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個人事業主がクレジットカードで経費を支払うメリットは?注意点や仕訳についても解説

経費の支払いにクレジットカードを利用すれば、経理に関する作業が軽減されます。そのほかにも、クレジットカードに付帯する特典が利用できるというメリットもあります。
個人事業主となってからまだ期間の短い方のなかには、経費や仕訳に関してあまり詳しくなく、クレジットカードを利用した場合の処理がわからないという方もいるでしょう。
本記事では、個人事業主がクレジットカードで経費を支払うメリットと注意点のほか、カードを利用した際の仕訳に関しても解説します。事業用としておすすめのクレジットカードも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
Contents
記事のもくじ
個人事業主がクレジットカードで経費を支払う6つのメリット
個人事業主であれ、事業を行う際は備品の購入や車のガソリン代など、経費としてかかるお金は発生します。このような経費は、事業用クレジットカードを使って支払うことで、さまざまなメリットを得られます。
また、事業用クレジットカードは年会費を必要とするケースが多いですが、事業用クレジットカードであれば、年会費を経費として計上することができるため、節税の効果も期待できます。
なお、事業用のクレジットカードは、ビジネスカードや法人カードでなくても、問題はありません。ただし、法人カードには、個人向けカードにはないメリットがあるため、事業用クレジットカードとして利用するなら法人カードがおすすめです。
ここでは、個人事業主が事業用クレジットカードで経費を支払う主なメリットを6つをご紹介します。
①経費の管理の負担が軽減される
事業用クレジットカードで経費を支払えば、経費の負担が軽減されるメリットがあります。
例えば、経費を事業用クレジットカードで支払えば、毎月の支出はカードの利用明細で確認できるため、何にお金を使ったのか一目で確認することが可能です。
また、クレジットカードはインターネットで利用明細をダウンロード、プリントアウトすることができるため、領収書やレシートのように保管しておく手間が必要なく、利用明細は確定申告の際に経費の証明としても使うこともできます。
さらに、クレジットカードと連携できる会計ソフトも多数あり、連携すれば会計処理が自動化されるため、業務の効率化にもつながります。
②事業用とプラベート用を区別できる
事業用クレジットカードを利用することで、事業とプライベートを区別することができます。
事業で利用する備品などの購入に個人向けクレジットカードを使った場合は、あとからプライベートで利用したのか、事業の経費として利用したのかの確認が必要になります。
しかし、事業用クレジットカードを利用すれば、あとから仕分けの必要もなく、すぐに事業の経費として利用したことが確認できます。
③キャッシュフローに余裕が生まれる
一般的にクレジットカードは、決済してからカードの支払いとなるまで1ヵ月から2ヵ月の期間があります。そのため、現金資産の流れであるキャッシュフローに余裕が生まれます。
また、リボ払いが利用できるクレジットカードであれば、支払いを分散できるため、毎月の支払いをある程度一定にすることも可能です。
事業用クレジットカードは、リボ払いなどの支払方法が選択できないものもありますが、セゾン発行の事業用クレジットカード(ビジネスカード)であれば、リボ払いをご利用いただけます。
④急な出費にも対応できる
クレジットカードを持っていれば、手持ちの現金がなくても、カードでの支払い、あるいはキャッシングしてお金を借りることが可能なため、急な出費があっても対応できる可能性があります。
また、予期せぬトラブルなどで現金が不足した場合でも、クレジットカードは実際の支払いが1ヵ月や2ヵ月後となるため、急いで現金を用意しなければならないという不安を軽減できます。
⑤ポイントやマイルをためられ、経費削減につながる
事業用クレジットカードは、個人向けクレジットカードと同様にカードの利用金額に応じてポイントが付与されます。ポイントは、景品や他社のポイントプログラムへの移行などができるほか、カードの利用料金に充てることができるものもあるため、経費の削減につながります。
例えば、セゾン発行のクレジットカードは、カードの利用で貯まる永久不滅ポイントをカード利用金額の支払いに使うことができます。
また、クレジットカードの種類によっては、ポイントのほかにマイルを貯められるものもあるので、出張などで航空機を利用する方は、このようなカードを選ぶのも良いでしょう。
⑥クレジットカードに付帯する特典を利用できる
個人向けクレジットカード同様に、事業用クレジットカードにもさまざまな特典が付帯しており、ビジネスシーンで利用できるサービスの割引など、事業用クレジットカードならではの優待特典が利用できるものが多いです。
事業用クレジットカードに付帯する特典を有効的に利用すれば、コストの削減につながることも多くあるため、カードに付帯する特典内容も確認しておくと良いでしょう。
個人事業主が事業用クレジットカードを使う際の注意点

個人事業主は、経費の支払いに事業用クレジットカードを使うことでさまざまなメリットを得られます。しかし、事業用クレジットカードを持つ場合の注意点もあるので、覚えておきましょう。
個人向けと事業用でカードのポイントが分散される
個人向けクレジットカードと事業用クレジットカードを使い分ける場合、それぞれ別にポイントが貯まるため、ポイントが分散されてしまうことに注意が必要です。
また、クレジットカードのポイントに有効期限がある場合は、カードごとにポイントの管理を行う必要があることを覚えておきましょう。
セゾンカードが発行したクレジットカードであれば、ポイントの有効期限がない永久不滅ポイントが貯まるため、ポイントが失効してしまうこともなく、有効期限を気にする必要もありません。
年会費が必要となる場合が多い
一般的に事業用クレジットカードは、年会費を必要とするものが多いです。そのため、年会費が有料の個人向けクレジットカードを利用している場合は、年会費が2枚分必要になります。
ただし、事業用クレジットカードの年会費に関しては、個人向けクレジットカードとは違い、経費として処理することが可能です。
事業用クレジットカードをプライベートで利用すると手間が増える
事業用クレジットカードでプライベートのお買物や支払いでの利用は可能です。
しかし、事業用クレジットカードの引き落とし口座が法人名義だった場合、プライベートのお買物で利用すると法人名義の口座から個人の支出を支払うことになるので、法人が立て替えたことになってしまいます。
法人が立て替えたことを経理作業で証明する手間が増えてしまうので、事業用カードを個人利用するのは止めましょう。
白色申告と青色申告の記帳方法が違う
事業用クレジットカードで経費を支払った場合、白色申告と青色申告10万円控除の記帳方法と青色申告55万円控除(電子申告で65万円控除)の記帳方法が異なるので、覚えておきましょう。
● 白色申告と青色申告10万円控除:単式簿記
● 青色申告55万円控除(電子申告で65万円控除):複式簿記
単式簿記は、取引をひとつの科目に絞って記載するため、複式簿記より単純な記帳になります。
一方、節税効果が高い青色申告55万円控除(電子申告で65万円控除)については、取引を複数の科目で記載するため、やや複雑な記帳になるほか、クレジットカードの引き落とし口座が個人用か事業用かによっても記帳方法が異なるので、間違いがないように注意しましょう。
確定申告書類の作成に欠かせない仕訳とは?
個人事業主は、年に1度確定申告を行う必要がありますが、確定申告書類の作成に欠かせないのが仕訳です。仕訳とは、事業に関するさまざまな取引を貸方と借方に分類し、勘定科目と金額を仕訳帳に記載する簿記の作業のことです。
仕訳帳に記載する取引には、「販売する商品の仕入れと売上」など、実際にお金やものが増減する取引だけでなく、「サービスを利用し、代金をあと払いする場合」などのお金やものの増減に伴わない取引も含まれます。
つまり、経費の支払いにクレジットカードを利用して、カード利用分を経費として計上するためには、仕訳が必要となるため、仕訳に関する最低限の知識は身に付けておく必要があるでしょう。
クレジットカードに関する勘定科目
仕訳では、取引内容を分類するために勘定科目が使われます。勘定科目は法律で決められているわけではなく、社内または個人で自由に設定できるのですが、一般的には広く知られている勘定科目を使用するケースがほとんどです。
クレジットカードに関する勘定科目には、主に以下のようなものがあるので覚えておきましょう。
勘定科目 | 取引内容 |
---|---|
買掛金 | 販売を目的とした仕入でクレジットカードを利用した場合 |
未払金 | 商品以外の物品(事業費用)の購入でクレジットカードを利用した場合 |
支払手数料 | クレジットカードのリボ払いや分割払いの手数料 |
雑収入 | 商品券の交換やキャッシュバックを受けた場合 |
雑費 | 事業用クレジットカードを保有するための年会費 |
経費の支払いにクレジットカードを利用した場合は、仕訳の手間がかかってしまうこともありますが、近年はクレジットカードを連携すれば、自動で仕訳ができる会計ソフトも多数あります。そのため、仕訳に不慣れな方は会計ソフトの利用を検討してみても良いでしょう。
なお、クレジットカードの利用で貯まったポイントやマイルを使って経費を支払った場合は、会計処理が必要ありません。
カードの利用明細書が「領収書」の代わりになる
一般的にクレジットカードを利用した場合は、カードの利用明細書が支払い履歴として扱われることが多く、領収書が発行されないことも珍しくありません。特にインターネットを利用して商品を購入する場合は、領収書の入手が難しくなります。
クレジットカードで支払った場合は、カードの利用明細が「領収書」の代わりになります。そのため、領収書の代わりとしてWEBで利用明細書をダウンロードし、必要であれば紙に出力して保管しておくようにしましょう。
なお、一部のオンラインショップや実店舗では、依頼すれば領収書を発行してくれるケースもありますが、税法上では領収書に該当しないので、覚えておきましょう。
経費と認められる支出の種類
経費とは、事業活動を行う上で必要になる費用のことです。明確な線引きはなく、事業主が事業に必要であるという理由を証明できる費用なら、経費として認められる可能性はあります。
一般的に経費として認められる支出は以下のとおりです。
● 賃金
● 諸謝金
● 旅費
● 借損料
● 会議費
● 通信運搬費
● 雑役務費など
ただし、上記の支出がすべて経費として認められるわけではないので注意しましょう。
経費と認められない支出の種類
基本的に家庭内の事柄に関する費用やプライベートな支出は経費として認められません。そのため、次のような家事関連費は経費として計上できません。
● 家賃
● 水道光熱費
● 通信費など
ただし、自宅を事務所と兼用している場合は事務所で使用している部分を必要経費にできる家事按分が可能です。
所得税法第45条では、家事関連費は必要経費に算入しないと定めていますが、所得税法施行令第96条では、家事関連費が業務の遂行上必要で、なおかつ必要である部分を明らかにできる場合は、必要である部分を経費として認めると定めています。
例えば、自宅の面積が40畳あり、6畳を事業用として使用している場合、業務上面積割合は約15%です。つまり、家賃の15%までが業務上に必要な経費として計算できます。
上記のように、業務と自宅を明らかに区分する行為を家事按分と呼び、家事関連費を経費として計上できます。
個人事業主におすすめのクレジットカード
事業用クレジットカードは、経費の支払いに利用することで得られるメリットが多く、経費、税金を正しく理解することで税金に対する知識を深められ、今後の事業拡大にも寄与する可能性は高いです。
しかし、カードによっては申し込みの際に、申告書や各種届出書類の提出を必要とするケースがあります。そのため、開業間もない個人事業主にとっては、クレジットカードの申し込みが難しいです。
セゾンカードが発行する事業用クレジットカード(ビジネスカード)には、決算書や登記簿謄本を必要とせず、本人確認書類のみで申し込みができるカードがあります。
本人確認書類のみで申し込みが可能な「セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード」と「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード」を紹介しますので、ご検討してみてはいかがでしょうか。
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードは、年会費が永年無料で保有できるビジネスカードです。
フリーランスの方のような個人事業主にとって、収入や出費はイレギュラーになりやすい傾向があります。特に独立したての場合は、毎月の入出金が安定しないことも珍しくありません。そのため、年会費が発生しない本カードは、独立したばかりの方におすすめのビジネスカードです。
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードなら、各種経費をまとめて一括払いにすると、利用分から支払いまで最長56日間の猶予があったり、リボ払いに変更できたりします。キャッシュフローに余裕が持てるため、手元の資金をコントロールしやすくなるでしょう。
また、経費業務の効率化に役立つ小規模事業者向けのクラウドサービス「かんたんクラウド(MSJ)」を2ヵ月無料で利用できる優待特典が付帯しているので、お得に会計ソフトを利用することができます。
さらに、永久不滅ポイントをカード利用分に充てることができるため、コストの削減につながりますし、ニーズに合わせた限度額の設定に対応してくれるため、事業規模にマッチした限度額の設定が可能になるので、気になる方は詳細をチェックしてみましょう。
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セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードは、初年度の年会費が無料、翌年度以降は22,000円(税込)で保有できるビジネスカードです。
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードと同様に登記簿謄本や決算書が不要なビジネスカードなので、独立したばかりの個人事業主やフリーランスの方でも申し込みしやすいです。
本カードには、クラウド経費精算サービス「Staple(ステイプル)」の月額料金660円(税込)が6ヵ月無料になる優待クーポンが付帯しています。経費精算の手間を大幅に削減できるため、ぜひご活用ください。
上記以外にも、ビジネスからプライベートまで幅広く活躍する優待特典やサービスが数多く付帯します。個人事業主としての活動を充実させたい方におすすめのカードとなっているので、申し込みを検討してみてはいかがでしょうか。
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個人事業主が事業用クレジットカードで経費を支払うメリットと注意点のまとめ
個人事業主は、事業用クレジットカードで経費の支払いを行えば、経理業務の効率化や経費の削減につながる可能性が高いです。事業用クレジットカードは年会費を必要とするカードが多いですが、年会費は経費として計上できます。
ただし、事業用クレジットカードは、申し込みに決算書や登記簿謄本が必要になることもあるため、設立間もない個人事業主の場合は、申し込みが難しくなることもあります。
セゾンカードのセゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードやセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードは、本人確認書類のみで申し込みができ、ビジネスシーンに役立つ優待特典も付帯しています。
事業用クレジットカードの申し込みを考えている個人事業主の方は、セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードやセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードなどの申し込みをご検討してみてはいかがでしょうか。
監修者

竹下 昌成
竹下FP事務所代表、㈱メディエス代表取締役、TAC専任講師。兵庫県西宮市在住、昭和46年生まれ。立教大学卒業後、池田泉州銀行、日本GE、タマホームなどを経て現職。タマホームFPとして600件超のFP相談実績あり。サラリーマン投資家として不動産賃貸業をスタート、それだけで生活できるようになったので卒サラ。現在は大家業をメインに講師や執筆活動、相談業務でのんびりと過ごしています。得意分野は不動産投資や住宅購入など。お気軽にご相談ください。
【保有資格】
CFP、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザー