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消費税の計算方法|ケースごとに端数処理の方法を解説

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消費税の計算方法|ケースごとに端数処理の方法を解説
消費税は2023年時点の現行制度では2つの税率が混在しています。それぞれの計算方法や端数処理の方法がわからないという方も多いのではないでしょうか。

請求書と税額計算では端数処理の扱いも異なるので、ケースごとに理解することが重要です。

特に売上にかかる消費税から仕入れにかかった消費税を差し引ける仕入れ税額控除の計算をする場合は、税額計算における正しい端数処理が必要です。

また、インボイス制度の施行により、業種によっては従来よりも有利になる消費税の計算方法もあるので確認しましょう。

本記事では、消費税の計算方法について紹介し、請求書・税額計算の端数処理の方法とインボイス制度の消費税計算の変更点も紹介します。

消費税が課される取引と課されない取引

消費税とは、商品の販売などの取引に広く公平に課税される税です。ただし、すべての取引ではなく、消費税が課される取引と課されない取引があるので、以下で詳しく解説します。

消費税が課される取引

消費税は以下の性質をすべて持った取引に課税されます。

● 国内の取引
● 事業者が事業として行う
● 対価を得る(有償で行う)
● 資産の譲渡・貸付する

商品の販売・サービスの提供など国内で行う対価の伴った取引のほとんどが対象です。また、外国から商品を輸入する場合も輸入時に課税されます。

消費税が課されない取引

例外的に、消費税が非課税となっている取引も存在します。例外となる取引の例は以下になります。

● 土地の譲渡・貸付
● 有価証券の譲渡(債券・株式など)
● 支払手段の譲渡(小切手・約束手形など)
● 国等が行う一定の事務に係る役務の提供(徴収される手数料など)
● 学校教育(入学金・授業料など)

消費に負担を求める税の性格になじまない取引や、社会政策的配慮から非課税取引に定められています。

消費税の税率

2019年の消費税法及び地方税法の改正により、物品によって標準税率と軽減税率が混在している状態にあります。現在の税率の詳細は以下のとおりです。

税率の種類 標準税率 軽減税率
消費税率 7.8% 6.24%
地方消費税率 2.2%(消費税額の22/78) 1.76%(消費税額の22/78)
合計 10.0% 8%

標準税率の消費税率は7.8%、軽減税率の消費税率は6.24%であり、地方消費税により一律に消費税額の22/78を課すことで、合計で標準税率は10%、軽減税率は8%の税率となります。

基本的には標準税率が課されますが、軽減税率の対象となる品目に限って軽減税率が適用されます。軽減税率の対象となる品目は以下になります。

● 飲料食品
● 新聞

飲食料品は、酒類を除く食品表示法に規定する食品が対象です。外食やケータリングなどは軽減税率の対象になりません。新聞は、政治、経済、社会、文化等に関する社会的事実を掲載し、週2回以上発行されるものに限ります。

出典:税関「消費税率引上げに伴う税額計算について」

消費税に関する税込み・税抜きの計算方法

税抜き価格から消費税込の価格を計算する方法と、価格から消費税抜きの価格を計算する方法を紹介します。

消費税込の計算方法

税抜き価格から消費の価格を計算する方法は以下のとおりです。

● 税抜き価格+消費税(税抜き価格×税率)=税込価格

税抜き5,000円の標準税率の商品の価格を求めます。

● 5,000円+(5,000円×10%)=5,500円

消費税抜きの計算方法

価格から消費税抜きの価格を計算する方法は以下のとおりです。

● 価格÷消費税率=税抜き価格

3,240円の軽減税率の商品の税抜き価格を求めます。

● 3,240÷8%=3,000円

税抜き価格または価格と消費税率がわかっていれば、上記で紹介した計算方法を利用して求められます。

消費税の端数処理の方法

消費税の計算結果は必ずしも整数で求められるわけではありません。例えば、消費の価格を計算して、5772.8円という計算結果が出た場合は端数処理する必要がありますが、切り捨て・四捨五入・切り上げのいずれかを適用するべきかが問題になります。

端数処理の方法は、請求書の場合と税額計算の場合で異なるので、それぞれ詳しく解説します。

請求書の場合

請求書の端数処理は、企業や事業主の方針で定めて良いとされています。ただし、取引ごとに端数処理の方法が異なるとトラブルの原因となります。

端数処理に切り捨て・四捨五入・切り上げのいずれを選択しても問題ありませんが、統一する必要があります。一般的には、後述する税額計算で定められている切り捨てで処理している場合が多いです。

税額計算の場合

課税事業者が実際に納税する消費税額は、売上の消費税額から仕入れにかかった消費税額を差し引いた額です。課税事業者は商品を購入する際に消費税を納めているため、売上の消費税額をすべて納めると実質的に二重課税となります。

二重課税を防ぐ目的で、仕入れにかかった消費税額を売上の消費税額から差し引く仕組みを仕入税額控除と呼びます。仕入れ税額控除の税額計算では、課税標準額は1,000円未満、消費税は1円未満の端数がある場合に切り捨てます。

税額計算の場合は端数処理の方法を明確に切り捨てと決められているので、請求書で切り捨て以外の端数処理の方法を選択している場合は使い分けに気をつけましょう。

インボイス制度の消費税計算の変更点

インボイス制度の消費税計算の変更点

現行の区分記載請求書等保存方式の消費税は割戻し計算が原則となっていますが、インボイス制度の施行後には積上げ計算も採用できます。

業種によっては積上げ計算のほうが消費税の計算で有利になる可能性があるため、インボイス制度の消費税計算の変更点として割戻し計算と積上げ計算をそれぞれ紹介します。

割戻し計算

割戻し計算は、1年間の総売上に対する消費税を算出し税額を決める方法です。以下の方法で売上税額を求めます。

● 課税標準額=課税売上×100/110(軽減税率は100/108)
● 売上税額=課税標準額×7.8%(軽減税率は6.24%)

売上に標準税率と軽減税率が混在している場合は、それぞれの売上を税率で分けて計算し、足し合わせて総額を算出します。

例えば、年間の総売上が標準税率の売上500万円と軽減税率の売上300万円であった場合の売上税額は以下のとおりです。

● 標準税率の課税標準額:500万円×100/110=454万5,000円(1,000円未満切り捨て)
● 軽減税率の課税標準額:300万円×100/108=277万7,000円(1,000円未満切り捨て)
● 標準税率の売上税額=454万5,000円×7.8%=35万4,510円
● 軽減税率の売上税額=277万7,000円×6.24%=17万3,284円(1円未満切り捨て)
● 売上税額の合計=35万4,510円+17万3,284円=52万7,794円

インボイス制度が施行されるまで消費税の計算は割戻し計算で求められていましたが、制度の開始により以下の積上げ計算で消費税を求めることもできるようになりました。

積上げ計算

積上げ計算は、売上で発生した消費税を足すことで税額を決めます。一般的に、小売店などの一般消費者が取引相手となる業種では積上げ計算が有利になることが多いです。積上げ計算は以下の方法で売上税額を求めます。

● 売上税額=消費税額の合計×78/100

売上税額を積上げ計算で計算した場合は、仕入税額も積上げ計算しなければなりません。積上げ計算を選択できるのは、インボイスを発行できる適格請求書発行事業者に限ります。

インボイスに記載された消費税額に78/100を掛けて売上税額とします。例えば、1度の取引で5,000円の消費税額となった場合は「5,000円×78/100=3,900円」となり、これを発行したインボイスすべてに対して行い、足し合わせて積上げていく仕組みです。

積上げ計算はインボイスに記載された消費税額を積上げることから、販売時に端数処理された消費税額が割戻し計算とは異なり含まれません。

小売店などの領収回数が多く、より多くのインボイスを積上げる業種では、端数処理された消費税額が積み重なり、割戻し計算で求めるよりも売上税額が低くなる場合があります。

計算の機会が多い事務処理に役立つセゾンインボイス

積上げ計算はこれまで採用されなかった計算方法であるため、既存の経理処理システムでも採用実績が少なく、消費税計算の変更を含めてインボイス対応に悩んでいる事業者の方もいるのではないでしょうか。

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月額費用 無料
手数料率(目安) 取引金額の1.5~5.5%
事務手数料 無料(郵送の場合、1件あたり150円)
機能 与信管理、請求書発行、代金回収
入金確認、督促、未回収保証

消費税計算の変更を含めてインボイス制度に備える

現行の消費税は、標準税率と軽減税率が物品によって混在している状態にあります。品目ごとに消費税の計算方法や、請求書または税額計算の場合で端数処理の方法は決まっているので、正しく計算することが重要です。

一方で、今後の消費税計算はインボイス制度の施行により、事務処理にさらなる手間がかかることが予想されます。

消費税計算の変更を含めてインボイス対応に悩んでいる事業者の方は、消費税計算を含めた経理処理の負担の削減や、インボイス制度に対応できるセゾンインボイスの導入を検討してみてください。