事項の記入を終えた確定申告書は、税務署の窓口に直接持参しても、郵送で提出してもOKです。
e-Taxを利用して確定申告書のデータを送信する、という形で確定申告を行うことも可能ですが、e-Taxによる確定申告を行う場合は電子証明書付きのマイナンバーカードのほか、ICカードリーダライタが必要になります。
また、「ID・パスワード方式」を利用すればマイナンバーカードなどがなくてもe-Taxを利用しての確定申告が可能ですが、ID・パスワード方式はマイナンバーカードおよびICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な対応です。
e-Taxを利用したい場合はマイナンバーカードの取得を検討するほうが良いでしょう。
ダブルワークをしている方におすすめのビジネスカード
ダブルワークをしている方に、おすすめのビジネスカードを紹介します。
● セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
● セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
上記の2種類はいずれも個人事業主やダブルワーカーでも申し込めるものです。
以下で、カードの魅力をそれぞれご紹介します。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードは、JALマイルが貯まりやすく、ビジネスシーンで役立つ特典も充実しているビジネスカードです。
JALのマイルの還元率は、最大1.125%と高還元率(※1)(※2)となっています。海外でのカード利用時は永久不滅ポイントが2倍(※3)(※4)になり、200ポイントを500マイルに交換できるので、さらに効率よくマイルを貯めることが可能です。
また、レストラン予約や旅行手配などを24時間365日対応している「ビジネス・アドバンテージ」や、加盟ホテルでのVIPアップグレードなどビジネスで役立つサービスも魅力的です。
国内外の空港ラウンジをお得に利用できる「プライオリティ・パス」の無料登録や、最高1億円(※5)の国内旅行傷害保険、海外旅行傷害保険なども付帯(※6)していて、出張の多い方にもおすすめのカードとなります。
なお、申込時は原則として、決算書や登記証明書(登記簿謄本)は不要です。初年度は通常22,000円(税込)の年会費が無料なので、初めてのビジネスカードとしてもおすすめできます。
(※1)SAISON MILE CLUB(セゾンマイルクラブ)への登録が必要です。
(※2)セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードの場合、SAISON MILE CLUB(セゾンマイルクラブ)の年会費5,500円(税込)です。
(※3)一部還元率の異なるサービスおよび加盟店がございます。
(※4)ポイントは小数点以下は繰り上げになります。
(※5)海外旅行傷害保険の傷害死亡・後遺障害保険金額、国内旅行傷害保険の傷害死亡・後遺障害保険金額です。追加カード会員は対象外となります。
(※6)航空券代や宿泊費などの支払いに本カードを利用した場合に適用されます。
>>詳細はこちら
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
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(※)ポイントは小数点以下は繰り上げになります。
(※)ポイント還元率はサービスによって異なる場合があります。
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まとめ

ダブルワークである程度の収入を得ている場合は、確定申告を行って税金を正しく支払わなければなりません。
今まで確定申告を行った経験がない場合は、初めての確定申告でいろいろと手間がかかる可能性があるため、確定申告の時期が来る前に早めに準備をしておくことが重要です。
また、ダブルワークでの収入を給料以外で得ている場合は、所得の計算を行う必要がありますが、その際にはかかった経費の計算を正確に行わなければなりません。
経費の支払いをクレジットカードで行っておけば、利用明細を見返すことでどのように経費を利用したかを把握することができます。
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どちらのカードも事業に役立つ特典やサービスが多数付帯しているので、個人事業主のような形でダブルワークを行う方は、ぜひ発行を検討してみてください。
この記事を監修した人

【保有資格】
CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、公認会計士、税理士