個人住民税とは?所得割・均等割や計算方法をわかりやすく解説
個人住民税は、都道府県民税と市区町村民税から成る地方税です。その金額は、所得に応じた所得割と所得金額によらず一定額の均等割の合計となります。
個人住民税はどのような税金なのか、どのように計算されるのか疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
本記事では、個人住民税の概要、納付方法や計算方法、令和7年度税制改正による個人住民税の変更点などを紹介します。
個人住民税とは
個人住民税とは、自治体(都道府県・市区町村)が個人に対して課す「地方税」です。
前年の所得を基に税額が計算され、毎年1月1日時点で住民登録をしている自治体に納めます。税額の計算方法に差異があるため、「所得税が課税されていなくても、個人住民税が課税される場合がある」という点に注意しましょう。
なお、個人住民税は「個人」に対して課されるのに対し、法人住民税は「法人」に対して課されます。法人住民税について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
法人住民税とは?特徴や計算方法、法人税や法人事業税との違いを解説
個人住民税の内訳
個人住民税とは、個人都道府県民税と個人市区町村民税を合わせたもののことです。個人住民税の税額は「均等割」と「所得割」を足し合わせて算出します。
所得金額にかかわらず課税される「均等割」
均等割とは、個人住民税のうち「所得金額の多少にかかわらず、一定額を負担する部分」を指します。
均等割は「行政サービスの費用の一部を住民全体で広く均等に負担する」という目的で課され、個人住民税が非課税になる条件に該当しない限り、必ず課税されます。
所得金額に応じて課税される「所得割」
所得割とは、個人住民税のうち「所得に応じて負担する金額が変動する部分」を指します。前年の所得が大きくなるほど、所得割の金額も大きくなります。
所得割の金額を求める計算式は以下のとおりです。
「課税所得金額×税率-税額控除額」
なお、標準税率(※)は、都道府県民税4%と市区町村民税6%を合わせて10%です(政令指定都市については、道府県民税が2%、市民税が8%)。
(※)地方団体が課税する場合に通常よるべき税率(地方税法第1条第1項第5号)
個人住民税の徴収方法
個人住民税の徴収業務は、市区町村民税だけでなく都道府県民税の分も含めて、各市区町村が実施しています。徴収方法は「特別徴収」と「普通徴収」の2種類です。
①給与所得者を対象とした特別徴収
特別徴収とは、給与支払者や年金保険者が給与・年金を支払う際に、税額を差し引いて納税義務者の代わりに納める方法です。
所得税を源泉徴収する義務がある事業主は、原則、個人住民税を特別徴収することになっており、事業主や従業員が徴収方法を選択することはできません。
なお、誤って過剰に税金を納めてしまった場合や、納付済みの税金が税額変更などによって過納となった場合は、納め過ぎた税金(過誤納金)が還付されます。役所から対象者に直接「過誤納金還付通知書」が郵送されるので、個人で手続きをする必要があります。
②自営業者を対象とした普通徴収
普通徴収とは、市区町村から送付されてくる納税通知書を使うなどして個人で税金を納付する方法です。年4回に分けて個人住民税を納めることになります。
普通徴収の個人住民税を納付する方法は、以下が挙げられます。
● 納税通知書で納付する
● 口座振替で納付する
● クレジットカードで納付する
納税通知書を使って納付する場合は、金融機関やコンビニに持参してお支払いをします。納税通知書は一般的に6月の上旬から中旬頃に届きます。
口座振替で納付する場合は、事前に口座振替依頼書を提出するなど市区町村ごとの手続きが必要です。多くの自治体で年4回に分けて、自治体ごとの口座振替日に振替が行われます。
クレジットカードによる納付は、地方税共同機構が提供する「地方税お支払サイト」からWEB上で手続きが可能です。納付書に印刷されたQRコードをスマホのカメラで読み取るなどの方法で個人住民税を納税します。
個人住民税の税額に影響する「所得控除」と「税額控除」
税金の控除には、所得から差し引く「所得控除」と税額から直接差し引く「税額控除」の2種類があります。個人住民税で適用できる所得控除と税額控除の種類は、次のとおりです。
| 所得控除 | 基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、医療費控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、雑損控除 |
|---|---|
| 税額控除 | 調整控除、住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)、寄附金税額控除、外国税額控除、配当控除、配当割控除及び株式譲渡所得割額控除 |
所得税と住民税には同じ名称の控除が存在しますが、控除される金額が異なるケースがあります。不明点がある場合は、自治体の税務担当窓口に相談しましょう。
個人住民税の税額を計算する方法
個人住民税の税額を計算する流れは、次のとおりです。各手順を詳しく見ていきましょう。
1. 課税所得を算出する
2. 所得割を算出する
3. 均等割・森林環境税を足して住民税額を算出する
1.課税所得を算出する
まずは所得割の対象になる課税所得を算出しましょう。年間の収入から経費や給与所得控除を差し引いた所得金額から、さらに所得控除を差し引くことで課税所得が計算できます。
所得金額=収入金額-経費や給与所得控除
課税所得金額=所得金額-所得控除
2.所得割を算出する
所得割の金額は、課税所得の金額に税率をかけて、税額控除を差し引くことで計算できます。個人住民税の税率は原則10%です。
所得割の金額=課税所得金額×税率-税額控除額
3.均等割・森林環境税を足して住民税額を算出する
所得割の金額に、均等割4,000円(道府県民税1,000円+市町村民税3,000円)と森林環境税1,000円を足した金額が個人住民税の金額となります。
森林環境税は、森林の整備やその促進に関する施策の財源に充てられる税金です。
住民税額=所得割の金額+均等割の金額+森林環境税の金額
個人住民税の計算シミュレーション
以下のケースについて、個人住民税をシミュレーションしてみましょう。
● 年収:500万円
● 給与所得控除:144万円
● 住民税の基礎控除:43万円
● 社会保険料控除:72万円
課税所得の金額は、以下のように計算できます。
所得金額=500万円-給与所得控除144万円=356万円
課税所得金額=所得金額356万円-基礎控除43万円-社会保険料控除72万円=241万円
所得割の金額=課税所得241万円×税率10%=24.1万円
住民税額=所得割24.1万円+均等割4,000円+森林環境税1,000円=24.6万円
令和7年度税制改正による個人住民税の変更点
令和7年度税制改正では、個人住民税にかかわる変更もいくつかあります。令和7年度税制改正による個人住民税の変更点を以下で詳しく解説します。
給与所得控除の最低保障額が引き上げられた
給与所得控除の最低保障額が、55万円から65万円に引き上げられました。個人住民税についても同様の最低保障額が適用されます。
| 給与の収入金額 | 改正後 | 改正前 |
|---|---|---|
| 162万5,000円以下 |
65万円
|
55万円 |
| 162万5,000円超180万円以下 | その収入金額×40%-10万円 | |
| 180万円超190万円以下 | その収入金額×30%+8万円 |
なお、所得税の基礎控除も2025年度の税制改正で引き上げられていますが、個人住民税の基礎控除は43万円で据え置きです。
特定親族特別控除が創設された
2025年度の税制改正で新たに特定親族特別控除が創設されました。
特定親族とは、19歳以上23歳未満の扶養親族であり、合計所得金額が58万円超123万円以下の方です。特定親族には、段階的に設定された特定親族特別控除による所得控除が適用されます。
控除の金額は次のとおりです。所得税と個人住民税では一部異なる控除額が設定されています。
| 合計所得金額 | 所得税 | 個人住民税 |
|---|---|---|
| 58万円超85万円以下 | 63万円 | 45万円 |
| 85万円超90万円以下 | 61万円 | |
| 90万円超95万円以下 | 51万円 | |
| 95万円超100万円以下 | 41万円 | |
| 100万円超105万円以下 | 31万円 | |
| 105万円超110万円以下 | 21万円 | |
| 110万円超115万円以下 | 11万円 | |
| 115万円超120万円以下 | 6万円 | |
| 120万円超123万円以下 | 3万円 | |
出典:総務省「説明資料〔個人住民税について〕令和7年5月15日(木)」
扶養親族等の所得要件が改正された
扶養親族等の所得要件が以下のように変更されました。
● 扶養親族及び同一生計配偶者の合計所得金額の要件:48万円以下から58万円以下に引き上げ
● ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の合計額の要件:48万円以下から58万円以下に引き上げ
● 勤労学生の合計所得金額の要件:75万円以下から85万円以下に引き上げ
個人住民税で扶養親族として認められると扶養控除が適用でき、33万円/38万円/45万円の控除が適用できます。
個人住民税が非課税になるケース
東京23区内の場合、個人住民税が非課税になる条件は以下のとおりです。
・同一生計配偶者・扶養親族がいない場合、前年の合計所得金額が45万円以下
・同一生計配偶者・扶養親族がいる場合、前年の合計所得金額が「35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円」以下
・障害者・未成年者・寡婦・ひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下
・生活保護法による生活扶助を受けている
市町村によっては条件が異なる可能性があるので、ご自身が住んでいる自治体の公式サイトをご確認ください。
個人住民税を節税するなら「ふるさと納税」を利用しよう
ふるさと納税とは、ご自身で選んだ自治体に対して寄附をすることで、返礼品を受け取ることができたり、寄附金税額控除を受けることができたりする制度です。
名称の一部に「納税」という単語が含まれていますが、「寄附」に該当します。寄附した金額のうち2,000円を超える部分について所得税や個人住民税から控除されるので、節税をしたい方はふるさと納税の活用も検討しましょう。
クレディセゾンが運営する「セゾンのふるさと納税」は、永久不滅ポイントが使えるポータルサイトです。
なお、NetアンサーのID・パスワードでログインするとカード番号入力不要でスムーズに利用できますので、ぜひ活用しましょう。
個人住民税を納税する際におすすめのビジネスカード
個人住民税も含めて1枚のカードで支出を管理したい個人事業主の方は、ビジネスカードを検討すると良いでしょう。
また、ビジネスカードは個人住民税のような個人支出を支払う手持ちのクレジットカードと、事業用の支出を支払うカードを分けておきたい方にもおすすめです。
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| ポイント還元率 | 海外利用で2倍(※1)(※2) |
| スマホ決済 | Apple Pay、Google Pay™、QUICPay™(クイックペイ) |
| 追加カード | 年会費3,300円/枚(税込)で9枚まで発行可能 |
| 主な特典 | ・コンシェルジュ・サービス ・プライオリティ・パスに年会費無料で登録可能 ・セゾン弁護士紹介サービス ・法人向け顧問弁護士サービス「リーガルプロテクト」ご優待 ・各種のビジネスサポート特典 |
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まとめ
個人住民税は所得割と均等割から成り、一定以上の収入があった場合に自治体に納税します。所得割は住民税の税率(原則10%)から計算でき、均等割4,000円を加えた金額が徴収されます。
個人住民税も含めて1枚のカードで支出を管理したい方は、ビジネスカードをご検討ください。
また、ビジネスカードは、個人住民税のような個人支出を支払う手持ちのクレジットカードと、事業用の支出を支払うカードを分けておきたい方にもおすすめです。
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支出の管理にビジネスカードの活用をご検討ください。
(※)「アメリカン・エキスプレス」は、アメリカン・エキスプレスの登録商標です。(株)クレディセゾンは、アメリカン・エキスプレスのライセンスに基づき使用しています。
(※)Apple、Appleのロゴ、Apple Payは、Apple Inc.の商標です。iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています。TM and © 2020 Apple Inc. All rights reserved.(※)Google Pay 、Google Pay ロゴ、Google Play 、Google ロゴ、Android はGoogle LLC の商標です。
(※)Google Pay は、おサイフケータイ(R) アプリ(6.1.5以上)対応かつAndroid5.0以上のデバイスで利用できます。
(※)「おサイフケータイ」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
(※)「QUICPay」「QUICPay+」は、株式会社ジェーシービーの登録商標です。
この記事を監修した人

【保有資格】
CFP、税理士









