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電子帳簿保存法の改正で紙の領収書は不要に?改正のポイントとは

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電子帳簿保存法の改正で紙の領収書は不要に?改正のポイントとは
1998年に電子帳簿保存法が制定されてから20年以上が経過しますが、保存方法の要件が厳しかったり、さらには昔からの慣習をなかなか変えることができなかったりと、現在でも紙で帳簿の保存をメインとしている企業が多いのではないでしょうか。紙の書類の保存だと、年数が経つにつれ保存場所の確保や決算後のファイルの整理などの作業が負担となります。そのような負担解消を図るための法律が電子帳簿保存法です。今回どのように改正されたのか、電子帳簿保存法の概要と合わせて詳しく説明します。

電子帳簿保存法って?

そもそも電子帳簿保存法とはどのようなものなのでしょうか。ここでその内容を確認しておきましょう。

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法とは、1998年に制定された法律で、国税に関係する帳簿書類に対する電子保存を認めたものです。それまで帳簿書類は紙の書類で保存していたため、保存場所の確保や書類整理などの管理業務が負担となっていました。これらの負担軽減を目的として制定されましたが、1998年時点ではシステム上で電子データとして作成されたもののみが対象と、かなり限定的な内容になっていました。

そして、2005年のe-文書法(※)の施行により、紙の帳簿をスキャンし、それをデータ保管すること(スキャナ保存)が可能となりました。ただし、スキャナ保存できる帳簿について要件が定められていたため、ここでも帳簿の電子保存は普及しませんでした。
※法人税法や会社法、商法、証券取引法などで保管が義務づけられている文書や帳簿、請求書、領収書などについて、紙媒体だけでなく電子化した文書ファイル(電磁的記録)での保存を認める法律

その後も、2016年にはスキャナ保存の対象となる帳簿の基準金額が廃止、2017年にはスマートフォンなどによる撮影での電子ファイル化も認められました。このように電子帳簿保存法の内容、特にスキャナ保存については、制定されてから度重なる改正が行われています。そして2020年に、さらに電子データの保存方法が緩和されました。

令和2年の改正での変更点は?

2020年度(令和2年度)税制改正大綱によって、電子帳簿保存制度における保存方法の範囲に、以下の方法が追加されました。

1.発行者のタイムスタンプが付された電磁的記録を受領した場合において、その電磁的記録を保存する方法
2.電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム(訂正又は削除を行うことができないシステムを含む。)において、その電磁的記録の授受及び保存を行う方法
2020年10月1日より施行されたこの改正により、キャッシュレス決済を行った際の紙の領収書が不要となり、経費精算処理が完全に電子化することが可能となりました。

また、これまでは紙の領収書などをスキャンもしくはスマートフォンで撮影して電子ファイル化した際には、不正を防止する目的で、3日以内にタイムスタンプを押す必要がありました。タイムスタンプとは「この内容のデータが存在し、この時刻以降改ざんしていない」ことを証明するためのものです。
しかし、この改正で、領収書などの発行者がタイムスタンプを付与すれば、受領側はこれを受け取るだけで済むこととなった点は、今後の電子帳簿保存の普及に大きな影響を与えることとなったといえるでしょう。

出典:財務省「令和2年度税制改正の大綱」

紙の領収書の保存は必要ない?

では、これまでの紙の領収書の保存方法などはどのように変わるのでしょうか。

電子データがあれば紙の領収書を7年間保存する必要はなくなる

従来の紙の領収書については7年間の保管が義務づけられています。そして、電子帳簿保存法に基づき電子データで保存を行う場合は、紙媒体での保管は不要となります。

電子データとは?紙の領収書はどうすればいい?

電子帳簿保存法によると、電子取引の方法を保存するための要件を以下のとおり定めています。

1.真実性が確保できること
具体的な方法としては、「電子データにタイムスタンプが付された後にそれを受け取ること」や「取引の際は遅滞なく電子データにタイムスタンプを付すとともに、電子データを保存する者かその監督者に関する情報を確認することができるようにすること」、そして、「電子データを訂正・削除したときは、これらの事実と内容を確認することができるシステムか、訂正・削除を行うことができないシステムを使用して、その取引情報のやりとりと保存を行うこと」が挙げられています。
2.関係書類を備え付けておくこと
電子帳簿保存に利用するシステムの利用方法が誰にでも分かるよう、その概要を記載した書類(マニュアルなど)を備え付けておくことが要件となっています。
3.可視性が確保できること
ディスプレイやプリンターを使って取引の内容が速やかに画面又は書面で確認できるようにしておかなければなりません。
4.検索機能が確保できること
検索の際に「取引年月日や取引金額等の主要項目」や「日付や金額の範囲指定」、さらに「2つ以上の項目を任意に組み合わせる方法」で検索ができるようにしておく必要があります。

つまり、「誰でも確認でき、かつ改ざんされることがないデータ」で保存しておく必要があるということです。これは一見難しいように見えますが、専用のシステムを導入することで解決することができます。そしてそのようなシステムを導入して保存する方法を「電磁的記録による保存」といいます。紙の領収書については、スキャンして読み取ってデータ化したものを保存します。その保存方法を「スキャナ保存」といい、2つの保存方法について区別しています。

事前に必要な準備とは?

事前に必要な準備とは?

電子帳簿保存法を適用し、電子データでの保存に切り替えるには、税務署への申請と電子帳簿保存法に対応したシステムの導入が必要となります。

税務署への申請

まず、電子帳簿保存を行う際には、「電磁的記録による保存」及び「スキャナ保存」それぞれに対して管轄税務署長の事前承認が必要となります。申請書及び添付書類については、電子帳簿保存を行う3カ月前までに提出し、申請する必要がありますので注意してください。
その際に利用する申請書は「国税関係書類の電磁的記録による保存の承認申請書」を用いますが、国税庁の公式サイトより入手可能です。さらに、申請書の添付資料として以下の書類が必要です。

1.承認を受けようとする国税関係書類の作成等を行う電子計算機処理システムの概要を記載した書類 1部
2.承認を受けようとする国税関係書類の作成等を行う電子計算機処理に関する事務手続の概要を明らかにした書類(当該電子計算機処理を他の者に委託している場合には、その委託に係る契約書の写し) 1部
3.申請書の記載事項を補完するために必要となる書類その他参考となるべき書類 1部

また、帳簿や書類の内容が以下に該当する場合はそれぞれ作成し、提出しなければなりません。

①国税局において課税標準の調査及び検査を行うこととされている法人の法人税及び消費税に係る書類
②国税局において課税標準の調査及び検査を行うこととされている製造場等の酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、航空機燃料税、石油ガス税、石油石炭税、印紙税、電源開発促進税及び国際観光旅客税に係る書類

さらに添付書類として、

①承認を受けようとする国税関係書類の作成等を行う電子計算機処理システムの概要を記載した書類
②承認を受けようとする国税関係書類の作成等を行う電子計算機処理に関する事務手続の概要を明らかにした書類
③申請書の記載事項を補完するために必要となる書類その他参考となるべき書類

をそれぞれ1部ずつ用意し、合わせて提出する必要があります。

出典:国税庁「[手続名]国税関係書類の電磁的記録等による保存の承認申請」

専用のシステムの導入

改正後の要件として、「電子データの記録事項の訂正・削除についての条件を満たすシステムを使用すること」となっていますので、要件を満たす専用のシステムを導入する必要があります。これに関しては、公益法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証を行っているシステムを使用することで対応できます。税務署への申請の際にも記載欄を省略した簡素な様式の申請書で申請することができ、かつ、操作説明書などの書類添付も不要となります。
公益法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証を行っているシステムについては、公式サイト上に一覧が掲載されています。

参考:日本文書情報マネジメント協会「電子帳簿ソフト法的要件認証製品一覧」

キャッシュレス決済の導入でより便利に

今回の電子帳簿保存法の改正に伴い、電子データでの保存のハードルが下がりました。今後の経費精算処理において専用システムとともにキャッシュレス決済を導入し、電子データを用いて経費精算をすることで、作業の効率化を図ることができます。

人的ミスが減る

現金決済と異なり、クレジットカードや電子マネーを利用したキャッシュレス決済であれば、払い間違いや領収書への記載ミスなどの人的ミスは発生しません。現金決済で管理を行っていると、どうしても帳簿上の額と現金が合わないなどのケースが発生してしまいます。その都度領収書や会計伝票などを照合して確認しなければならないのはストレスでしょう。クレジットカードや電子マネーでは、それぞれの履歴をデータ上で確認できますので、そのような方法で作業時間を短縮できることはメリットといえます。

経費申請や承認が楽になる

クレジットカードや電子マネーを経費精算で利用しているシステムに連携させることで、キャッシュレス決済の内容が自動的に反映されます。前述のような人的ミスは起きにくくなり、さらには利用履歴を確認してそれを手作業で入力するということも不要になります。
現金決済を行う際には、立替金や仮払金などの経理処理が必要となり、その都度承認も必要となります。申請や承認の手間を省くことができることも、キャッシュレス決済を導入する大きなメリットです。

カード付帯の特典やポイントが使える

クレジットカードを導入した場合、さまざまな付帯特典が利用できる点もメリットでしょう。ほとんどのクレジットカードでは利用額に応じてポイントが付与されます。貯まったポイントで備品を購入したり、ポイントをマイルに交換することで出張時の航空機代に充てることもできます。

キャッシュレス決済の選択肢として検討したいクレジットカードとは

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キャッシュレス決済を導入するなら、法人用のクレジットカードがおすすめです。特にセゾンのビジネスカード「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード」及び「セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード」は、ビジネス利用に便利な付帯特典が多くあります。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード

特典の豊富さを重視したい方には、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードがおすすめです。初年度年会費無料、2年目以降22,000円(税込)で利用できます。

魅力の一つは、JALのマイルが高還元率で貯められる「SAISON MILE CLUB(セゾンマイルクラブ)」というサービスを登録することが可能な点です。セゾンマイルクラブに登録していると、1,000円利用ごとに10マイル貯まります。さらに、セゾンプラチナ会員は永久不滅ポイントも同時に貯められるので仕事でJALをよく利用する方にはおすすめのカードといえるでしょう。

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クラウド型経費精算サービス「Staple(ステイプル)」の月額利用料が6ヶ月分無料になるクーポンが優待でついてきます。スマートフォンのStapleアプリから領収書やレシートを撮影すると、タイムスタンプが付与され証憑(しょうひょう)化される機能があるので、従来のような経費管理が大幅に削減できます。

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セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード

セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードは個人事業主や会社経営者の方を対象にしたビジネスカードです。年会費が無料で、最初に導入するクレジットカードとしておすすめです。決算書や登記簿謄本不要で発行できるので、独立したばかりの方でも申し込みやすいクレジットカードです。

特に、ヤフービジネスサービスやクラウドワークスなどのビジネスサービスで永久不滅ポイントの還元率が4倍になる点が高評価を得ています。また、追加カードが9枚まで発行無料であることも人気の理由です。追加カードだけではなく、ETCカードも無料で発行できます。社員に持たせるために追加でカードを発行したいと考えたとき、費用が発生しないのは助かります。

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まとめ

今回の電子帳簿保存法の改正により、電子帳簿保存そしてキャッシュレス決済の導入を考える企業も増えているのではないでしょうか。交通系のICカードを営業担当者に持たせたり、法人用のクレジットカードと合わせてETCカードを複数発行して営業車に適用したりすることで、交通費の精算処理の負担解決に役立てることができます。

法人用のクレジットカードは各社が発行していますが、独自のサービスが用意されていますので、キャッシュレス決済用のクレジットカードを選ぶ際には複数社のクレジットカードを比較検討し、会社の規模や業務形態に合ったものを選びたいですね。

電子帳簿保存法とキャッシュレス決済を組み合わせて導入することで、業務の効率化に役立てましょう。