給与計算の方法をわかりやすく解説!具体的なやり方をステップに沿って紹介
本記事では、給与計算の流れを総支給額・控除額・手取り額の順にわかりやすく解説し、給与計算の注意点も紹介していきます。
給与計算の基本を把握しておきたい方は、ぜひ参考にしてください。


給与計算のやり方
従業員の給与は、一般的に以下の流れで計算します。
1. 総支給額を計算する
2. 控除額を計算する
3. 差引総支給額を計算する
総支給額は、基本給に割増賃金と各種手当を加算して計算します。
控除額には、社会保険料や源泉所得税・住民税などがあり、これらを総支給額から差し引くことで手取り額となる差引総支給額が算出できます。
次項から給与計算のやり方を上記のステップに沿って詳しく解説していきます。
【給与計算の手順①】総支給額を計算する
総支給額は、基本給に割増賃金と各種手当を加えて計算します。総支給額の計算方法を順に見ていきましょう。
勤務時間を集計する
タイムカードや手書きの勤務表などを基に1ヵ月分の労働時間を集計します。給与計算にあたり、以下のような情報が集計されている必要があります。
● 所定労働日数
● 勤務日数
● 有休取得日数
● 欠勤日数
● 遅刻時間・早退時間
● 総労働時間
● 残業時間
● 休日労働時間
● 深夜労働時間
割増賃金を計算する
時間外労働、休日労働、深夜労働をした際には、通常の賃金に加えて、割増賃金のお支払いが必要です。対象となる労働や割増率は次のとおりです。
| 労働の種類 | 対象となる労働時間 | 割増率 |
|---|---|---|
| 法定外時間外労働 | 1日8時間週40時間を超えた分の労働時間 | 25%以上 |
| 1ヵ月60時間を超えた分の労働時間 | 50%以上 | |
| 休日労働 | 週1日または4週を通じて4日の法定休日での労働時間 | 35%以上 |
| 深夜労働 | 22時から5時までの時間帯の労働時間 | 25%以上 |
出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「改正労働基準法のあらまし」
割増賃金は以下の式で計算できます。
割増賃金 = 1時間あたりの賃金 × 対象となる労働時間 × 割増率
※1時間あたりの賃金 = 月給 ÷ 1年間での1ヵ月の平均所定労働時間
各種手当を計算する
給与の総支給額には、以下のような各種手当も含まれます。手当が付く場合は、支給額を計算して給与に加えます。
● 通勤手当:通勤に必要な交通費
● 家族手当:扶養家族に対して支給
● 皆勤手当:一定の勤務日数を達成することで支給
● 住宅手当:家賃、住宅ローンの補助
● 役職手当:役職に応じて支給
● 資格手当:業務に関連する資格を保有している場合に支給
なお、手当の種類によっては所得税が非課税になるものがあり、例えば通勤手当は業務に関する経費の扱いなので月15万円までは所得税の課税対象外です。
総支給額を計算する
割増賃金と各種手当を算出したら、それらを基本給に加算して総支給額を計算します。
総支給額 = 基本給 + 時間外手当 + 各種手当
【給与計算の手順②】控除額を計算する
給与から控除するものとして、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料や源泉所得税、住民税が挙げられます。
控除額の計算方法を見ていきましょう。
健康保険料・介護保険料
健康保険料・介護保険料は、標準報酬月額に保険料率をかけて計算します。標準報酬月額は、毎年4月〜6月の3ヵ月の給与の平均額のことです。標準報酬月額はその年の9月から翌年の8月まで適用されます。
健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料の保険料率
介護保険料 = 標準報酬月額 × 介護保険料の保険料率
介護保険料は40歳から64歳までの人(第2号被保険者)が、健康保険料と一緒に支払います。
会社員の健康保険は、健康保険組合や協会けんぽの健康保険が主にあります。
健康保険組合の健康保険・介護保険の保険料率は組合ごとに決められています。
また、協会けんぽの健康保険の保険料率は、都道府県ごとに決められており、介護保険の保険料率は全国一律(2025年の場合は1.59%)となっています。
なお、健康保険料・介護保険料は労使折半なので、会社と従業員で半分ずつ負担します。
厚生年金保険料
厚生年金保険料も、標準報酬月額に保険料率をかけて計算します。厚生年金保険料の保険料率は全国一律で18.3%で、2017年9月以降は固定されています。
厚生年金保険保険料 = 標準報酬月額 × 厚生年金保険料の保険料率
厚生年金保険料も労使折半で、会社と従業員で半分ずつ負担します。
雇用保険料
雇用保険料は、総支給額に保険料率をかけて計算します。
雇用保険料 = 総支給額 × 雇用保険の保険料率
雇用保険料率は厚生労働省が定めており、令和7年度の場合は次のとおりです。労働者負担分を給与から控除します。
| 事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 |
|---|---|---|
| 一般の事業 | 5.5/1,000 | 9/1,000 |
| 農林水産・清酒製造の事業 | 6.5/1,000 | 10/1,000 |
| 建設の事業 | 6.5/1,000 | 11/1,000 |
源泉所得税
所得税は、所得に対して課税される税金です。
所得税は、暫定的な金額を源泉徴収として毎月の給与から天引きし、所得税額が12月に確定したあとに年末調整で差額を精算することになります。
毎月の給与からの源泉徴収額は、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」から金額を確認します。給与所得の源泉徴収税額表では、その月の社会保険料等控除後の給与等の金額を基に扶養親族等の人数ごとの源泉徴収額が参照できます。
住民税
住民税は、毎年春に各自治体から送られてくる「住民税課税決定通知書」を参照します。
通知書に各月別に会社が従業員の給与から天引きすべき金額が記載されているため、そのとおりに給与から控除すれば問題はありません。
【給与計算の手順③】差引総支給額を計算する
総支給額と控除額を基に差引総支給額を計算します。差引総支給額が従業員の手取り額であり、従業員の給与振込口座に振り込む金額です。
差引総支給額(手取り額) = 総支給額 - 控除額
給与計算における注意点
給与計算は人数や勤務形態により複雑化し、ミスが出やすい作業といえます。
ここからは、給与計算時に特に注意したいポイントをご紹介します。
賃金支払いの五原則を守る
賃金支払いの五原則とは、「1.通貨で、2.直接労働者に、3.全額を、4.毎月1回以上、5.一定の期日を定めて支払わなければならない」という労働基準法第24条で定められている5つのお支払い原則のことです。
労働基準法第24条の五原則に違反すると、30万円以下の罰金が科せられます。
勤怠や残業を確実に管理する
給与計算を正確に行うためには、従業員の勤怠や残業の情報を確実に管理することが重要です。
特にアルバイトやパートなど時間給で働く従業員は、労働時間の集計ミスが起こりやすいため注意が必要です。
打刻忘れや誤入力がないか確認し、残業や休日労働、深夜労働が発生している場合は適切な割増賃金を計算できるよう、勤怠管理を徹底しましょう。
従業員情報を正確に把握する
給与計算では、従業員の役職や人事評価などの情報を正確に把握し、昇給や手当の計算に適切に反映させることが必要です。
また、従業員情報の更新が漏れると、給与計算の誤りや税金の過不足につながる可能性があるため、定期的な情報確認が重要となります。
そのほか、扶養家族の人数なども所得税や社会保険料の計算に影響するため、申告内容を最新の状態に保つようにしましょう。
社会保険料・税金の計算方法ミスをしないようにする
給与計算は社会保険料や税金の代理納付の意味合いがあります。計算を間違えて申告してしまうと、あとから多額の金額を請求されたり訴訟の対象になってしまったりするリスクがあります。
また、納税では追徴課税などのペナルティを受ける可能性も考えなくてはなりません。
情報漏洩に注意する
給与計算は従業員の個人情報と密接に関係します。情報漏洩などの問題が発生すると、刑事事件として扱われる可能性もあります。個人情報保護法に沿った対応をしましょう。
給与計算をする方におすすめのビジネスカード
給与計算は、従業員の勤怠管理や社会保険料・税金の計算など、必要な業務が多く時間がかかります。給与計算の時間を確保するために、経理作業の負担を軽減することも重要な視点です。
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|---|---|
| ポイント還元率 | 海外利用で2倍(※1)(※2) |
| スマホ決済 | Apple Pay、Google Pay™、QUICPay™(クイックペイ) |
| 追加カード | 年会費3,300円/枚(税込)で9枚まで発行可能 |
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まとめ
従業員の給与は、総支給額や控除額を計算し、差し引きをすることで手取り額となる差引総支給額が算出できます。
基本的な流れや、割増賃金や控除額の基本的な計算方法を押さえて、毎月の給与計算に役立てていきましょう。
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この記事を監修した人

【保有資格】
CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、公認会計士、税理士





