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源泉所得税について徹底解説!納付期限や計算方法、納付方法についても紹介

源泉所得税は企業が従業員などの給料・賞与から所得税を差し引いて徴収する源泉徴収をして、代わりに国に納める所得税のことです。源泉徴収をしている企業では毎月源泉所得税を計算して、国に納付する必要があります。
この記事では、源泉所得税について詳しく解説します。源泉所得税の納付期限や計算方法など、これから源泉所得税にふれる方はぜひ参考にしてください。
Contents
記事のもくじ
源泉所得税とは
所得税は1年間の所得に応じて算出されます。個人事業主や自営業の方は1月から12月までの1年間の所得を毎年確定申告時に申告しますが、会社員は会社が所得の計算を行ってくれるのが一般的です。
2021年9月時点で、基準所得税率10%に加えて、復興特別所得税0.21%が加算され、10.21%が源泉徴収税率と定められています。個人の場合は請求書発行時、会社員の場合は給与やボーナスから毎月天引きが行われ、年末調整や確定申告時に過不足分の調整をします。
申告所得税との違い
所得税は、納付のタイミングと徴収方法の違いで「源泉所得税」と「申告所得税」に分けられます。ただし、「毎年1月1日から12月31日までの1年間のすべての所得から所得控除額を差し引いた金額に対し、一定の税率を適用して算出される税金」という点は同じです。
源泉所得税とは、給与や報酬の受け渡し時に天引きする所得税を指します。
ちなみに、給与や報酬の支払者が所得税額を計算し、支払金額から源泉所得税額を差し引いて国に納付する制度を「源泉徴収制度」と呼びます。
会社員の場合は給与やボーナスから毎月天引きが行われ、年末調整時に過不足分の調整がされるので手間がかかりません。代わりに、給与・報酬支払者は差し引いた所得税を会社員の代わりに支払わなければなりません。
なお、給与ではありませんが、原稿料や講演料、出演料、弁護士への報酬などについても源泉徴収が行われます。源泉徴収が行われる報酬については、後ほど詳しくご紹介します。
天引き・調整が自動で行われる源泉所得税に対し、申告所得税とは、納税者本人が自ら確定申告をして納める所得税のことです。
個人事業主や経営者は、会社員とは異なり、ご自身で確定申告を行って所得税を納付しなければなりません。
源泉所得税の納付期限

従業員から天引きした源泉所得税は、原則給与などを支払った月の、翌月10日までに国に納付しなければなりません。
例えば9月末に給料が支払われたのであれば、10月10日に源泉所得税を納付します。源泉所得税は徴収した企業が、国に納めることが義務づけられています。
ただし給与支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は半年まとめての納付ができる特例など、毎月支払わなくてもよいケースもあります。
特例を受けるためには所轄の税務署長に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出しなければならないので、特例を受けたい場合は忘れずに対応しましょう。
源泉徴収税の納付方法
ここでは、源泉所得税の納付方法3つについて、詳しく解説します。それぞれの特長を知って、自分に合った納付方法を見つけましょう。
クレジットカード
「国税 クレジットカードお支払サイト」を運営する納付受託者 トヨタファイナンス株式会社に源泉徴収税の納付を委託する方法です。
氏名・住所・納付する国税の税目や納付税額などといった納付情報と納付に利用するクレジットカード情報をすることで、納付手続きが完了します。
納付税額に応じて、以下のような決済手数料(税込)がかかるので注意が必要です。
納付税額 | 決済手数料(税金) |
---|---|
1円~10,000円 | 83円 |
10,001円~20,000円 | 167円 |
20,001円~30,000円 | 250円 |
30,001円~40,000円 | 334円 |
40,001円~50,000円 | 418円 |
以降も同様に10,000円を超えるごとに決済手数料が加算されます。 |
e-Tax
源泉徴収税などの国税に関する各種の手続について、インターネットを利用して電子的に手続が行えるシステム e-Taxを介して納付手続きをする方法です。
預貯金口座からの振替により納付する方法(ダイレクト納付)や、インターネットバンキング・ATMなどから納付する方法があります。
ダイレクト納付を利用する場合は、「ダイレクト納付利用届出書」を所轄の税務署に届出が必要です。インターネットバンキングなどから納付する場合は、利用する金融機関で「税金・各種料金払込みサービス」(ペイジー)が提供されている必要があります。
納付書
納付書を使用して、コンビニや金融機関、税務署の窓口から納付する方法です。これまでご紹介してきたクレジットカード・e-Taxでの納付は、どちらも現金が不要な電子納税でしたが、納付書を使用する場合は現金が必要になります。
源泉所得税が引かれる所得の種類
源泉所得税は、すべての所得から引かれるわけではありません。個人の場合源泉徴収の対象となる範囲は以下のように定められています。
● 原稿料や講演料など(ただし懸賞応募作品等の賞金については、5万円以下であれば源泉徴収対象外)
● 弁護士・公認会計士・司法書士など特定の資格を持つ人に支払う報酬・料金
● 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
● プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
● 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
● ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー・キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
● プロ野球選手の契約金など、役務の提供契約を約することにより一時に支払う契約金
● 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
上記に該当しない報酬であれば、源泉徴収の必要はありません。個人の方から請求書を受け取る場合、源泉徴収の対象になるかどうかを確認しましょう。
源泉所得税の計算方法

ここからは、「給与」「賞与」「その他の報酬」の3種類について、源泉所得税の計算方法を紹介します。
給与
給与に対する源泉所得税額の計算方法は「金額」や「扶養家族の人数」「月払いなのか、日払いなのか」によって異なります。
従業員の源泉所得税額を知りたい場合、扶養親族数や所得金額を確認のうえ、国税庁公式サイトに用意されている「源泉徴収税額表」をご参照ください。
なお、月払いと日払いで表が分かれていますので、確認の際は自身の給与形態に合ったものを確認しましょう。
源泉徴収税額表には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した社員が対象の「甲欄」と、提出しない社員が対象の「乙欄」があります。
扶養家族がいる会社員には、経理部門宛てに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出するよう伝えておきましょう。
ちなみに、「甲欄」には扶養親族の数ごとに税額が記載されており、「社会保険料を引いた手取り給与」と「扶養親族の数」から源泉所得税額を算出可能です。
なお、複数の会社から給与を受け取っている方については「乙欄」の適用となるケースがあることにご留意ください。「乙欄」には「社会保険料を引いた手取り給与」に対応する源泉所得税額が記載されています。
「国税庁公式サイトに掲載されている月額表や日額表を閲覧したけれども、よく分からない」という場合は、税務署や税理士などにご相談ください。
賞与
源泉徴収は、給与に対してだけではなく、賞与に対しても行います。なお、賞与に対する源泉徴収税額を計算する場合は、国税庁の公式サイトに掲載されている「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使用してください。
給与に対する源泉徴収税額の算出と同様に、社会保険料などの控除を行ってから、控除後の賞与額に該当する算出率を乗じて計算するという手順になります。
その他の報酬
給与や賞与だけではなく、退職金に対しても所得税の源泉徴収を行います。
退職金に対する源泉所得税は、勤続年数や退職理由によって決まる「退職所得控除」を差し引き、「2分の1」を乗じた額に対して課されます。
具体的な計算は、国税庁公式サイトに掲載されている「源泉徴収のための退職所得控除額の表」「課税退職所得金額の算式の表」「退職所得の源泉徴収金額の速算表」などに基づいて行ってください。
また、先述した原稿料・講演料をはじめとした「支払報酬」と呼ばれる所得に対しても、忘れずに源泉徴収を行いましょう。
この際、支払金額のうち、100万円を超えない部分については10.21%、100万円を超える部分については20.42%をかけて源泉所得税額を算出することを覚えておきましょう。
源泉所得税の算出は会計ソフトとビジネスカードの利用がおすすめ
源泉所得税の計算は手計算でも可能ですが、会計ソフトを利用したほうが楽に行えます。会計ソフトに数値を入力するだけで、簡単かつミスなく源泉所得税の計算ができます。
また、日々の業務として経費管理も大切になってきます。あまりにもこれらの会計処理に追われてしまって実務に集中することができなくなってしまっては、良くありません。経費管理は、クラウド型経費精算サービスの利用で手間を削減できます。
会計ソフトやクラウド型経費精算サービスを利用するなら、加えて、ビジネスカードの併用もおすすめします。ビジネスカードには特別優待として、ビジネスの助けになるサービスを利用することも可能です。
そのほか、ポイントが貯まることもビジネスカードの魅力といえます。貯まったポイントを使って、事業に必要な物品・サービスを購入し、経費削減を実現しましょう。ここからは会計ソフトやクラウド型経費精算サービスと相性のいいビジネスカードを紹介します。
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードは年会費無料、さらに決済書や法人の登記簿謄本が提出不要となっており、起業して間もない会社や個人事業主の方でも申し込みやすいビジネスカードです。
会計・給与計算のクラウドサービス「かんたんクラウド」の月額利用料3ヵ月無料という特典が付帯。
さらに「サイボウズ」「かんたんクラウド」「Yahoo!ビジネスサービス」などのビジネスサービスでは、通常ポイント還元率0.5%の4倍である2%のポイント還元が受けられます(※)。
追加カードを9枚まで年会費無料で発行できる点も魅力のひとつ。ビジネスサポートにはぴったりのカードなので、源泉所得税の計算に困っている方は、あわせて発行することをおすすめします。
(※)他カードにてSAISON MILE CLUBへご入会いただいている方は本サービスの対象外となります
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードは年会費22,000円(税込)で作成できるビジネスカードです。
なお、年間200万円以上のショッピング利用をすれば、翌年度の年会費が11,000円(税込)に優遇されるため、事業に必要な設備・機材をカードで購入すれば、翌年度以降をお得に利用することも可能です。
また、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードにはクラウド型経費精算サービス「Staple」の月額料金が6ヵ月無料になる優待クーポンが付帯しています。
さらに海外出張時に便利な「プライオリティ・パス」や「コンシェルジュ・サービス」など、プラチナカードならではの特典が充実。これからビジネスを拡大していきたい方に、ぴったりのビジネスカードです。
まとめ

源泉所得税は、給与や賞与のほか、退職金や支払報酬からも天引きを行います。源泉徴収制度は、支払いを受ける側にとっては手間がかかりませんが、支払いを行う側にとっては時間や労力が必要な仕組みといえるでしょう。
源泉所得税の計算は手計算でもできますが、会計ソフトを利用すると数値を入力するだけで簡単に計算ができます。経理処理が楽になれば、コア業務に時間が割けるようになるので、会社の業績アップにもつながります。
これから源泉所得税の計算をどうしようか悩んでいる方は、会計ソフトとビジネスカードを利用して経理処理を効率化することをおすすめします。
なお、セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードには会計・給与計算のクラウドサービス「かんたんクラウド」の優待が、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードにはクラウド型経費精算サービス「Staple」の優待が付帯しており、いずれも日々の経理処理に役立つビジネスカードです。
年会費や優待特典、付帯サービスに違いがあるので、内容を比較して、ご自身に適したものをお選びください。
監修者

稲村 優貴子
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2001年FP資格を取得し独立。2006年から6年間日本FP協会鳥取支部長。現在FP For You代表として年間500件の相談・講演・執筆・HTBテレビ・HBCラジオ等のメディア出演業務を行っている。余市町出身。二児の母。得意分野はライフプラン、iDeCo、保険、年金、家計節約、不動産。趣味は旅行(ディズニー)、食べ歩き、スカッシュ、ホットヨガ。世界遺産検定勉強中。
【保有資格】
CFP、心理カウンセラー2級、生命保険大学課程(TLC)