【簡単解説】NISA・つみたてNISA・iDeCoの違いは?併用できる?
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2022年12月現在、岸田政権において「貯蓄から投資(資産形成)へ」というスローガンが改めて推進され、NISAやiDeCo(イデコ)などの税制優遇された資産形成制度にますます注目が集まっています。特にNISAは2024年に制度改正が予定されており、投資上限額の増加や投資可能期間の上限撤廃(恒久化)が検討されていることで大きな話題となっています。そんなNISAやiDeCoについてこの機会に詳しく知りたいという方も多いのではないでしょうか。この記事では、NISA・つみたてNISA・iDeCoの違いだけでなく、目的別の選び方や併用について分かりやすく解説します。ぜひ今後の資産形成の参考にしてください。
NISA・つみたてNISA・iDeCoとは?

まずはそれぞれの2022年12月現在の制度概要をかんたんに紹介していきましょう。

NISAとは?
NISAとは、株式や投資信託などで得た運用益が非課税になる制度のことです。一般的には、投資で得た運用益には20.315%の税金がかかりますが、それが非課税となるのがNISAの大きな特徴でありメリットです。
NISAには、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3種類がありますが、この記事では一般NISAとつみたてNISAの2種類について解説していきます。
一般NISAとは?
一般NISAは 、年間120万円までの範囲で株式や投資信託などを購入でき、最長5年の間に得た運用益が非課税になります。
20歳以上の方であれば運用でき、上場株式や株式投資信託などが対象商品です。
つみたてNISAとは?
つみたてNISAは、年間40万円までの範囲で所定の投資信託を購入でき、最長20年の間に得た運用益が非課税になります。つみたてNISAは国が少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度であり、対象商品は「手数料が低い」など国が認めた水準をクリアした投資信託に絞られているため、投資初心者でも利用しやすい制度です。
iDeCoとは?
iDeCoは私的年金制度の一種で、自分で掛金を支払い、自分で選んだ運用方法で掛金を運用します。NISAと同様に運用益が非課税になることに加え、iDeCoは支払った掛金に応じた所得税の優遇措置(所得控除)も受けることができる点が大きな特徴でありメリットです。
ただし、原則60歳になるまでは途中で資金を引き出すことができず、60歳までの通算加入期間が10年以上必要な点には注意しましょう。
一般NISA・つみたてNISA・iDeCoの制度比較表
ここでは、一般NISA・つみたてNISA・iDeCoの共通点や違いを比較表にまとめました。
一般NISA・つみたてNISA・iDeCoの制度比較表
一般NISA | つみたてNISA | iDeCo | |
運用期間 (最長) | 5年 | 20年 | 65歳まで (10年延長可能) |
投資上限額 (年間) | 120万円 | 40万円 | 14.4万円〜81.6万円 (職業により異なる) |
掛金の支払い方法 | 一括 | 積立 | 積立 |
積立金額(掛金)の途中変更 | いつでも何回でもOK | 年に1回だけOK | |
利用対象者 | 20歳(2023年1月1日以降は18歳)以上なら誰でも | 20歳(2023年1月1日以降は18歳)以上なら誰でも | 厚生年金の被保険者や20歳以上60歳未満の国民年金の被保険者など一定の要件を満たしている人 |
税制 メリット | 運用益は非課税 | 運用益は非課税 | 掛金は全額所得控除 運用益は非課税 受取金額の一定額は非課税 |
対象商品 | 株式・投資信託・ETF・REIT(※1) | 国が定めた水準をクリアした投資信託 | 定期預金・iDeCo用の投資信託・保険商品 |
資金の引き出し | いつでもOK | いつでもOK | 原則60歳までNG |
資金の受け取り方法 | 任意(※2) | 任意(※2) | 一括・年金形式・一括と年金形式の併用から選択可能 |
運用目的 (例) | 旅行、住宅購入、学費など | 学費、老後の生活費など | 老後の生活費 |
併用 | つみたてNISAとの併用NG iDeCoとの併用OK | NISAとの併用NG iDeCoとの併用OK | 一般NISA・つみたてNISAどちらか一方との併用OK |
- 株式等の配当金やETF、REITの分配金を非課税で受け取るためには、その受け取り方法を「株式数比例配分方式」に指定しておく必要があります。
- いつでも引き出し可能なため、任意のタイミングで一部ずつ取り崩すことも可能です。
一般NISA・つみたてNISA・iDeCoは併用できる?

それぞれに特徴やメリットがある一般NISA・つみたてNISA・iDeCoですが、どれかひとつだけを選ぶ必要はありません。ここでは、それぞれの制度を併用できるのかどうかと併用する場合の注意点を解説します。
一般NISAとつみたてNISAは併用できる?
2023年までの制度では、一般NISAとつみたてNISAは併用できず、1年(1月1日~12月31日)ごとにどちらかひとつの制度しか利用することができません。
ただし、2024年からの新制度では、一般NISAとつみたてNISAの併用が可能になる予定です。
2022年12月26日現在、新NISA制度は以下のように変わる方向で国会での最終調整に入ったと報道されています。
2024年の新NISA制度変更
一般NISA | つみたてNISA | |
新しい名称 | 成長投資枠(新NISA) | つみたて投資枠(新つみたてNISA) |
運用期間 | 無期限 | 無期限 |
投資上限額 (年間) | 240万円 | 120万円 |
投資上限額 (一生涯) | 合計1,800万円 (うち成長投資枠は1,200万) | |
併用 | OK | OK |
NISAとiDeCoは併用できる?
NISAとiDeCoは2022年現在も2024年以降も併用可能です。
ただし、一般NISAとつみたてNISAは併用できないため、一般NISAとiDeCoを併用するのか、つみたてNISAとiDeCoを併用するのかのどちらかを選択する必要があります。
併用時の注意点
■投資金額の決定は慎重に
2種類の投資を併用するのであれば、毎月あるいは年間の出費負担は軽いものではないでしょう。将来のための投資に注力するあまり今現在の暮らしが苦しくなるのは本末転倒です。
例えば病気やケガで働けなくなってしまったり、会社都合で休業や失業してしまったりする可能性はゼロではありません。そのような不測の事態に備えて、最低でも生活費3ヵ月~半年分の預金を持っておくことをおすすめします。すでに用意されていれば、生活に支障のない範囲の金額を投資にまわすことができるでしょう。もし預金額が生活費3ヵ月に満たない場合は、投資とは別に現金預金にも振り分けましょう。また、医療保険などの保険での備えもおすすめです。
前述のとおり、iDeCoは途中で支払い金額を下げることや支払いをストップすることは可能ですが、60歳以前に資金を引き出すことは原則としてできません。その点に十分に注意して投資金額を決めましょう。
■優先順位をつけておこう
いずれの制度も途中で支払いをストップすることが可能です。不足の事態が起きたときには一部または全部の制度への支払いをストップしましょう。
もし一部は継続できる状態であれば、どちらの制度を優先するのかあらかじめ決めておくことをおすすめします。
自分にはどれが向いている?目的別の選び方

一般NISA・つみたてNISA・iDeCoにはそれぞれメリットと同時に注意点が存在するため、「この制度が1番良い!」ということはありません。どの制度を選ぶと良いのかは、投資の目的と自分の年齢や将来像によって異なります。
例えば今40歳の人が5年後に必要になるこどもの学費を用意したいときには、原則60歳まで資産を引き出すことができないiDeCoは合わないでしょう。
ここでは、目的別におすすめの制度を紹介します。
老後資金を貯めたいなら「iDeCo」
iDeCoは公的年金の上乗せ制度(私的年金制度)であり、投資の成果を受け取ることができるのが原則60歳以降という特性上、老後資金を貯めるために利用されるのが一般的です。
逆に言うと、投資の目的が老後資金と明確である場合、あるいは60歳になるまで確実に引き出す必要がない場合には、掛金の支払い時にも税制メリット(所得控除)が受けられるiDeCoがおすすめです。
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非課税で投資にチャレンジしてみたいなら「NISA」
前述のように、iDeCoは税制メリットが大きい分、投資の目的と資金の受け取り希望時期が明確である必要があります。そのため、投資の目的が60歳以降に利用するものではない場合、選択肢は必然的に一般NISAかつみたてNISAのどちらかになります。
■一般NISAをおすすめするケース
手元にまとまった余裕資金があり、それを投資にまわしてみたいということであれば、一般NISAを活用しましょう。
例えば旅行資金や住宅購入の頭金など5年以内に使う予定のある資金を効率的に増やしたい場合にも一般NISAを選択することになるでしょう。ただし、NISAなどの投資商品は元本が保証されていません。一般NISAのように投資期間が短い場合は、投資したお金が減って返ってくる可能性がより高くなるため、あくまで余裕資金で投資することをおすすめします。
また、つみたてNISAでは所定の投資信託での運用しかできないため、株式投資に挑戦したい場合には一般NISAを活用しましょう。
■つみたてNISAをおすすめするケース
つみたてNISAは国が定めた水準をクリアした投資信託を少額でこつこつと長期運用することになるため、一般NISAに比べると投資リスクが低いものです。基本的には10年以上先に使うことになるお金、例えば子どもの学費を貯めることを目的に投資するのであれば、つみたてNISAがおすすめです。
また、現在40歳以上の方であれば、非課税で最長20年運用できるつみたてNISAで老後資金を貯めるという方法もあります。
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まとめ
2024年に新制度が誕生することで、NISAだけでなくiDeCoにもますます注目が集まっています。新制度の詳細も気になるところですが、投資、特につみたて投資は少しでも早く始めて長く続けるのが良いとされています。
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