水墨画家・小林東雲氏に聞くクレディセゾンのTVCMに込めた想い ー立ち止まったときこそ、少し、目線をあげてー
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今回のTVCMでの起用をきっかけに、“巨大キャンパスに描く水墨画”企画にもご協力いただいた水墨画家・小林東雲(コバヤシ トウウン)氏。
「クレディセゾンが伝えたいメッセージと水墨画には、通じるものがある気がします」——CMに込められた想いと水墨画、それぞれの表現が交差する瞬間に迫ります。
1. 今回のCM企画を聞いたとき、どんな印象を持たれましたか?
とても斬新な企画だと感じました。水墨画と聞くと日本では古くさい印象を受ける方もおられますが、
海外ではSumi-e(すみえ)と呼ばれ、現代アートのような感覚で拡がり始めています。
映像としての墨絵の起用はとても新鮮に感じました。

2. 制作にあたって、特にこだわった点や工夫された点はありますか?
墨で描く表現は、人生のようにまさに、ぶっつけ本番の描き直しがきかない世界。
日々の営みの中には喜怒哀楽があるように、墨絵には激しい線もあれば、繊細な線もあり、穏やかなぼかしも存在します。
墨の風景を通してそれらの変化を感じていただければ嬉しいです。

3. 今回の作品に込めたメッセージや想いはありますか?
真っ白な紙面に、やり直しのきかない一筆を描き重ねることは、とても勇気のいることです。
人生の経験の中にも、誠意を尽くした行為にもかかわらず、良い結果に繋がらないときもあります。
しかし、後で振り返ってみると、その失敗が、次の経験に活かされている場合も多いのです。
墨絵の線も同じで、精一杯描いた線はその時失敗したように思えても、線に息吹があるので、必ず後で活きてくるものです。
逆に失敗したと諦めて、投げやりに描いた線は作品を壊してしまいます。
ちょっと目線をあげて、前の線を次の線でどのように活かすかを絶えず追求し、一歩一歩誠意を尽くして、人生という作品を描いていきたいものです。

4. ご覧いただいた方にどんな感情や印象を受け取ってほしいですか?
墨絵が人生観と重なる部分はもちろん、メッセージとして一番伝えたいところです。
元来、墨絵は襖とか屏風とか掛軸とか、生活の中に密着した美術でした。
身近に目に触れることで、絵の中のメッセージを日々受け取っていたのです。
美術館や展示施設で墨絵を鑑賞する現代において、墨絵の中のメッセージを肌で感じる機会が少なくなりました。
このように映像として発信されることで新しい展開が拡がり、身近な現代アートとして、墨絵の意味を感じ取ってほしいと思います。

5. 最後に視聴者へ伝えたいメッセージはありますか?
今回のCMメッセージはまさに、墨絵そのものでした。
筆を下ろしたら1回きりの一方通行、リハーサルなしのぶっつけ本番。
次の一筆に迷ったら、ちょっと目線をあげて・・・・。
まさに、墨絵も人生もセゾンAMEXですね。

小林東雲氏、素敵な作品をありがとうございました!

Profile

小林東雲
1961年東京生まれ。
幼少期、書道教師の母から書道を学び、高校時代に中国の芸術家との交流を通じて、水墨画・書道・篆刻に感銘を受ける。
1987年、パリ「日本の美術展」会場にて壁画制作、翌年には東京で展覧会を開催。その後ヨーロッパ・アメリカ・中国で活動し、1992年、北京では日中友好20周年を記念して中国歴史博物館で個展を開催。以来、日本的な墨絵の世界を探究している。
神社仏閣の障壁画も手がけ、インターネットを活用した創作やテレビ教養番組等も多く出演。国際公募展の開催や多くの著作など、普及と新技法の開拓を続け、水墨画界の旗手として期待されている。








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