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入社手続きに必要な書類や備品を解説!予期せぬトラブルの対処法も紹介
内定者に用意してもらう必要がある書類や署名・捺印、そして返送が必要な書類などもあるので、きちんと把握したうえで丁寧にアナウンスする必要があります。
本記事では、入社手続きについて1から詳しく解説していきます。手続きの際に予期せぬトラブルが起こったときの対処法や入社手続きをよりスムーズかつお得に進めるための、会計ソフトとビジネスカードもご紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
内定者の入社前に会社が用意しておく書類は?
採用活動を終えていざ内定者が入社するというときは、会社は入社前に以下のような書類を用意しておく必要があります。
・採用通知書
・入社承諾書、誓約書
・雇用契約書(労働契約書)
採用通知書と入社承諾書、誓約書は返信用封筒を添えて、内定者に郵送し、入社承諾書、誓約書に署名・捺印をしてもらって返送を待ちます。
署名・捺印により内定者の入社への承諾・誓約の意思が確認できたら、雇用契約書(労働契約書)の作成に取り掛かり、再度内定者に郵送します(電話で合格を伝え、雇用契約書を含めて1回で手続きを済ませる会社もあります)。
上記書類以外にも、業務内容によっては内定者の入社日までに社員証や名刺、デスク、椅子、電話、パソコン、必要に応じて制服などの備品確保をします。メールアドレスや社内イントラ用のID発行など、インターネット環境の構築も進めておく必要がある場合もあります。
入社日はスムーズに内定者を迎え入れることができるよう、事前に用意をしておきましょう。
以下では、上記でご紹介した3種類の書類について詳しく解説します。
①採用通知書
採用通知書は、内定者に対して、会社が正式に「あなたを採用します」という意思を伝える書類です。
一般的に採用通知書には、下記の内容を記載して内定者に送ります。
● 採用応募についての御礼
● 採用内定のお知らせ
● 同封書類の案内
● 提出が必要な書類と提出期限
● 入社日(未定の場合は、別途連絡する旨を記載)
● 問い合わせ先(人事担当者の連絡先、担当者名など)
これらは、必ず発行するものではありませんが、一般的には会社側が内定者に応募してくれたことの感謝を表すために、速やかに発行した方が良いとされています。
すぐに採用の意思を伝えることで、内定者が今後予定していた他社との面接を断ったり思いとどまったりする可能性があるので、内定辞退を防ぐ観点からも必要な書類だといえるでしょう。
なお、採用通知書を出したあと、会社側の都合による採用取り消しは労働契約法によって違法となってしまうため、注意が必要です。
②入社承諾書、誓約書
入社承諾書、誓約書は、内定者が会社への入社を承諾し、誓約することを示す書類です。「特別な理由がない限りは入社します」という意思を示してもらう目的があります。
署名・捺印のうえ、内定者に返送してもらったり入社日に持参してもらったりするのが一般的です。
③雇用契約書(労働契約書)
雇用契約書と労働条件通知書は、労働基準法により、内定者を採用する場合の雇用条件について明示するための書類です。雇用条件に関わるトラブル発生を防ぐために、会社と内定者の双方で確認・締結する必要があります。双方が控えを保管できるよう、2部作成しておくようにしましょう。
雇用契約書(労働契約書)に記載すべき事項は、以下のとおりです。
・労働契約の期間
・就業事項
・従事する業務内容
・就業場所
・始業・就業時間、休日(有給休暇を含む)、休憩時間、所定労働時間を超えた場合の労働有無
・賃金・賞与
・賃金・賞与の支払時期
・退職事項(解雇事由を含む)
こちらは絶対記載しなければなりません。また相対的記載事項も、もし会社に規定があれば絶対に記載が必要です。
入社前に内定者に用意してもらう書類は?
上記では、入社前に会社が用意する書類についてご説明しましたが、内定者に用意してもらう書類もあります。必要書類を内定者に丁寧にアナウンスして、きちんと受け取れるように体制を整えておきましょう。用意してもらう書類は、以下のとおりです。
● マイナンバーが確認できるもの
● 雇用保険被保険者証
● 年金手帳
● 源泉徴収票(前職がある場合、年末調整に必要)
● 健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者資格取得等届(配偶者や子どもなど家族がいる社員の場合、必要)
● 住民票
● 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
● 雇用契約書、入社承諾書(内定者の署名、捺印済みのもの)
● 給与振込先申請書、身元保証書(必要に応じて提出)
● 通勤手当または、住宅手当支給申請書(必要に応じて提出)
● 資格免許証または、合格証明書類(採用条件として資格が明示されていた場合)
● 健康診断書
● 個人情報保護法に基づく誓約書
このなかでも特にマイナンバーは重要な個人情報なので、取り扱いに要注意です。マイナンバーを取得する際は事前に利用目的を明確にし、本人確認を厳密に行う必要があるので、覚えておきましょう。
内定者の入社後に会社が行う手続き
めでたく内定者の入社日を迎えたあとも、会社は大忙し。入社後にも会社はさまざまな手続きを行わなければなりません。重要なのは、以下でご紹介する3つの手続きです。
法定三帳簿を作成する
1つめは、法定三帳簿の作成です。法定三帳簿とは、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の3つの総称で、労働基準法107条から108条によって作成することが定められています。出勤簿については労働基準法には明記されていないのですが、労働基準法施行規則第54条の内容などから、保管が必要とされている帳簿です。
以下では、各帳簿についてご説明していきます。
労働者名簿
社員の性別や住所、業務の種類、入社年月日、退職年月日とその理由などを記載する帳簿です。会社には、労働者名簿を作成して保管する義務があります。
賃金台帳
給与支払いに関する情報(賃金の計算期間、労働日数、労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数、休日労働時間数、基本給や手当などの種類と額、控除項目と額など)を記載する帳簿です。
出勤簿
各労働者の出勤日と労働日数(出社・退社時刻を含む)、日別の労働時間数、時間外労働を行った日付と時刻・時間数、休日労働を行った日付と時刻・時間数、22時から翌5時までの深夜労働を行った日付と時刻・時間数などを記載する帳簿です。会社で保管することが義務付けられています。
社会保険(健康保険、厚生年金)の手続き
2つめは、社会保険(健康保険、厚生年金)の手続きです。社会保険は、労働者個人を守るための必要な保障です。
正規雇用、非正規雇用(アルバイト、パート、派遣社員、契約社員)にかかわらず、社会保険の加入条件を満たしている場合は、必ず手続きを行いましょう。
区分 | 加入条件 |
---|---|
正規雇用 | ● 70歳未満であること |
非正規雇用 | ● 1週間の所定労働時間および1ヵ月の所定労働日数が、正規雇用の4分の3以上であること ● 契約期間が2ヵ月以上になること(所定の期間を超えた場合はその日から被保険者となる) |
なお、非正規雇用者の場合は、所定労働時間および所定労働日数が4分の3未満でも、以下の条件をすべて満たす場合は、加入対象になるので覚えておきましょう。
● 週の所定労働時間が20時間以上あること
● 雇用期間が1年以上見込まれること
● 賃金の月額が8万8000円以上であること
● 学生でないこと
● 常時501人以上の会社に勤めていること
また、主な手続きは、年金事務所または健康保険組合・厚生年金基金に「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を提出するというものです。受理されることで、社員が保険の被保険者として認められます。
社員となった者に配偶者や子どもがいるなら「健康保険被扶養者(異動)届」、配偶者が国民年金の第3号被保険者なら「国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届」も併せて、雇用開始から5日以内に提出する必要があります。
万が一提出が遅れると、社員や社員の家族が好ましいタイミングで医療機関を受診できなかったり、医療費が高額になったりしてしまうといったトラブルの元なので、必ず期日内に手続きを行っておきましょう。
雇用保険の手続き
3つめは、雇用保険の手続きです。雇用保険は、失業した際や育児休業をとった際の失業給付、育児休業給付を受け取るために必要な保険です。加入対象となるのは、31日以上の雇用が見込め、所定労働時間が週20時間以上の従業員です。
主な手続きは、ハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」と、添付書類として法定三帳簿や雇用契約書などの雇用を証明できるものを提出するというものです。前職がある者を採用した場合は雇用保険が引き継がれるため、被保険者番号の確認のために雇用保険被保険者証を提出してもらう必要があります。
期日は、雇用開始した日の翌月10日までです。
仕事に必要な備品
社会保険や雇用保険の手続きのように義務ではありませんが、入社後、内定者がスムーズに仕事ができるよう、必要な備品を準備しておくことも大切です。
主に準備しておいたほうが良いものは、以下のようになります。
● デスク、椅子、パソコン、事務用品など(スムーズに業務を開始できるように)
● メールアドレス設定、インターネット環境などの設定
● 制服(制服着用が必要な場合)
● 社員証や名刺(必要に応じて)
● ICカードの支給(ビルやオフィスの入退室で使う場合)
社内システムへ社員情報の登録
会社によって異なりますが、給与計算システムや人事システムを採用している場合は、給与計算の業務を行う前に、新入社員の必要な情報をシステムに入力しておきましょう。
新入社員の情報は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の情報を参照します。
なお、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、原則としてその年の最初に新入社員が給与の支払いを受ける日の前日までに提出してもらいます。
年末調整にも関係するため、必ず提出してもらいましょう。
入社手続きで予期せぬトラブルがあったときの対処法
入社手続きには、社会保険の手続きのように期限が決まっているものもあるため、スピーディな対応が必要です。しかしながら、さまざまな要因によって、期限に間に合わない場合や書類がそろわないなどのトラブルも起こりえます。
ここでは、入社手続きに関する主なトラブルの対処法をご紹介します。
雇用保険被保険者番号が不明
雇用保険被保険者番号は、雇用保険加入手続きに必要ですが、新入社員が雇用保険被保険者証を紛失してしまい、雇用保険被保険者番号がわからないケースがあります。
このようなときは、新入社員本人に行動してもらい、雇用保険被保険者番号を確認してもらいましょう。
以下の方法で雇用保険被保険者番号を確認できるため、新入社員に伝えてください。
● 前職の会社に問い合わせて確認する
● ハローワークに本人確認書類と前職の企業名および住所がわかるものを提出して、雇用保険被保険者証の再交付手続きを行う
年金手帳の紛失
社会保険の手続きには基礎年金番号が必要になりますが、年金手帳の紛失などで基礎年金番号がわからないというケースがあります。
年金手帳に関しては、本人の届出意思を確認できれば事業主が再交付の手続きを行っても問題ないため、急ぎで必要な場合は、会社側で手続きをしても構いません。
なお、年金手帳は無料で再交付が可能です。手続きの詳細は日本年金機構の公式ページで確認ができるので、確認しておくと良いでしょう。
社会保険や雇用保険などの手続きが期限に間に合わない
社会保険や雇用保険の手続きは、原則期限が設けられていますが、期限内に手続きが間に合わない場合は、期限を過ぎてからでも手続きが可能です。
ただし、60日以上の期限を過ぎた場合は、追加で「賃金台帳と出勤簿の写し」の提出を求められることがあるので、覚えておきましょう。
また、6ヵ月以上の期限を過ぎた場合は、上記に加えて遅れた理由を記載した「遅延理由書」の提出が必要になるため、手続きの手間が増えます。
なお、社会保険は入社日まで遡って保険料を徴収され、雇用保険は記録を遡ることができるのが原則過去2年間までとなりますので注意が必要です。
入社手続きには会計ソフトの利用がおすすめ!
入社手続きには、さまざまな書類の用意や手続きが必要です。一部会計ソフトには、入社手続きに必要となる書類作成や情報管理を行える機能が付帯しています。
以下では、そのような機能が付帯しているおすすめの会計ソフトを2つご紹介します。
freee
1つめは、「freee」です。「freee」は、個人や20名以下の法人、21名以上の法人などを対象に幅広くサービスを提供している会計ソフトです。クレジットカードや銀行口座、ネットバンキングと連携すると明細が自動で読み込まれて、入力作業を削減できます。
手軽なスマホアプリを利用すれば、レシートを撮影して金額や日付を自動で読み取ることも可能です。
「freee」の法人向けプランのベーシックプランには「入退社を始めとした労務手続き」の機能があるため、入社手続きに必要な書類作成に役立てることができます。
かんたんクラウド(MJS)
2つめは、「かんたんクラウド(MJS)」です。株式会社ミロク情報サービスが提供する、インストール不要型のソフトです。
初心者の方でも、従業員の社会保険やマイナンバーの管理ができる機能が整っています。
入社手続きや経理業務の効率化に役立つおすすめのビジネスカード
セゾンでは入社手続きの簡略化に便利な会計ソフトの優待のほか、多様なビジネスシーンで使える機能や特典が付帯したビジネスカードをご用意しています。ここでは、おすすめのビジネスカードを3枚ご紹介します。
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
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セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードは、年会費22,000円(税込)で発行可能です。
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・一部還元率の異なるサービスおよび加盟店がございます。
入社手続きについてのまとめ
入社手続きには、さまざまな書類作成や手続きが必要不可欠です。内定者に用意してもらう必要がある書類もあるので、誤りのないようしっかりとアナウンスを行っておきましょう。
できるだけ入社手続きを簡略化させたい場合は、上記でご紹介した会計ソフトの活用がおすすめです。「試用期間が欲しい」という方は、セゾンのビジネスカードを合わせて活用するのがおすすめです。
また、今回ご紹介したカードは、会計ソフトの優待が付帯しているだけではなく、さまざまなビジネスシーンで活用できるカードになっています。この機会に、セゾンのビジネスカードをご検討ください。
この記事を監修した人
【保有資格】
社会保険労務士、2級ファイナンシャルプランニング技能士