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純資産とは?総資産との違いや内訳、分析方法について解説
間違ったまま決算書を作成しても、正確な決算書とはならず、もう一度作り直すことになるので、余計な作業が増えてしまいます。
また、純資産は企業の経営状態を分析するのに用いられることもあるため、経営者や会計部門の方は知っておくべき内容です。
そこで今回は純資産や総資産との違いを解説します。
純資産とは?
純資産は貸借対照表に記載される項目のことで、返済義務がない企業の資産のことです。
総資産から他人資本である負債を除いた、資本金や資本剰余金が該当します。そのため、設立直後で負債がない場合、総資産(現金)=純資産=自己資本(資本金)になります。
純資産は金融機関が融資の判断を下す際に、注目する項目のひとつになります。例えば、債務に対して純資産が不足していると、融資したお金が返済されない可能性があると判断され、融資されなくなります。
そのため、企業は純資産と負債のバランスを改善するために、増資をしたり、内部留保を拡大したりするなどの対策が必要になります。
貸借対照表で企業の財政状態が把握できる
貸借対照表は企業の財政状態を表す決算書類のひとつです。「貸借対照表」と「キャッシュ・フロー計算書」、「損益計算書」の三つを合わせて財務三表と呼び、企業の経営状態をさまざまな角度から分析できます。
貸借対照表は期間内の事業状況をまとめた決算書で、企業の資産や負債のバランスをまとめており、企業の財政状態を把握できます。主に次の内容の資産が一目でわかるようになっています。
● 企業が保有する資産(総資産)
● 企業に返済義務がある資産(負債)
● 企業に返済義務のない資産(純資産)
貸借対照表の見方を覚えれば、各項目の数値から企業を分析できます。
純資産と総資産の違いは?
純資産は企業に返済義務のない資産であるのに対して、総資産は企業が保有している「資産のすべて」を指します。
● 総資産…すべての資産の合計
● 純資産…返済義務のない資産
すべての資産を指すため、返済義務の有無は関係なく、現金や預金だけでなく投資信託・株式(証券)・不動産・車なども含みます。
純資産は貸借対照表上の右下側に計上され、総資産は貸借対照表の左側に計上されます。
純資産の内訳
純資産は返済義務のない資産を指しますが、「株主資本」と「株主資本以外」に分類されます。順番に解説します。
株主資本
純資産の株主資本とは、企業の設立や増資の際に株主から出資してもらった資本や、配当されずに蓄積された利益などのことを指します。
次の項目で解説する資本金と資本剰余金(資本準備金とその他資本剰余金)、利益剰余金(利益準備金とその他利益剰余金)、自己株式を合計したものが株主資本になります。
資本金
資本金とは、事業を運営するために株式と引き換えに集めた資金と、経営者が出資した資金を合計した資本のことです。
企業の売上高や業績とは切り離されており、企業が事業で成功しても資本金の金額は変わりません。
なお、会社法に基づいて資本金を「資本金」の項目に入れますが、全額を入れる必要はありません。企業に払い込まれた2分の1を超えない額を、資本準備金として計上できます。
資本金を小さくするメリットは、資本金を小さくすると税制上の優遇措置を受けることができるからです。事業の規模にもよりますが、資本金を少なくすると企業の負担が軽減されるので、起業の際には資本金を抑えることも検討してみましょう。
資本剰余金
資本剰余金とは株主から集めた資金や手元資金のうち、資本金として計上されなかった資産のことです。
主に、次の項目で解説する資本準備金と、その他資本剰余金で構成されています。
資本金を抑えて税制上の優遇措置を受けたり、資本剰余金を取り崩して突発的な支払いに対応したりできます。ただし、資本剰余金を取り崩す場合は、株主総会の普通決議が必要になります。
・資本準備金
資本準備金は資本剰余金を構成する資本のひとつで、株式を発行した際に得た資金のうち、資本金に組み込まれなかった資金のことです。将来的に発生する多額の支出や損失に備えておくお金になります。
会社法により、払込金額の2分の1を超えない金額までを資本準備金として繰り入れられます。
・その他資本剰余
その他資本剰余金は、株主資本のなかで資本金や資本準備金にも含まれなかった資本のことです。主に増資や減資、自社株式の取得、処分などの資本取引によって発生した剰余金が該当します。
その他資本剰余金のポイントは、資本金や資本剰余金と異なり、株主への配当原資として認められていることです。
利益剰余金
利益剰余金は、企業が事業で生み出した利益を積み立てたお金のことです。
主に次項で解説する利益準備金とその他利益剰余金で構成されます。
一般的に、利益剰余金が増加すると純資産(自己資本)も増加するため経営状態は良好だと判断されます。一方で、赤字が続いて利益剰余金が少なくなると、経営状況が厳しいと判断されやすくなるので、改善する必要があります。
・利益準備金
利益準備金は、利益剰余金のうち、会社法によって積み立てることが義務付けられている資本のことです。企業の財政と債権者保護を目的としており、法定準備金のひとつになります。
株式会社は事業の利益を配当金として株主に還元しますが、財務基盤強化のために配当金額の10分の1を利益準備金か、もしくは資本準備金として積み立てることが義務付けられます。
なお、限度額が設定されており、資本準備金と合わせて資本金の4分の1までです。
・その他利益剰余金
その他利益剰余金は、企業が利益を積み立てた剰余金で、なおかつ利益準備金に区分されない資本のことです。主に、「任意積立金」および「繰越利益剰余金」に分類されます。
任意積立金は、企業が自主的に積み立ててきた資産のことで、内部留保の一種です。特定の目的に使用するために積み立てる場合と、目的を限定しないで積み立てる場合があります。
繰越利益剰余金は、前期決算で処理されなかった繰越利益と、積立金からの取り崩し額を当期純利益に加算した資産です。積み立てた資金を配当金にするか、内部留保にするかは株主総会で決めます。
株主資本以外
株主資本以外とは、純資産のなかで株主に帰属しない資産のことを指します。主に次の項目で解説する評価・換算差額等、新株予約権、少数株主持分で構成されています。
評価・換算差額等
評価・換算差額等とは、投資有価証券や土地などを購入した時の価額と、現時点での価値との差額(評価損益)のことです。主に、次の4つが貸借対照表の純資産に計上されます。
● その他有価証券評価差額金
● 土地再評価差額金
● 繰延ヘッジ損益
● 繰延ヘッジ損益(連結貸借対照表の場合)(※)
本来なら、有価証券は流動資産に分類されます。しかし、投資有価証券は長期保有を目的とした有価証券のため流動資産に含まれず、評価損益はその他有価証券評価差額金に計上されます。
つまり、当期の損益として処理できない評価損益が評価・換算差額等になります。
(※)ヘッジ会計を適用している場合に、次期以降に繰延られた損益である繰延ヘッジ損益も含める
新株予約権
新株予約権とは、新株をあらかじめ定めた価格や条件で交付を受けることができる権利のことです。
新株予約権者が権利を行使する際は、企業が新しい株式を発行する、あるいは企業の自己株式を移行します。企業にしてみれば、利息が生じず、安全に資金調達を行える手法です。
なお、新株予約権には転換社債の転換権や、新株引受権、ストックオプションが含まれます。
少数株主持分
少数株主持ち主分とは、連結親企業が保有していない連結子企業の資本のことです。
連結親企業が連結子企業の議決権を100%保有していない場合、保有していない分の議決権を持つ株主のことをまとめて少数株主と呼びます。
連結財務諸表の作成手続きでは、連結子企業の財務諸表を合算しますが、少数株主の持ち分相当する純資産や利益を親企業の持分と区分するために調整する必要があります。
純資産を用いた分析方法
貸借対照表にある純資産や各項目の金額を用いると、企業の財政状態を分析できます。主に次の分析方法があります。
● 自己資本比率
● 自己資本利益率
● 債務超過
自己資本比率とは、総資産のうち純資産(自分資本)の占める割合のことです。自己資本比率が高い企業ほど、負債の割合が少ないため倒産しにくいと分析できます。
自己資本利益率とは、自己資本のうち当期純利益の占める割合のことです。企業の収益力や将来の成長を分析するのに役立ちます。
債務超過とは、負債額が資産の総額を超えてしまった状態を指します。実質的には経営破綻をしており、危険な状態だと分析できます。
企業分析の方法には、負債比率や固定比率、固定長期適合率などもあり、金融機関や投資家は貸借対照表や損益計算書の数値や分析方法から、企業の経営が健全か判断します。
企業側も分析方法を理解し、財政状態が改善されることが求められます。
会計業務を楽にするなら法人カードを導入しよう
貸借対照表の純資産は項目ごとに細かく定義されているため、会計業務の負担は大きいです。会計業務を少しでも軽減するなら、法人カードを導入してみましょう。
法人カードはご利用明細書に経費を使った目的や品名が記載されているため、会計業務の負担を軽減します。また、ビジネスシーンに役立つ優待特典やサービスが付帯しています。
セゾンカードだと、期限切れのない永久不滅ポイントや、すべての支払いに対してキャッシュバックされる優待特典が付くなどのメリットがあります。
ただし、法人カードによって付帯する優待特典や特長が異なります。おすすめの法人カードはセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード、セゾンプラチナ・ビジネス プロ・アメリカン・エキスプレス(R)・カードです。
セゾンプラチナ・ビジネス プロ・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
セゾンプラチナ・ビジネス プロ・アメリカン・エキスプレス・カードは、中小規模の企業のビジネスや会計業務をサポートする法人カードです。
個人与信で発行できる法人カードは発行枚数が少ない、付帯する特典が乏しいです。しかし、セゾンプラチナ・ビジネス プロ・アメリカン・エキスプレス・カードは、発行枚数が多く、付帯特典が充実しており、中小企業のビジネスに役立つように設計されています。
年会費は27,500円(税込)で、追加カードは1枚ごとに3,300円(税込)です。追加カードは99枚まで発行でき、次のような優待特典が付帯します。
● 最大84日間のスキップ払い、もしくは、常時1%のキャッシュバックレート
● カードごとに利用可能限度額を設定
● 海外旅行傷害保険最高1億円(国内旅行傷害最高5,000万円)
● コンシェルジュサービス利用可能
● 国内/海外空港ラウンジサービス(プライオリティ・パスの登録料金が無料)
セゾンプラチナ・ビジネス プロ・アメリカン・エキスプレス・カードでは「支払いを手数料なしで最大84日間スキップ払い」、もしくは「常時1%のキャッシュバックレート」の片方を選べます。
スキップ払いを選択すれば、支払いを先送りしてキャッシュフローを改善でき、キャッシュバックを選択すれば、経費の削減、営業利益向上に繋げることができます。選択式のため、自社の経営状態にあったサービスを選びましょう。
また、セゾンプラチナ・ビジネス プロ・アメリカン・エキスプレス・カードでは、最長15ヵ月分のご利用明細がWEB上で確認できます。24時間いつでも確認できるので、予算管理や会計業務を簡略化できます。
ほかにも、追加カードごとに利用可能限度額を設定でき、海外旅行傷害保険最高1億円と国内旅行傷害最高5,000万円が従業員も対象になるなどのメリットがあります。
セゾンプラチナ・ビジネス プロ・アメリカン・エキスプレス・カードは経費削減や会計業務の簡略化など、中小企業に役立つおすすめのビジネスカードです。
※一部還元率の異なるお取引やキャッシュバックの対象外となる場合がございます。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは、ビジネスシーンに役立つ優待特典やサービスが付帯している法人カードです。
年会費は22,000円(税込)で、社員・家族用の追加カードを年会費3,300円(税込)で9枚まで発行できます。
また、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは、SAISON MILE CLUB(セゾンマイルクラブ※)に登録できます。
登録すると、ショッピング1,000円(税込)の利用ごとにJALのマイルが10マイル、2,000円(税込)利用ごとに永久不滅ポイントが1ポイント貯まります。貯まった永久不滅ポイントは200ポイントで、JALのマイル500マイルと交換できます。
ためたマイルはJALグループや提携航空会社の航空券と交換できるため、出張費の節約につながります。ビジネスの関係で飛行機を利用する機会が多い個人事業主におすすめの優待特典です。
このカードの主な特典は以下のとおりです。
● お得にJALのマイルと永久不滅ポイントが貯まる「SAISON MILE CLUB(セゾンマイルクラブ)※」に登録可能
● レストランやホテル、航空券のチケットを予約してくれるコンシェルジュ・サービス
● 複数のビジネスサービスが優待料金で利用できる「ビジネス・アドバンテージ」
● 法人向けモバイルWi-Fi「No.1モバイル」の優待特典
● レンタルサーバー「エックスサーバー」の優待特典
上記はセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードに付帯している優待特典になります。個人事業主のビジネスをサポートする内容となっており、ぜひとも持っていたい法人カードになります。
※別途ご登録が必要です。
純資産のまとめ
純資産は貸借対照表に表示される項目のことで、返済義務がない企業の資産のことです。純資産と負債のバランスは企業の経営状態が健全かどうか分析するのに役立ちます。
そのため、金融機関や個人投資家が企業分析の際にチェックしやすい項目なので、企業としては純資産を改善する努力が必要になります。
純資産を増やす最短の方法は、事業で利益を得ることです。事業で利益を得るためには、法人カードのように業務を効率良く行えるツールが必要です。
おすすめの法人カードは中小規模法人代表者ならセゾンプラチナ・ビジネス プロ・アメリカン・エキスプレス・カード、個人事業主やフリーランスの方ならセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードを検討してみるのがおすすめです。
この記事を監修した人
【保有資格】
CFP、税理士