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給与計算方法について解説!2023年4月からの割増賃金率や注意点もあわせて紹介

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給与計算方法について解説!2023年4月からの割増賃金率や注意点もあわせて紹介
「労働の対価」といわれる給与ですが、その計算方法をしっかりと理解している方は少ないでしょう。特に最近は給与計算を自動で行う会社が多いため、なかには詳しい給与計算方法を知らない方もいるかもしれません。

本記事では、給与における計算方法や注意点など基礎的な内容を解説します。2023年4月から適用される新たな割増賃金率もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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給与計算のやり方

給与計算を行う際は、従業員に支給する基本の給与だけでなく社会保険料や税金の計算もする必要があります。各項目で計算のルールが異なるため、給与計算を手動で行う場合は計算方法をしっかり把握しておきましょう。

なお、給与計算は下記の流れに沿って行われるのが一般的です。

1. 労働時間を集計する
2. 総支給額を計算する
3. 控除額を計算する(健康保険料や雇用保険料、厚生年金保険料など)
4. 所得税を計算する
5. 控除額を差し引いて手取りの支給額を確定する

総支給額には、基本給以外に時間外手当(残業代)や各種手当が含まれます。これらを含む総支給額から、控除額を差し引いた金額が「手取り支給額(差し引き支給額)」として支払われます。

【給与計算方法①】基本の給与

従業員に支給する基本の給与は、主に「時間外手当」と「各種手当」、この2つを基本給に加算した「総支給額」で構成されています。以下でそれぞれの概要、計算時の注意点を解説します。

時間外手当

時間外手当は基本給に含まれない労働(残業)に対して支払われる報酬です。出退勤記録帳やタイムカードを集計することで、その月の残業時間を確認します。

残業には一般的な時間外労働のほかに深夜労働、休日労働も含まれ、それぞれ下記の割増率を乗じた割増賃金を支払わなくてなりません。

● 時間外労働:25%以上(時間外労働が月60時間以下の場合)
● 休日労働:35%以上
● 深夜労働:25%以上(加算)

【 時間外手当 】=【 労働時間 】×【 1時間あたりの賃金 】×【 割増率 】

22時~翌日5時までは深夜労働となり、さらに25%加算されます。例えば残業5時間のなかで、深夜労働が1時間含まれる場合は、4時間分が25%増しで1時間分が50%増しです。

時間外手当に関する割増率は会社によって異なりますが、ここで紹介した率は労働基準法で定められた最低率であり、この基準を下回ってはなりません。

2023年4月から時間外労働の割増賃金率が引き上げに

これまで月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は、大企業が50%、中小企業が25%と定められていました。しかし、2023年4月からは、中小企業の割増賃金率が下記のように引き上げられることが法改正によって決定しています。

企業の規模 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率
大企業 50%
中小企業 50%(これまでは25%)

中小企業で月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の計算を行う場合、これまでと計算方法を変える必要があるので気をつけましょう。

特に時間外労働が月60時間を超えるかどうかは、しっかりチェックしなければいけません。

中小企業の場合、これまでは時間外労働が月60時間あるかどうかに関係なく、25%の割増賃金率で計算することができました。しかし、2023年4月からは「時間外労働が月60時間以下の部分は25%」、「時間外労働が月60時間を超える部分は50%」と分けて計算する必要があります。

各種手当

給与の総支給額には時間外手当のほかに、以下のような各種手当も含まれます。

● 通勤手当:通勤に必要な交通費
● 家族手当:扶養家族に対して支給
● 皆勤手当:一定の勤務日数を達成することで支給
● 住宅手当:家賃、住宅ローンの補助
● その他

手当を計算する際は、課税対象かどうかを確認しましょう。手当の種類によっては、所得税が非課税になる場合があります。例えば、通勤手当はあくまで業務に関する経費の扱いなので、月15万円までは所得税の課税対象外です。

つまり、所得税を計算するうえで、通勤手当は除かなくてはなりません(上限を超過した場合は超えた額のみ課税対象)。

また、最近では公平性を高める目的で、通勤手当を除く手当を見直しする会社が増えています。

総支給額

時間外手当と各種手当を算出したら、それらを基本給に加算して総支給額を計算します。

【 総支給額 】=【 基本給 】+【 時間外手当 】+【 各種手当 】

例えば、基本給が20万円、時間外手当3万円、通勤手当2万円の場合、総支給額は25万円です。

【給与計算方法②】社会保険料

【給与計算方法②】社会保険料

総支給額から控除するものとして社会保険料を計算します。控除する社会保険料は下記の項目です。

● 健康保険料
● 介護保険料
● 雇用保険料
● 労災保険料
● 厚生年金保険料

以下で各項目の計算方法をご紹介します。

健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料

社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)の計算には、「標準報酬月額」を使用します。標準報酬月額は毎年4月~6月の報酬から月の平均報酬を算出したもので、これに各保険料の保険料率を乗じて算出します。

【 標準報酬月額 】=【 4月~6月の報酬合計 】÷ 3

【 社会保険料 】=【 標準報酬月額 】×【 保険料率 】

健康保険の保険料率は全国健康保険協会で定められており、都道府県によって異なります。介護保険料は40歳~64歳まで必要で一律1.79%、厚生年金保険料は18.3%が保険料率として計算されます。

ただし、これらの計算は日本年金機構に提出する「算定基礎届」により行われるため、給与計算として実施する必要はありません。

実際の社会保険料の計算は毎月会社に送られてくる「社会保険料の納入通知書」に記載されているので、その金額を控除額として総支給額から差し引いてください。

また、社会保険料は労使折半なので、会社と従業員で半分ずつ負担します。

雇用保険料・労災保険料

労働者の雇用を守る目的の雇用保険は、失業した場合の失業給付や雇用の安定が目的です。雇用保険料は労使折半で総支給額に保険料率を乗じて計算します。

【 雇用保険料 】=【 総支給額 】×【 保険料率 】

総支給額は通勤手当などの手当、賞与も含みます。保険料率は事業の種類により厚生労働省が定めており、一般の事業で9/1000(会社:6/1000、労働者:3/1000)です。つまり、給与から控除するのは総支給額の3/1000と考えましょう。

業務上の事故や病気に対して補償が受けられる労災保険は、全額会社が負担しなくてはなりません。保険料率は業種により細かく規定されており、林業で60/1000、農業で13/1000、金融業で2.5/1000などさまざまです。

【 労災保険料 】=【 総支給額 】×【 保険料率 】

なお、労災保険料は会社が全額負担なので給与から控除してはなりません。

【給与計算方法③】税金

毎月の給与からは、源泉徴収される税金も控除する必要があります。以下では、給与計算時に登場する税金の種類と計算方法を解説します。

所得税

所得税は1年間の所得に対して課税される税金ですが、給与所得者に対しては源泉徴収として毎月の給与から差し引きます。

所得税は年間の総所得が確定しないと正確な税額が計算できないことから、源泉徴収対象者は毎年12月の確定申告により所得税を確定させます。

毎月の給与から源泉徴収する額は、総支給額から社会保険料や非課税手当を差し引いた「課税所得」に対して、源泉所得税率を乗じることで計算します。

【 源泉徴収額 】=【 課税所得 】×【 源泉所得税率 】

なお、給与から差し引く税額は、国税庁が公開する「給与所得の源泉徴収税額表」から確認可能です。

表には課税所得と扶養人数に応じた税額が記載されており、該当する項目を見るだけで源泉徴収所得税がわかります。例えば、対象月の課税所得が25万円で扶養親族が1名の場合、源泉徴収所得税は4,920円です。

住民税

住民税は、毎年春に各自治体から送られてくる「住民税課税決定通知書」を参照します。通知書に各月別に会社が従業員の給与から天引きすべき金額が記載されていますので、そのとおりに給与から控除すれば問題はありません。

給与計算をする際に押さえておくべきポイント

給与計算を行ううえで押さえておきたいポイントは下記の3つです。

● 賃金支払いの五原則の遵守
● 社会保険などの要件確認
● 自治体が定める給与支払いのルール

賃金支払いの五原則とは、「1.通貨で、2.直接労働者に、3.全額を、4.毎月1回以上、5.一定の期日を定めて支払わなければならない」という労働基準法第24条で定められている5つの支払い原則のことです。労働基準法第24条の五原則に違反すると、30万円以下の罰金が科せられます。

このほか、社会保険の要件を満たしているかどうか、自治体が定める給与支払いのルールなども押さえておく必要があります。給与に関する法律や条例は改正される場合もあるので、給与計算時は必ず最新の情報を確認しておきましょう。

給与計算における注意点

給与計算における注意点

給与計算は複雑に見えてシンプルです。しかし、人数や勤務形態により複雑化し、ミスが出やすい作業ともいえます。ここからは、給与計算時に特に注意したいポイントをご紹介します。

時間給従業員の給与計算方法

基本給が定められた社員と違いアルバイトやパート従業員などは、時間給で働くことから計算に間違いが出やすくなります。

基本的な計算方法は社員と変わりませんが、残業時間などは月で確認するのではなく、毎日確認するようにしてください。労働契約書に記載された定時を認識し、時間外手当を計算する必要があります。

扶養家族の人数の把握

同じ額面給与の方でも、扶養家族の人数によって源泉徴収すべき所得税額が変わってきます。扶養家族の定義を把握し、従業員から適正な扶養家族の人数を申告してもらいましょう。

社会保険料・税金の計算方法ミス

給与計算は社会保険料や税金の代理納付の意味合いがあります。計算を間違えて申告してしまうと、あとから多額の金額を請求されたり訴訟の対象になってしまったりするリスクがあります。

また、納税では追徴課税などのペナルティを受ける可能性も考えなくてはなりません。

情報漏洩

給与計算は従業員の個人情報と密接に関係します。情報漏洩などの問題が発生すると、刑事事件として扱われる可能性もあるので気をつけてください。個人情報保護法に沿った対応をしましょう。

給与計算をする方におすすめのビジネスカード

給与計算は手間のかかる作業なので、担当の従業員に任せたり、外注したりするケースが多いです。しかし、「事務作業にリソースを割きたくない」などの理由から、自分で給与計算をしている方もいらっしゃるでしょう。

このように普段の業務に加えて給与計算も自身で行っている方には、業務の効率化を図り給与計算の時間を確保するために、ビジネスカードの発行がおすすめです。ビジネスカードによっては仕事に役立つ特典が付帯しており、特典を上手に活用すれば業務の効率化に期待できます。

業務を効率化できれば仕事に余裕が生まれ、給与計算に取り組む時間を確保しやすくなります。以下では業務の効率化につながる特典が付帯するおすすめのビジネスカードを2枚ご紹介するので、ぜひ申し込みを検討してください。

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年会費 ・初年度年会費無料
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入会資格 個人事業主・経営者をはじめ、安定した収入があり、社会的信用を有するご連絡可能な方(学生、未成年を除く)
ポイント還元率 ・1,000円(税込)の利用につき1ポイント(※)
・海外でのショッピング利用時は、1,000円(税込)の利用につき2ポイント
国際ブランド American Express
追加カードの発行可能枚数 年会費3,300円(税込)の追加カードを最大9枚まで発行可能
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まとめ

正しく給与を算出するには、決められたルールに沿った計算が必要です。給与計算方法を間違えてしまうと、修正に時間がかかるだけでなく法的な罰則が適用される可能性もあるので注意しましょう。

また、給与未払いの問題が発生すると会社の悪評が立ってしまい、ビジネスに悪影響が出る可能性が考えられます。

こうしたミスを防ぐには、給与計算を入念に行うことが大切です。給与計算にじっくり取り組む時間がない方は、業務の効率化につながるビジネスカードの発行をぜひご検討ください。

この記事を監修した人

安田 亮
安田 亮
京都大学3回生在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人で約4年間、東証一部上場企業で6年間勤務し、その後2018年9月に神戸市中央区で独立開業。税理士業務だけでなく、連結決算などの会計コンサルティング業務も行なう。また、1級FP技能士とCFP(R)の資格も保有しており、個人のお金・家計・税金分野についても強みを持つ。お客様により具体的なアドバイスを行なうために、自らも家計管理・株式投資・節税など日々実践している。

【保有資格】
CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、公認会計士、税理士